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【番外編】

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。

「来ないでぇぇぇぇぇっ!!」


 ミナが絶叫する。

 同時に、彼女の右目から放たれる黄金の輝きが強まった。

 視界が白く染まるほどの光。

 それは物理的な衝撃波となって、俺の体を押し戻そうとする。


 時間の壁だ。

 俺と彼女の間にある数メートルの空間だけ、時間が完全に凍りつこうとしている。

 普通なら、踏み込んだ瞬間に意識ごと永遠の停止に囚われるだろう。


 だが。


「……重いな」


 俺は歯を食いしばり、泥沼の中を歩くように、一歩また一歩と距離を詰める。

 右目が熱い。

 かつての記憶が、身体が、この力の御し方を覚えている。


(拒絶するな。受け入れろ。流れに逆らうな。同調しろ――)


 俺は彼女の放つ「拒絶」の波動に、自らの魔力を波長を合わせて溶け込ませていく。

 強引にこじ開けるのではない。

 鍵穴に鍵を差し込むように、滑らかに、静かに防壁を突破する。


「う、あ……あぁ……っ!」


 ミナの表情が恐怖に歪む。

 彼女には俺が、自分を罰しに来た死神に見えているのかもしれない。


 あと、三歩。

 二歩。

 一歩。


 俺は彼女の目の前に立った。

 ミナが反射的に身を竦め、目を閉じる。


「ごめんなさい……ごめんなさ……っ」


 打たれると思ったのだろう。

 俺は膝をつき、彼女の小さな震える体を、そっと両腕で包み込んだ。


「――っ!?」


 ミナが息を呑む。

 俺は彼女の頭を胸に抱き寄せ、優しく背中を撫でた。


「大丈夫だ。誰も怒っちゃいない」

「で、でも……私が……私が、みんなを……っ」

「怖かったんだな。時間が過ぎるのが、世界が変わっていくのが」


 俺の言葉に、ミナの瞳が揺れる。


「分かるよ。この力は、孤独なものだ。自分だけが置き去りにされるような、そんな寂しさがある」


 俺はかつて、この目を持っていたからこそ理解できる。

 時を止めるということは、世界から切り離されるということだ。

 幼い少女が抱えるには、あまりにも重すぎる代償。


「もういい。頑張ったな。もう、見なくていい」


 俺は彼女の黄金に輝く右目に、そっと手のひらを重ねた。


「少しおやすみ」


 俺は魔力を流し込み、暴走する『時王の神眼』の回路を、優しく閉じていく。

 強制的な遮断ではない。

 彼女の心が安らぎ、眠りを欲するように誘導する。

 この目を待っていたからこそ、魔力の流れかた、その制御の仕方がわかる。たとえそれが自分の目でなくとも。


 スゥ……と。

 ミナの体から力が抜けていく。

 輝きが収束し、張り詰めていた空気が緩んでいくのが分かった。


「……あったかい」


 ミナが最後にそう呟き、俺の腕の中でこくりと寝息を立て始めた。


 その瞬間。


 カチッ、コチッ、カチッ……。


 止まっていた古時計が、再び時を刻み始めた。

 窓の外から、風の音と小鳥のさえずりが聞こえてくる。

 空中で静止していた埃が舞い、涙の粒が重力に従って床に落ちた。


 世界が、再び動き出したのだ。


「……終わった、のか?」


 ローレンスが安堵の息を漏らす。

 俺は眠っているミナを抱き上げたまま、振り返って頷いた。


【おしらせ】

※2/2(月)


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