1-8.シズvsセバフ
ワイナ村の話し合いの結論が出た。
「共存を受け入れます」
「わかった」
スピラ族が早速村にやってきた。
「誰かが襲ってきたら、我々が追い返す。土地を貸してくれれば、我々も作物を育てよう」
ワイナ村の人族とスピラ族の共存は上手くいきそうだった。
シズとクラウスが村に残り、ヒュンケルとセレナはランの案内でローラが囚われているであろう山奥の一軒屋を目指した。
「急ぐなら風のように走りますけど」
「なら俺とセレナはフライ(飛行魔術)で付いていく」
ヒュンケルはセレナを抱き上げると宙を舞うように飛んだ。
「怖いんですけど」
セレナがヒュンケルに抱かれながら、高速で宙を舞い、ビビっていた。
「慣れてもらうしかない」
空を高く飛ぶのは、誰かに見つかる危険があるので山の中をスレスレに飛んだ。ランは枝から枝へ風のように飛んでいく。
「あれがそうです」
「確かにポツンと一軒屋だ。・・しかしどうやってここに建物を建てたんだ?」
近づいてみると人の気配はない。
ドアに鍵はかかっておらず、容易に入ることが出来た。
「誰もいませんね」
「だが、最近まで誰かが居た形跡はある」
ヒュンケルはあきらめてワイナ村に戻った。帰りは転移魔法で戻った。
「もぬけの殻だった。だが、最近まで居た形跡があった」
「もう、託っておく必要が無くなったとか・・」
「猶予はないな。釣られてみるか」
トリエルタウンにセレナとシズが足を運んだ。ケルンが街のどこかに居るはずだと思っての行動だった。
「セレナだ、捕まえろ」
見つかったセレナはシズと一緒にケルンの居る建物に連れていかれた。
「城を抜け出したと思ったら、街に居たとは・・」
「ローラはどこです」
「安心しろ。バジルが使える間は危害を加えない」
「今、どこに?」
「会わせてやる、一緒に閉じ込めてな」
セレナとシズは馬車に乗せられて街を出た。シズはヒュンケルとテレパスで連絡をとった。
『馬車でローラが居るところに連れていかれるところです』
『うまく釣られたな。セレナは無事か』
『はい。問題ありません』
そしてシズとセレナは郊外の館で下ろされた。
館の奥の部屋にローラは閉じ込められていた。
「ローラ!」
「セレナ!」
二人は抱き合って無事を喜んだ。
『ヒュンケルさま、ローラを見つけました。無事です』
『わかった。そっちに行く』
男たちがやってきて
「ローラとセレナは捕らえておけと言われているが、付き添いのお前は用済みだ。俺たちが料理してやる」
とシズに言った。
「あら、料理は私のほうが上手よ」
「何を!」
「ライトニング」
シズが電撃を放ち、男たちを倒していった。
「おまえも魔術師か」
セバフが現れた。
「大男が居ない今のうちに、お前の相手をしてやる」
「私を見くびらないほうがいいわよ」
「俺のこともな」
セバフは周りに魔方陣を出した。
その魔方陣から光が溢れると、シズめがけて光が放たれた。
「俺の上級魔法。いきなりで悪いが砕けて消えてもら・・え?・・」
光が消えると、シズは平然と立っていた。
「それで終わり?」
「嘘だろう」
「上級魔法というわりに、大したことはないわね」
「な、何者なんだ」
「魔族とだけ言っておくわ」
「魔族?・・」
「お返ししないとね」
「わ、わ・・待て。待って・・」
「ファイヤーバースト」
セバフに強力な火炎魔法が放たれた。
「防御魔法が効かない・・」
シズとセバフでは魔力のレベルが違いすぎた。
セバフはシズの放った火炎魔法で焼かれた。
「意外にあっけなかったわね」
ヒュンケルが転移魔法でやってきた。ヒュンケルはシズが居る場所なら転移してこられる。
「魔術師のセバフを焼いてしまいました」
「・・あ、そう・・ごくろうさま」




