第41話 交渉の場
お久しぶりです。
前回から1ヶ月ほど間があいてしまい申し訳ありません。
第41話になります。
よろしくお願いいたします。
ギルドを出て薄暗い夜道をレイナの手を引きながら歩き、後ろで静かに俺のあとをついてくるギルバザークをどう丸め込もうか一人ブツブツ考えていた。
後ろで大人しくしているギルバザークがイヤに気になる。もっと何かしら言ってくるもんだと思っていたが……まぁ静かなのはいいことだよな。
にしてもなんとか交渉の場までもっていけそうだがここから先が問題なんだよな。ドレイクが言うにはレイナさんの値段は通常購入で白金貨四枚。ただ買うだけならギリギリ手持ちが間に合うが、奴隷の権利を買うのはそれ以上の金が必要になる。権利を買うということは彼女の解放にも繋がるからなるべくそっちを買いたいところだが……。
「……ねぇ、ちょっと。早いわ……」
と、考え事をしていたからか俺は無意識に早歩きになっていたようでレイナが歩きにくそうに眉をひそめていた。
「あ、すまん……」
俺は咄嗟に手を離して立ち止まると彼女は掴まれていた手首を摩る。見ればほんのり赤くなっていた。気付かずに握る力を強めていたみたいだ。
すると俺とは違い、妙に落ち着た雰囲気でレイナは俺の耳元でささやく。
「焦りを気取られると不利になるわよ」
「…………」
……まさか彼女に諭されてしまうとは。本来ならレイナのほうが気が気でないはずなのに。こんな俺を信頼してくれてるのか……。
確かに交渉するにおいてこちら側が不利だと知られれば交渉は交渉でなくなる。
不意に後ろにいるギルバザークをチラリと目だけやると視線が合ってしまった。あいつずっと俺たちのやりとりを見ていたってことか……。
あの鋭い眼光は俺を完全に捉え、雁字搦めのように絡みついて離れない。なんなら瞬きをしているのかも怪しい。
ずっと俺を品定めしているみたいに観察しながらギルバザークは閉ざしていた口を開く。
「…………どこまで行くつもりなのだ」
「もうすぐだから」
不満気に顔をしかめるギルバザークに俺は前へ向き直って口だけ返した。背後からヤツの疑念のプレッシャーが押し寄せてくるが頑張って無視する。
そして、言葉通り数分後俺は目的地である悠久亭へと到着した。
「……ここは」
「悠久亭って店」
「悠久亭……」
奥まった所にある寂れた風貌の悠久亭にギルバザークはどこか遠い目をしてみていた。
もしかして来たことがあったりするのだろうか。まぁこの店自体だいぶ昔からあるみたいだし知っててもおかしくはないか。
とりあえず早急に話をつけてレイナを解放しなければ。さっきギルバザークの焦り方も気になる。
「すみません、クアッドさん。鬼束です」
明かりが灯っている悠久亭の扉をノックして居るであろうクアッドを呼び出してみる。しかし中からの反応はなかった。ドアノブに手をかけてみるが鍵がかかっていてビクともしない。
……そりゃ急に来たって開いているわけもないよな。どうしたもんか……。
流石にあんな見栄を切っておいて「すみません、やっぱ明日にしてくれませんか?」って言うのは滅茶苦茶恥ずかしい。空回りしてるなぁ……。
「おや、紅桔さんではありませんか。こんな夜にどうかされましたか?」
「おひゃぁ!?」
「おわぁ!?」
突然背後から声をかけられて肩が跳ね上がる。その拍子に肩に乗っていたスラさんが俺の肩から地面へとスライムダイブを決めた。
後ろを振り返ると買い物帰りなのか袋を抱えているクアッドが二人の後ろから現れた。
……なんかこの登場の仕方デジャヴなんだが。
しかしクアッドが居てくれて良かった。これでギルバザークと話が出来る。
「クアッドさん、例の件なんですけど」
「ふむ……?」
クアッドは一瞬首を傾げて俺と他の二人の間で目を動かす。
「なるほど、だいたい分かりました」
そう言うとクアッドは店の鍵を開けると扉を開いて中へ入り、俺たちを中へ誘う。
「どうぞお入り下さい。今宵はご予約のお客様のみの貸切です」
「ありがとうございます」
促されて俺とレイナ、スラさんは中へと足を踏み入れるが、ギルバザークは立ち止まったまま動かなかった。その表情はどこかバツが悪そうにギルバザークはクアッドの顔を見つめていた。
そんな変な様子のギルバザークにクアッドは表情を和らげる。
「どうなさいましたか?」
「……いや、失礼する」
「ええ、どうぞ」
ギルバザークは素直に店の中へ入り、クアッドに促されるまま奥のテーブル席へと俺たちを案内した。
俺とレイナは隣り合わせで座ると、その対面にギルバザークが鋭い目つきを俺に向けながら座った。
今からこの難攻不落の奴隷商人を如何にして交渉し、レイナさんを買いあげるかが問題だ。
するとクアッドがゆっくりと俺たちの前にカップを置くと、銀のポットを片手にからのカップへとコーヒーのようなものを注ぎ始めた。この世界にコーヒーってあるのか……?
「これはサービスです」
「あ、すみません……」
俺はクアッドに軽く頭を下げる。その瞬間ふんわりと芳しい香りが鼻腔の奥をつついた。覚えのあるその匂いに俺は少しばかり緊張がほぐれていくような気がした。
しかし、その緊張は完全にほぐれることはなくカチャリとソーサーとカップの擦れる音が俺の気を引き締めさせる。
音の方を見るとギルバザークがカップに口をつけ、優雅にコーヒーを嗜んでいた。様だけ見れば本当にどこかの貴族のような立ち振る舞いだ。こんな人物が奴隷商人なんかやっているのだから異世界というのは想像がつかない。
あらかたコーヒーを飲むとギルバザークはカップをソーサーに置いて俺を見据えた。
「で、君。本気なのかね」
その声音は落ち着いているようで刺々しくも感じられた。
ここで怖気付いていちゃ隣にいるレイナに示しがつかない。今も不安そうにして静かに目だけを俺に向けている。
俺はギルバザークの気迫に負けないように目に力を入れて口を開いた。
「本気です」
「そうか……言っておくが彼女は高いぞ」
「覚悟の上です」
さて、ここから本番だ。ドレイクから聞いた値段からだときっと俺はレイナの権利を買うことは出来ない。だがまだ奴隷として買うことはできる。
俺が目指すべき目標は彼女を買って、奴隷からの解放。すなわちレイナの首に付けられた隷従の首輪の解除方法を知ること。
そしてミラが言っていた。隷従の首輪の解除方法はその持ち主が死ぬか、持ち主自身が解除するしかない、と。
俺の最終目標はレイナを奴隷から解放すること。
奴隷を買ってしまって俺が犯罪者になるかどうかなんて二の次だ。所詮、俺は別世界の人間だからな。
そう考えているとギルバザークがまた口を開いた。
「まず初めに聞かせて欲しい。少年、君はなぜ彼女を解放したいのだ?」
「えっ、そんなの……。人として当たり前だからじゃないですか」
しかし、ギルバザークは眉をひそめて顔をしかめた。俺は至極当たり前のことを言ったつもりだが、綺麗ごとは気に食わないらしい。
それとも俺が常識外れな回答をしているのかもしれない。
「……ウソだな。君が本気で彼女を解放したい……いやその行いが善行だと信じているのなら、金銭で解決しようなどとは思わないだろう」
「この場合、金で解決するのが一番平和的だと思っただけだ」
「よく平然と白々しく言えるものだ。君のしていることはこの国が嫌う貴族たちと同じことだというのに」
「……何が言いたいんだよ」
「君の言っていることは建前だということだ」
……一応、嘘ではないんだけどな。
チラッと横に座るレイナの顔を横目で見ると、彼女は少し俯いていた。
「別に私は君が奴隷を買おうが解放しまいがどちらでも構わないがね。この娘を高く買ってくれるのならそれに越したことはない」
ということはギルバザークにとって相手が貴族だろうが平民だろうが関係なしに売ってくれるってことか。
「なら本題に入ろう。レイナさんの権利はいくらなんだ」
俺の問いかけにギルバザークは少し考え込む素振りを見せた。そして一呼吸置いた後、口を開いた。
「白金貨二十五枚」
「にっ……」
ギルバザークの言葉にその場にいた俺たちはつい耳を疑ってしまった。レイナさんなんか驚きを隠せないのか難しい顔をしている。
たかだか倍かそれにプラス上乗せくらいで思っていた。しかし俺の予想などはるかに超える額が突き出されてしまう。やはり権利を買うことは難しいか……。
俺が押し黙るのを見てギルバザークはほのかに口端を上げる。
「まさか用意がないのに権利を買おうとしていのか」
「……」
「ハァ……図星とはね」
呆れたギルバザークは腕を組んで溜息をつき、ふんぞり返るように椅子の背もたれへ身を預ける。しかしここで引き下がるわけにはいかない。
こちらもまだ諦めていないという意志を見せつけるために強気でいく。
「なら奴隷としてはいくらになるんだ」
「それを聞いてどうするつもりだ。この国では奴隷を買うことは重罪になるというのに」
「承知の上で聞いている」
「……狂人め。そんなにその娘が気に入ったか」
「俺は、人助けをしてるつもりだ」
「奴隷を買うことがどう人助けに繋がるというんだ? 所詮は自己満足の為に買うのであろう?」
「少なくとも、ここにいるレイナさんはどっかの知らないお貴族様よりは俺に買って欲しいみたいだけどな」
そうなのか?とでも聞きたそうな顔をしてギルバザークがレイナの方を見やる。それに対して怯むことなく彼女はギルバザークを見返した。
「ふむ……それは嘘ではないようだ」
「初めから嘘なんてついていないんだけどな」
「だが彼女の意志とこの売買に関しては何の関係も因果もない。君はあくまで購入者であり、その娘は商品だ。商売において商品の意思が関与するとでも思っているのか?」
「……俺はレイナさんを物として見てないから分からないな」
「詭弁だな」
この世界じゃ俺の方が異端なのか、奴隷に対して情なんてものは存在しないらしい。レイナだって言葉を話すし、自分の考えだって持っている。
「じゃあ聞こうか」
「なに?」
「買われる本人に」
「……聞いてなかったか? そこの商品がなんと言おうと「レイナさんはここで俺に買われるのとこの先知らない貴族の人に買われるのとどっちが良いんだ?」
ギルバザークの言葉を無理やり遮り、俺は隣に座るレイナに顔を向ける。すると俺の問いかけにレイナは一呼吸も置かずに答えた。
「あなたに決まってるじゃない」
「ぅお……おう」
迷いのない表情でレイナは食い気味に迫ってきた。流石に二つに一つな選択肢のつもりだからなんの危惧もしていなかったが、こんな信頼しきったようなことを言われるとは思わなかった。
気恥ずかしい反面、頼られていると思うと自然と勇気が湧いて来る。もし彼女の言葉が俺をつき動かすための建前であったとしても。
「茶番だな」
しかし俺とレイナの会話を聞いてギルバザークは唾棄をするように舌打ちした。
「君たちがどう考えているのかなど心底どうでもいい。私は奴隷商人であり、君は客だ。私の商品を高く買ってくれるのであれば文句はない」
「そうか、なら」
「だがそれは奴隷を買える場所においての話だ」
「……」
「この国で奴隷を持つことなどは不可能だ。だがその抜け道を使えば確かにこの国でも奴隷を持つことはできる」
しかしとギルバザークは言葉をつづけた。
「法の穴を突くというのは同時に多大なリスクも伴うものだ」
「リスク……。俺にはあるがあんたには関係ないんじゃないのか」
「何を言う、むしろこれは私の方にしかリスクがないのだぞ」
「……?」
「君は金を払ってしまえばその娘を法に触れることなく手に入れることができるが、私の方で購買証書を処分する必要がある。しかし奴隷商人も色々検閲などがあって国へ入る時と出る時に調書を取られ、その際入国時と出国時で差が無いかを調べられる。その時私が預かっている購買証書を隠し通さなければいけない。分かるかね?」
「お、おう」
「権利を買うというのはね、購買証書を隠蔽し、なおかつ隷従の首輪を解除してその娘に戸籍を用意しなければならないのだよ」
「な、なるほど。けど証書に関しては処分すればいいんじゃないのか?」
俺の純粋な疑問にギルバザークは困ったように大きなため息をついた。
「ハァ……少年、君は権利の話は知っているくせにそこは何も知らないのだね」
「すんません……なにせ訳アリですから……」
「訳アリ……?」
不思議そうにギルバザークはその場にいるレイナやクアッドに目配せをした。しかしレイナはこれを言ってもいいものなのか分からず不意にクアッドの方へ視線をやる。
その視線を感じとったのかカウンターでグラスを拭いていたクアッドが仕方がないとでも言いたげに口を開いた。
「ふむ、ギルバザーク殿。このことは他言無用にて願いたいのですが」
「……承知した」
おや、クアッドだとギルバザークも何故か素直だな。
クアッドの神妙な面持ちにギルバザークも口を噤んで耳を傾ける。
「コーキさんなのですが、実はこの世界の方ではありません」
「……まさか」
クアッドの一言に思い当たる節があるのか、ギルバザークはゆっくりと目を見開いた。
「コーキさんは召喚された勇者様です」
「いや、勇者じゃないからね?」
案の定クアッドの口から勇者という言葉が出てしまったので、ここはちゃんと訂正しておく。みんな勇者の定義知ってるのかしら……? 召喚イコール勇者じゃないからな? もしかしてカイトとミラが勝手に言ってるだけなのか?
だが悲しいかな、俺のツッコミも華麗にスルーされてしまう。
「……しかしアステリシアが勇者を召喚したなど耳に入ってこなかったが」
「ええ、それは当然です。なんせコーキさんはこの国で召喚されていませんから」
「なんだと」
「まだ推測の域ではありますが、ほぼ確定的にコーキさんを召喚したのはウランドラスではなかろうかと」
「待て。本当にウランドラスならばヤツはアステリシアと盟約を交わしているはずだ。なのに召喚のことなど一切……」
そう言いながらギルバザークはふと口を止める。そしてギルバザークの考えていることをクアッドが代弁した。
「十中八九、盟約違反ですね」
「ウランドラスならやりかねんな」
ウランドラス、信用無さすぎだろ。この世界の奴隷発祥である本拠地が奴隷商人にまでそういう目で見られてるとか、どれだけなんだよ。
「まぁ少年の事情はわかった、だが君が勇者ならば奴隷を買うこと自体に大きなリスクを伴うことになるぞ」
「勇者じゃないんだけどなぁ……」
「君がどう言おうと別の世界から召喚されたものは勇者扱いされる。そして勇者が奴隷を買ったとなったら大問題だろう」
「まぁ……そっすね」
すると横からレイナが俺の袖をちょいちょいと引っ張ってきた。とレイナはどこか申し訳なさそうにしていた。
安心して欲しい。問題を被るのは、最初から覚悟済みだ。
「それでも俺はレイナさんを買って奴隷から解放したいと思ってる」
「…………」
自分には似つかわない真剣な表情で真っ直ぐとギルバザークに己の言葉を放った。こればっかりは嘘偽りは無い。
「それに、ギルバザークさんは一刻も早くレイナさんを手放したいんじゃないのか?」
「む……」
一瞬ギルバザークは眉をピクりとひそめた。
「ギルドでも言ったけどさ、あんたんとこの傭兵に会ってさ。ここへ戻ってくるまでちょっと襲われてたんだ」
「……」
「流石に不意打ちで襲われた時はびっくりしたけどさ、こっちもちょうど良かったから色々話を聞いてみれば俺以上にレイナさんへ執着があるみたいだな」
ペラペラと話す俺に対してギルバザークは何も言わず、ただじっと俺の言葉に耳を傾けていた。
「それに今までもドレイクとはいざこざがあったんじゃないのか? 例えば、その傭兵があんたの言う商品に手を出そうとしてたとか」
「……だとしてなんだと言うのかね」
「あんたがここで俺にレイナさんを売ってしまえばドレイクに付きまとわれることは無いと思うんだが」
「私に恩を売ろうと言うのか」
「まさか、そんなことは一ミリ足りとも思っちゃいない。これはただの口実だ。俺はレイナさんを売って欲しいし、あんたはドレイクから商品を守り通して売りたい。違うか?」
「その通りでは、ある……」
「なら簡単じゃないか。ここで俺に売ってしまえばドレイクから狙われることは無くなる、そして俺はレイナさんを解放することが出来てみんなハッピー」
「だが、それでは君が」
「ギルバザークさんって奴隷禁止の国で奴隷を買うこんなやつのことなんか心配するのか?」
「……いや」
「じゃあ売ってくれるんだよな」
「…………」
ギルバザークはなにか思うことがあるみたいだ。だがそれを口にすることはなかった。
沈黙は肯定と見なすぞ。これは世の常だからな。
とにかくこれで第一関門突破だ。かなり強引だが売ってもらえるのであればそれに越したことはない。あとは値段交渉だな……。
ドレイクの言うことを信じるとするならば今の俺の手持ちでは白金貨一枚分足りない。さてどうするか……。
「よし、で、モノは相談なんだけどな「待って」
と、話を切り出そうとした瞬間、隣のレイナが遮ってきた。
「私が言うのもなんだけれど、本当に買うの……?」
「え、なに。今更どしたんすか」
「これで話がついたとして私はその……助かるけれど……」
「なんの心配してるんだ?」
「ほ、本気で言っているの……?」
「あー……もしかしなくとも俺の心配してるのか? それなら心配しなくてもどうせ俺は元の世界に帰る予定だからな、罪がどうとかなんとも思っちゃいない。それに奴隷を買って罪に問われようともこれはレイナさんを助けることに変わりないから間違ったことしてるつもりないし」
「で、でも……」
「まぁ確かに一番厄介なのはドレイクだよな。こればっかりはギルドに言ってレイナさんを保護してもらうようにマスターに掛け合うから大丈夫だ」
しかし意気揚々な俺に対してレイナの表情は芳しいものではなかった。別に心配するようなことなんて無いと思うんだが……。
「あ、勘違いしないでくれよ? 別に自己犠牲の精神とかそんなんじゃないからな? ただ俺の自己満足でレイナさんを解放した後、ハイさようならじゃ無責任すぎるだろ? 自分の行いを偽善で終わらせたくないだけだ」
「…………」
「それに俺が居なくなっても大丈夫だろ?」
「っ……」
「マスターや他の人だってレイナさん、氷人族の事情を知ってるから変なことしないだろうし安心してくれ」
だが俺が何を言ってもレイナの顰めた顔は明るくならなかった。
「……少年、話を進めようか」
「あ、ああ」
「君がその娘をどうしたいかはよく分かった。私も奴隷を売るほどの価値を持った相手であれば安心して売れるというものだ。故に、君にその娘を売っても良いと判断した」
「お、おお……さっきまで渋ってたけど良いのか?」
「構わん。気が変わったのだ」
まぁそれならそれで良いんだけどな。
「では、具体的な金額の話と行こうか」
ギルバザークはレイナの値段について交渉始めた。始めはドレイクが言っていたように白金貨五枚からのスタートとなった。奴隷商人だから値切るなんて出来ないかもと勘ぐっていたが案外そういうわけでもないらしい。
しかし、その交渉はやはり容易なものではなかった。
次回は11月26日予定です。




