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【番外編】

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。

 ザワザワ……と。

 周囲から人のざわめきが戻ってくる。


「あれ? 急に日が陰ったか?」

「おや、風が……さっきまで止まっていたのに」


 凍りついていた村人たちが、何事もなかったかのように動き出した。

 彼らは自分たちの時間が止まっていたことすら気づいていない。

 ただ、広場の中心でミナを抱きかかえる俺と、それを見守るローレンスの姿を見て、不思議そうに集まってくる。


「ん……」


 俺の腕の中で、ミナがゆっくりと瞼を開けた。

 金色の輝きは消え、本来の愛らしい瞳に戻っている。


「お兄ちゃん……?」

「目覚めたか。世界はもう、動き出したぞ」


 俺が視線で周囲を示すと、ミナはハッとして体を強張らせた。

 心配そうに顔を覗き込んでくる村人たちの姿が、目に入ったからだ。


「あ……あぁ……」


 ミナの顔色が青ざめる。

 記憶が戻ったのだろう。自分が暴走し、村ごと時間を止めてしまったことへの罪悪感。

 彼女は俺の服を握りしめ、震える声で言った。


「ご、ごめんなさい……ごめんなさい……っ! 私、また……!」

「ミナ……」


 ローレンスが歩み寄り、膝をついてミナの頭を撫でた。


「謝るのはおれたちの方だ。おまえが、神眼持ちだということに、気づいてやれなかった。……すまなかったな」




「ローレンスさん。みなさん……」

「ミナちゃん、大丈夫かい?」

「何か怖いことでもあったのか?」


 事情を知らない村人たちも、泣きじゃくるミナを見て、優しく声をかけてくる。

 責める者は一人もいない。

 彼らにとってミナは、変わらずこの村の大切な家族なのだ。


「みんな……う、うわぁぁぁぁんっ!」


 ミナは堰を切ったように泣き出した。

 それは恐怖の涙ではなく、安堵の涙だった。


 ひとしきり泣いて、ミナが落ち着きを取り戻した頃。

 彼女は赤くなった目をこすりながら、ポツリと漏らした。


「でも……私、怖い」

「怖い?」

「うん……。みんなが優しいのは嬉しいの。でも、また急に怖くなって、時間が止まっちゃうかもしれない。そうしたら、今度こそ……みんなを傷つけちゃうかも……」


 彼女の不安はもっともだ。

 『時王の神眼』は、感情に呼応して発動する。

 俺が回路を閉じたとはいえ、それは一時的な処置に過ぎない。彼女がこの力を持っている限り、いつかまた暴走するリスクはある。


「なら、問題ない」


 俺は立ち上がり、ポンとミナの頭に手を置いた。


「こいつは、俺が貰った」

「「……は?」」


 ミナとローレンスが、同時にキョトンとした顔をする。

 周囲の村人たちも「え、プロポーズ?」「いや、まだ幼いんじゃ……」とざわめき始めた。

 言葉が足りなかったか。


「アクトさん……それはつまり、貴殿の下で『修行』をさせる、ということだなっ?」


 ローレンスが助け舟を出してくれた。

 さすがは、察しがいい。


「ああ、そういうことだ」


 俺は頷く。


「この目の扱いは特殊だ。力ずくで抑え込もうとすれば暴走するし、放置すれば持ち主を孤立させる。……その制御法を知っているのは、かつて同じ目を持っていた俺だけだ」


 俺はミナに向き直り、視線を合わせる。


「ミナ。俺のうちに来い。この目の使い方、そして世界との付き合い方……俺が全部叩き込んでやる」


 それは、彼女をこの村から連れ出すということ。

 けれど、それは追放ではない。

 彼女がいつか、自分の意志でこの力を使いこなし、胸を張って帰ってくるための旅立ちだ。


「アクトお兄ちゃんが、教えてくれるの……?」

「ああ。俺は厳しいぞ? 泣き言は許さん」

「……うん!」


 ミナが涙を拭い、力強く頷いた。

 その顔にもう、迷いはない。


「私、行く! お兄ちゃんみたいに強くなって、今度は私がみんなを守れるようになる!」


 太陽のような笑顔が、そこにはあった。

【お知らせ】

※2/5(木)


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