0×9つめ
「お人形さん、お人形さん 遊びましょ」
夕空の和室で、私はまたお人形さんと遊ぶ。
今日は、トランプをしよう。
お人形さんは、和室の戸を開けて入って来る。
「ミ…ソラ…」
私は微笑んだ。
「美空だよ。一緒に遊ぼ。お人形さん」
お人形さんは、ゆっくりと私のところへ近づいてくる。
そしてお人形さんは言った。
冷たい、冷たい声だった。
「ミソラジャナイ。」
「え?」
昨日までは一緒に遊んでいたのに。
昨日までは私が美空お姉ちゃんだと思っていたのに。
なんで?
「ミソラ、ドコ?ドコニイルノ?」
私は何も言えなかった。
バレた。 また、私からいなくなる。
お人形さんは怒っていた。
すごく、すごく怒っていた。
夕空から暗闇へと変わる頃、お姉ちゃんが帰ってきた。
「ただいま」
お姉ちゃん、お姉ちゃん…
早くお姉ちゃんのところに行かなきゃ。
身体が動かない。別に死んでもいいや なんて思ってしまう。
「鈴音?」
お姉ちゃんが和室へと入ってくる。
お姉ちゃんはハッと息を呑んだ。
「鈴音!」
お姉ちゃんは私を抱き寄せた。
「イ、イヤダ シニタグナイ。ミ…ソラ…」
お人形さんは、どこかへと消えてしまった。
苦しそうに。苦しそうに。
私の目から涙が零れ落ちた。
「大丈夫? 鈴音?」
私はお姉ちゃんを抱きしめた。
怖くて怖くて、自分が情けなくて。
私は今まで何をやっていたんだろう。
「お姉ちゃん、ごめんね。お人形さんの願い、叶えてあげて」
***
今日は早く帰って来れて、本当によかったと心の底から思う。
下手をすれば、鈴音は死んでいた。
鈴音がどうやってお人形さんを知ったのかは謎だが、鈴音も鈴音で反省している。
鈴音や美空のためにもお人形さんを止めなきゃ。
お人形さんの願い…。
私にはまだよくわからない。
深夜11時。
私は廃校舎へと向かった。
今日、夏風 奏多と約束したのだ。
約束というか、ほぼ脅しだったが。
私はカバンにケータイと財布、念のためのカッターを入れた。
廃校舎はとても暗かった。
夏風さんはもう来てるだろうか。
私は指定された4階の教室へ向かった。
窓ガラスはボロボロで床も埃っぽい。
夏風さんは、何を言うつもりなんだろう。
4階の教室へ着くと、夏風さんは既に待っていた。
「遅ーい。もう来ないんじゃないかと思った」
夏風さんの、あの、人を見下す目が嫌いだ。
「約束したから。 それで、何か用?」
夏風さんは既に苛立っている。
「やっぱり、あんたのそういうとこ ウザい。
まぁた、いじめたくなっちゃった」
夏風さんは嘲笑っている。
「あ、深夜0時。」
夏風さんは私を見て、ゆっくりと言った。
「お人形さん、お人形さん どうか二階堂 亜美を殺してください」
次回、最終話です




