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2-3.アリサの秘密

「今から街に戻っても夜になるし、野宿は出来ますか?」

 アリサがヒュンケルに聞いた。

「野宿は今までも何度もしている。が、転移魔法が使えるから、野宿しなくても街に戻れるけど」

とこたえると

「転移魔法も使えるんですか?」

とアリサはまた驚いていた。

「でも、冒険者協会は閉まっているかも」

 シズに言われ

「じゃあ、急ぐこともないか。野宿して、朝、転移して戻るか」

とシズに言って

「アリサも野宿は出来るんだ」

と聞いた。

「Sクラスの冒険者になるために、色々な経験を積んできましたから」


 ヒュンケル、シズ、アリサの三人で野宿をすることにした。魔物が出ても、三人なら怖いものはない。

「ヒュンケルさんたちは何処から来たんですか? 私はルウォール国から出たことがないので、ヒュンケルさんのような力を持った人に出会ったことはありません」

 アリサはヒュンケルの魔法の力に驚愕してしているようだった。

「ずっと遠い国だ。そこでシズたちと暮らしていたが、この世界のことをもっと知りたくなって旅に出た」

「そうですか。極大魔法を使えるのは羨ましいです」

「アリサはSクラスの冒険者らしいね」

「私の場合は幼い頃から父に剣技を教わり、コーリンタウンの冒険者になってさらに腕を磨きました」

「そう。実践を重ねれば腕は上がるだろうが、才能もあったんだろう」

 そう言うとアリサが

「信じてもらえないかも知れないけど、父から聞いたんですけど私は転生者らしいのです」

と身の内を話した。

「転生者?・・異世界に転移してきたのか」

「転生者が何かわかるんですか?」

「実は私もこの世界に転移してきた。私の場合は転移者として」

「転移者?」

「異世界への転移には転生と転移があるらしい。アニメから得た知識だが。例えば亡くなった後、新しい命を宿って異世界で生れるのが転生。亡くなったあと、元の姿で異世界に行くのが転移。私は元の世界で死ななかったし、魔王ヒュンケルとしてこの世界に転移してきたから正確に転移者といえるかわからないが。そのためか、いろんな魔法が使え、そのレベルも高い」

「そうだったんですか」

 ヒュンケルは魔王ヒュンケルとして転移してきてから、旅に出るまでのいきさつや、旅で体験した冒険談をアリサに話した。もちろん友人になったハーロック(雅則)の極大魔法『流星雨』の話もした。

 それを感心して聞いていたアリサは

「私は転生者なので、その前の記憶はありません。そいういうことも父から教わったんですけど。でも・・私はこの世界に特別な力を持って生まれ変わったようなのです。今はSクラスの冒険者としてコーリンタウンに住んでいます」

と教えた。

「どうしてきみのお父さんはアリサが転生者だと?・・」

「自分も転生者だと言ってました」

「おとうさんは、今どこに?」

「シューリン村で暮らしています。あ、このことは内緒で。父は表に出るのを嫌うので」

「・・わかった。聞かなかったことにする」


 ◇


 そして翌朝。

 ヒュンケルはシズとアリサを魔方陣に入れてコーリンタウンの街の近くに転移した。

「転移魔法も使えるなんて・・」

 アリサは驚いていた。

 そして冒険者協会に行き

「おはようございます。ドアボーグを倒してきました」

 受付嬢のイリスに挨拶して、ドアボーグの耳を入れた袋を出した。

 その中身を確認したイリスが

「ほんとうに倒してきたんですね」

と驚いていた。

「ええ。アリサはほんとうに強いですね」

 ヒュンケルはアリサを持ち上げた。

 トナンも現れ

「アリサは冒険者協会の、いやコーリンタウンの誇るS級冒険者だ。しかし・・まさかドアボーグを10体も倒すとは・・」

と驚いていた。

「それはヒュンケルさんが・・」

と説明しようとするのをヒュンケルが制した。

 イリスが

「では、報酬は3人に分配ということで・・」

と話し始めると

「いや、我々はアリサに協力しただけなので、3分の1ももらえれば・・」

とヒュンケルは遠慮した。そして金貨を3枚受け取ると協会を出た。

 アリサが追いかけてきて

「報酬はヒュンケルさんたちがもらうべきです」

と受け取ってきた報酬の金貨を差し出した。

「いや、私たちはよそ者。大金はいらない。アリサはこの街で必要とされているようだから遠慮なくもらっておけばいい」

「街を出て行くんですか?」

「近いうちにね。旅の途中にこの街に寄ったまでだ」

 アリサを置いて金貨1枚を両替商で換金して宿に入った。手数料をとられたが、バス、トイレ付きの高級宿でも1ヶ月は泊まれる。が、そんなに長居するつもりはない。


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