表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Twin Fate  作者: Hiz
43/48

Chapter 10 Affection Field 02

アイは、リリィと戦った Void の情報をクロイチから受け取っていた。どうやら俺が戦ったアヴァリスと、その Void ……タノロスが使ったムーブセットは同じものだったらしい。


Move Set Eclipse Break (終焉の蝕)


そこまで考えて、あの日リカにも会ったことを思い出した。


彼女はすでに俺が異世界から帰ってきたことを知っている。少し受け入れが早すぎる気もするが……まあ、あの時のリカと同じ立場に立たされたら、俺も信じてしまっただろう。


あるいは、リカも俺たちみたいにアニメが好きなんだろうか?


考えても無駄だ。聞こうにも……残念なことに、今日リカは学校を休んでいた。昨日の事件の直後に休みだなんて、少し心配だ。大したことがなければいいのだが。


アイが不在の間に起きた Void の侵入について、本人はこう断言していた。


「……」


……きっと、対処法はあるんだろう。


現在、例のショッピングモールは修繕のために閉鎖されている。大ニュースになってはいるが、 Void についての言及は一切ない。安堵すべきだろうが、心のどこかで不安も感じていた。


「急なことだが、今日から新しい仲間が加わることになった」


担任の教師から発せられたその言葉を、最初俺はうまく理解できなかった。


普通、転校生がいれば朝に紹介するものではないのか? いや、午前中に用事があったのかもしれない。編入の手続きが単純でないことは想像に難くないが……。


後ろの二列ほど離れた席に座っているエヴァを盗み見ると、彼女もわずかに訝しげな表情を浮かべていた。


一方で、俺と同じ列の最後列、窓際に座っているアイは……。


閉ざされた教室の扉を、寸分も逸らさず凝視していた。


その鮮紅の瞳は細められ、刃のように鋭い。


「入ってきなさい」


次の授業の始まりが少し遅れることになる。そんな中、一人の少女が扉を開けて入ってきた。


その瞬間、クラスメイトたちの喉から吐息が漏れた。


非の打ち所がないほど整ったスタイル。その身には、この学校の制服とは異なる鮮やかな赤色の制服を纏っている。


艶やかな黒髪だが、その毛先は内側から赤い光で焼かれているようだった。


額にある小さな赤い宝石が初見では異質に感じられたが、驚くほど彼女に馴染んでいる。


伏せられていた目は、教壇の前に立つとゆっくりと開かれ、クラスメイトたちを見渡した。だが、その瞳には生気というものが欠落している。


「はじめまして。『ヴェルモーラ』です」


明るい声音だが、どこか奇妙だ。まるで数人が同時に喋っているかのように重なって聞こえる。……だというのに、周囲の誰もその異常さに気づいていないようだった。


……この、重なり合うような、あるいは捻じ曲がったような違和感。昨日味わったものと同じだ。


体がフレームを飛ばして動いているわけではないが、この感覚は……。


彼女が笑顔で自己紹介を終えた直後。


背後で「ガシャン!」と大きな音が響いた。


振り返ると、アイが勢いよく立ち上がった拍子に椅子が後ろに転倒していた。黒い手袋を嵌めたアイの手が、ヴェルモーラへと向けられる。


「Dorn Void Purge」


魔法!? こんな場所でか!?


止める間もなかった。だが、どれほど待っても魔法の効果が発現する気配はない。


標的となったヴェルモーラは、ただ微笑みながらアイを……そして俺を見つめていた。


「どうした、桐崎(兄)。腹でも痛いのか?」


担任がアイに声をかける。アイを座らせるよう手招きした。


アイはしばらく静かに呻いた後、椅子を引き寄せて座り直した。先生に謝罪の一言すら口にしない。


ヴェルモーラが笑った。


「そうじゃないんですよ。ちょうどアイ君とは知り合いなんです。そう呼んでもいいかな~?」


「そうか。ちょうどいい、あそこの隣の席が空いている。そこへ座りなさい」


「はい」


ヴェルモーラは快く応じ、アイの隣にある空席へと歩き出した。クラスメイトたちの視線が、首が折れんばかりに彼女を追う。


まるで……その姿に魅了チャームされているかのようだ。


「よろしくお願いしますね、アイ君」


「……」


「照れ屋さんですね」


俺は自分の疑念を確信に変えるため、ウィンドウを展開することにした。


そして……やはり、思った通りだった。


7 Void of Sin


第2位 Velmora – The Crimson Lust (色欲の紅)


7人の Void の一角……。


「ったく、たった二日だぞ。現れすぎだろ……」


俺は喉の奥で呟いた。


放課後、ヴェルモーラに対して何らかのアクションを起こせる時を待つしかない。それまでは、アイと彼女が教室内でやり合わないよう祈るばかりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ