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毒竜に花束を  作者: 剛毛戦士
【4章】
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漂着

 

 魔王とゲオルギウスは濁流の中にあった。

 彼我を失う混濁の内、毒竜は魔王を抱き寄せる。

 泥岩も、死骸も、鎧の破片も――濁流に巻かれたあらゆるものから彼を守る。

 離さない。

 傷ついても、離れない。

 長い渾沌の最中に魔王の意識は暗闇へと溶けていった。



 漂着。魔王が目を覚ます。森の奥深く。岩だらけの川岸。

 飛び起きる。

 探す。

 傍らには毒竜。傷だらけ、ぼろぼろの布切れのように、そこで倒れ伏している。魔王が即座に寄る。手を鱗肌に触れ、胸元に耳を当て、その拍動する熱を捉える。生命は、未だここにある。

 魔王は自らの胸の内に詰まるものを感じた。熱く、こみ上げるような、水圧。

 喉元を押し上げ、呼吸が、ひとつ乱れた。

 情など遠くに置き去った――筈だった。


 ゲオルギウスを担ぐ。

 岸から離れる。

 森の奥へと引き摺っていく。

 河川は次第に勢いを弱めていく。

 辺りは冥闇に閉ざされ、得体の知れない囀りに包まれていった。


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