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漂着
魔王とゲオルギウスは濁流の中にあった。
彼我を失う混濁の内、毒竜は魔王を抱き寄せる。
泥岩も、死骸も、鎧の破片も――濁流に巻かれたあらゆるものから彼を守る。
離さない。
傷ついても、離れない。
長い渾沌の最中に魔王の意識は暗闇へと溶けていった。
漂着。魔王が目を覚ます。森の奥深く。岩だらけの川岸。
飛び起きる。
探す。
傍らには毒竜。傷だらけ、ぼろぼろの布切れのように、そこで倒れ伏している。魔王が即座に寄る。手を鱗肌に触れ、胸元に耳を当て、その拍動する熱を捉える。生命は、未だここにある。
魔王は自らの胸の内に詰まるものを感じた。熱く、こみ上げるような、水圧。
喉元を押し上げ、呼吸が、ひとつ乱れた。
情など遠くに置き去った――筈だった。
ゲオルギウスを担ぐ。
岸から離れる。
森の奥へと引き摺っていく。
河川は次第に勢いを弱めていく。
辺りは冥闇に閉ざされ、得体の知れない囀りに包まれていった。




