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8/17

ヒーロー

もう何時間立っただろうか。

お腹が空いた。喉も乾いた。気分も悪い。

手足が痛くなって痺れてきた。

逃げなきゃいけない、でも逃げられない。

魔法を使って逃げようとも考えた。でも私はまだ魔法の制御がうまくできないみたいで大雑把で派手で広範囲にしか魔法が発動できない。

下手したらこの倉庫の出入り口を塞いでしまって助けも来れなくなるかもしれない。それが一番最悪なパターンだ。

助けを待つか?いや、来ないだろう。第一場所がわからないんだから来ようにも来れないはず。

どうする。

せっかくのドレスも汚れてしまった。

足音がする多分複数人いる。さっきの3人組だろうか。


「よう、元気か。オヒメサマ。」


「何?あんたたちだれ。目的は?」


「威勢がいいもんだな、最近のオヒメサマは気が強いんだな。でも言葉遣いには気をつけな。ご加護前の子供なんざ指一本で殺せちまう。」


確かに殺せるだろう。でもあんたらくらい氷漬けにして殺せるのよ私だって。でも私にも被害が出るかもしれないから使ってないだけでしようと思ったらいつだってできるわ。

ほんっと私って運があるようでないのね。

私のメサイアコンプレックスは自分に濃い悪意をもってるものには発動しにくい。この状況で逃がしてくれるとは考えないほうがいい。


「へぇ、そうなの。あんたらなんかが殺せるのね。殺す度胸もなさそうなのに。」

言っちゃった。ムカついたらすぐに言っちゃうのやめたい。最近我慢してたのにこんなところでストレスが爆発するだなんて。


「はぁ?殺す度胸がない?言うじゃねぇか。舐めてると殺すぞ。」


「ぐ、あ......ッ!」


痛っ、あばらから変な音が聞こえた。多分折れてる。ほんとに蹴るなんて、嘘でしょありえない。


「ふざッけッてんじゃねぇッぞ!」


3回も蹴られた。痛い。骨何本か折れてると思う。

意識が朦朧としてきた。

さっきよりも濃い血の匂いがする。多分自分の血の匂いだ。

「おい、そろそろ辞めとけ死んじまう。」


あら、もう辞めるの。⋯強がろうと思うけど声が出ない。このままじゃ死んじゃうかも。


自分でもわかるくらい呼吸が荒くなっている。

心臓がいつもより強く激しくドクドクしてる。


さっきの蜘蛛が助けとか呼んできてくれないかな?この際誰でもいい、助けて。


逃げようと手足を動かそうとするけどピクリとも動かない。血が回ってない。

こんなチンピラに殺されるなんて嫌、嫌なのに。


死んじゃうのかな?私


涙が流れてくる。地面で擦った傷に入って少し痛い。

全身が痛い。もうヤダ。


「だれ、か、、、たす、、、、け、、て。」


音がする。でももう目が開けられない。いろいろな人の足音。

仲間がいたのかな。もう無理じゃん。

でもなんだか争ってる音が聞こえてくる。まさか見方?もうわからない。耳も聞こえなくなってきてる。

体が暑い。死んじゃう。


でも急に目がみえるようになった。光が差し込んでくる。

何?体の痛みがましになっていく。


目を開けるとそこにはアニメなどでよく見る正義のヒーローみたいなイケメンが居た。


「ルキ、ハ?」


「大丈夫化?しっかりしろ。今回復魔法をかけている。もう少しの辛抱だ。」


心配してくれてる声が聞こえる。回復魔法そんなのあるんだ。今は頭の中がスッキリしている。


もしかして、助かる?


私はそのまま意識を失ってしまった。


目を覚ますと布団の上だった。私の布団にもたれかかるようにルキハが寝ていた。心配してくれたのだろうか?


私は起こさないようにそっと布団から出ようとした。

すると後ろから誰かに手を掴まれた。


「うわっ。」


ルキハだ。


「リル!まだ立っちゃダメだよ。」


そう言って私は布団に戻された。

今でも少し鼻の奥から血の匂いがするような気がする。


「おきてくれてよかった。本当に。心配したんだよ。だから護衛からしっかり離れずに居てねって言ったのに急に走りだして何処かに言っちゃうし。

その説はごめんなさい。


「すみません。ありがとうございました。」


「ほんと僕が居ないとダメなんだから。いつでも僕を頼ってね。」


⋯⋯⋯⋯ああっーもうやだっ。頭にくる。何もかも、全部ムカつく。別に助けれもらわなくったってどうとでもなったし。何その言い方。まるで私が何もできないみたいな。ふざけんな。私言ったよね悪女ですよって。


「ふざ、けないでくだ、さい。」


「なんて?」


「だから、ふざけんなって言ってんの。わかる?」


「リル?どうしたの。」


「その偽善者っぽい態度も私のこと見下す言い方も全部全部ムカつくのよ。私言ったよね悪女ですよってホント嫌い。さっさと婚約破棄してほしい。」

言っちゃった。まぁいいよね。でももしかして王族への暴言とかで極刑になったりしたりする?


「くくっ……本当に君は、どこまで僕を惚れさせれば気が済むんだい。愛おしい。」


全身に寒気が走って身震いがした。なに。


「知ってたよ君が僕のことをどう思ってるかなんて。でもその上で好きなんだ。どこまでも面白い。どこまでも僕を好きにさせる。」


な、に?どういう事!?

やっと書きたいところが次の話でかける。

少しルキハのことが分かりましたね。とうとう次はルキハ視点でのお話です。

皆さんのルキハへの印象もガラリと変わると思うのでぜひ見てみてください。

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