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デート後半戦

その片眼鏡をつけた老人はこちらを見るなり深々と礼をして「どうぞお入りください。」といった。

その表情からは歓迎している色は一つも見えずただ灰色の目がこちらを見ているだけだった。


「失礼する。今日は僕の婚約者であるリルにこの前と同じドレスをもう数着作ってもらいたいんだ。」


すると老人は

「この前は旦那様のお願いで作りましたが今回はこのお嬢さんからのご依頼でしょう。」


「ああ。よろしく頼む。」


するとその老人はくるっとこちらに顔を向けて

「では。すこし話をしましょうか。」

その雰囲気は少し不気味で私は声を振り絞って小さな声で返事をした。


案内されたのは小さな談話室。孤児院のものよりも一回り小さく少しほこりっぽい匂いがする。


「お席にどうぞ。」


「はい。ありがとうございます。」


私は木でできたボロそうな質素な椅子に座った。その椅子は座るとギィという音がして少し怖かった。

でもそれを感じさせないくらいこの談話室の雰囲気は不気味だった。

ルキハや護衛などもついてこず老人と私のふたりだけ。何か話さなくちゃ。


「あっ、あの」私が喋りかけようとしたのと同じタイミングくらいに老人が話し始めた。

「お嬢さんはどうして旦那様と婚約したのですか?」


え?答えなきゃ。


「私がルキハ様と出会ったときに一目惚れしまして。それで、、、」


「嘘はいいんです。本当のことが聞きたいんです。」


「えっ⋯それは。」

今の私の笑顔は引きつってると思う。嘘?確かに嘘だけど見抜かれるとは思わなかった。

その老人の目は私の真意を見るかのように鋭くこちらを見ていた。

なんだか嘘をついちゃダメな感じがする。いやこれは嘘をついても見抜かれる!


「何を言っても本人には言わないさ。私は本心が知りたいんだ。このドレスにふさわしいお方かどうか、が。」


「っ。分かりました。私はあのお方との婚約を破棄したいですわ。ですが今は負けてばっかりです。何もうまくいきません、何もできません。自由もございません。私はもともと孤児です、こんなところで生きるよりも下町で生きるほうが良いかもしれないです。ですが負けっぱなしは嫌です。ですので使えるだけお金を使わせて婚約破棄させてやると思っております。婚約は無理やりです、なら無理やり婚約破棄させてもよろしいでしょう。」


「は?」


は?   思いっきし引いてるじゃないの。え、もしかしてヤバいこと言った。


「ははっ。はははははっ!」

老人は声を上げて笑い始めた。

「勝ち負けか、お嬢さんの考え方は分かった。そんな考え方もあるんだな。面白い。」


え、なんで笑ってるの。

でもこれってドレス作ってもらえるんじゃないの!やった。やったわ。


「じゃじゃあ。」


「でもダメだ。あのお方を裏切るかもしれないものには作れない。私はあのお方に救われた。」


なにそれ。裏切る⋯違う。

「裏切るですって。そんな意地の悪いことはしないわよ。そんなの卑怯じゃない、そんな事したらそれこそ負けじゃないの。私の考えを何わかってないのね。これは私とルキハの勝負周りにどう言われようと絶対勝ってみせる。」


そうよ。裏切るだなんて卑怯な真似私はしないわ。舐めないでよね。



「だからあなたは私のためにドレスを作ればいいの。あなたはあの人を卑怯人にするつもり?」


「な、卑怯人などにさせる?この私が。私はあの方のために尽くすのみだ。」


「あら私にドレスを作らずルキハだけに服を作って不平等じゃない?」


「そ、それは。」


「なんであんなやつにこんなに恩を感じてるのか知らないけど技術はいいんだからみんなのために作りなさいよ。」


はぁ。ドレスゲットならず失敗ね。


「では失礼するわ。」

私は一礼して部屋をあとにした。


「ルキハ様、只今戻りました。私では無理だったようです。時間が余るので下町を見て回ってもよろしいですか。」


「、そうか。分かった。ただ護衛からは一定の距離を保て。それがルールだ。」


「分かりました。」


私はそう言ってこの店を出ていった。

(残念だわ。別のところでは作れないのかしら。)

少しの後悔とスッキリした気持ちで私は他の店を回ることにした。


馬車から開けた道に降りた。綺麗。

赤茶色のレンガでできた道、様々なものが並んだお店。どこから回ろうかしら。


あ、こっちもかわいい。こっちも美味しそう。こっちもきれーい。ヤバい。ほんとにどこから回ろう。


「お〜い、はしゃぎすぎないようにね。離れないようにね。」


「わかってますって〜ってここどこ?」


えっと確かいろいろなところ回っててはしゃいでて、でいまここ、どこ。

俗に言うスラム街みたいなところ。はしゃぎすぎてて周りが見えてなかった。ツンと鼻を刺すような血の匂い、落書きまみれの壁は時々赤くなっている部分がある。

(まさか血?いやいや落書き用のペンキよね、ね)


どこだろう。なんでこんな奥まで来るまで気づかなかったんだろう?

はぁ出口が見えない。どうしよう。


一旦進もうか。なんか今日の夢の最初の道みたい。不気味。


よしUターンしてっと⋯誰?

振り向くと大柄の男が3人ほど立っていた。タトゥーのようなものをいれているものや目元に傷のあるもの。絶対何人か殺してるでしょ。この人達。

首元に冷や汗が筋を伝って落ちてくる。

ヤバい。逃げなきゃ。


そう思ったときにはもう遅かったんです。いつの間にか気を失って今はよくわからない汚い倉庫で蜘蛛とふたりで過ごしてます。

捕まった。最悪。どうしよう。

リルちょっと調子に乗ってはしゃぎすきましたね。捕まってしまいました。

次回ヒーローです!

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