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56話 退学者の末路

この話で第一章は終了です。

いや~ここまで長かった。


 どうして……どうしてこんな悲惨極まりない状態に陥ってるの?


 自室の布団に包まりながら、私は絶望に押しつぶされていた。

 

 学校側に誠也へ働いた私の悪事は全て露呈し、下された処罰は退学処分となってしまった。

 まだ入学して間もない高校を辞める事となり、私の人生の歯車は完全に狂いだす。しかも退学した理由が、誠也へのいじめの教唆、この事実に両親は嘆き悲しみ私を責め立てた。


 『この人でなしがッ! お前はどうしてあんなにも優しかった大道君にこんな真似を働いた!?』


 お父さんには容赦なく頬をはたかれ、一晩中怒鳴り散らされた。


 『誠也君があなたに何をしたというの? 逆恨みとしか言えない動機で学校の先輩をけしかけて、いじめを誘導させるなんて……』


 お母さんは泣き崩れながら、私の犯した罪の重さを非難し続けた。


 これまで私は自らの行いに誤った事をしている自覚は薄かった。むしろ、最終的には誠也の為になるとすら信じていた。

 だが両親から向けられた激しい怒り、失望、嘆き、様々な負の感情をぶつけられ、これまで芽生えなかった罪悪感が少しずつ胸の奥底から滲みだしていた。


 ねえ、誠也……私は……間違っていたの……?


 もう決して声の届く筈のない幼馴染に心の中で問いかける。

 無論、返って来る言葉なんてありはしない。ただ、彼からの答えはなくとも、両親の憤慨していた姿を思い返せば、間違っていたと嫌でも理解させられてしまう。


 「これからどうしたらいいのかな?」


 今回の一件で家族は私の存在を完全に見放した。


 『成人までは家に置いてやる。だがな、お前にはほとほと愛想が尽きた。18歳の成人と同時にこの家からは出て行ってもらう。勿論それ以降は絶縁だ。生涯この家に、いや私たちの前に顔を出す事は許さんぞ!!』


 父から告げられた成人と同時の勘当宣言。

 隣で母は泣きじゃくりながら『どうしてこうなったの?』と嘆いていながらも、私を庇ってなどくれなかった。


 もう……私の人生には何も残っていない。


 愛していた幼馴染を失い、仲の良かった友人も失い、血の繋がりを持つ家族をも失った。それにこの先の人生だってどう生きていけばいいのかすら分からない。親からの援助は一切なく、あと2年ほどで家まで追い出される。貯蓄なんてものはなく、追い出された後の行き場に当てもない。


 ここまで追い込まれてやっと現実を受け入れた。

 私の行いは全てが間違いだらけだったのだ。


 誠也を愛していながら嘘告白などをして彼を傷つけた事も、先輩達をけしかけていじめを誘導した事も、まともな人間の思考力なら誠也の為になどなっていないと分かる筈なのに。でも自分はその〝まともな人間〟にカテゴライズされていない。

 どこまでも自己中心的なクソ女、そんな私を誠也が見限るなんて当然の帰着だったのだ。そして、傷つき苦しむ彼を必死に支える北條が……星良が選ばれる事も当たり前だった。


 「もう……何も考えたくないな……」


 今更申し訳ない事をしてしまった、そのような認識ができても手遅れだ。

 両親の話では、誠也やおばさんから今後一切の面談を拒絶されたらしい。つまり誠也に謝る資格すら、今の私は持ち合わせてはいない。


 「私……生きている意味ってあるのかな?」


 自暴自棄となった私の口からそんなセリフが無意識に零れる。

 この先の人生、私に幸福なんて訪れやしない。只々、自らの行いに苦悩し、そして罪悪感に苛まれて生きていくだけの人生なんて……。


 「………」


 布団から抜け出た私は机の前まで足を運ぶ。

 勉強机の上にポツンと置かれていたカッターを手に取り、カチカチと伸ばした切っ先を乾いた瞳で見続けた。



 ◇◇◇



 荒れ果てた部屋の中で中島馬頭は奇声を上げて暴れていた。


 どうして俺だけが退学処分なんだよ!?


 学校から下されたこの処分に、俺は納得などできる訳もなかった。

 

 確かに俺は大道をイジメたさ。でもどうして俺だけが退学なんだよ!? 俺以外の連中だってあいつをイジメていたってのに……。


 他の2年の協力者は、直接手を出していなかった点が考慮され、長期の停学処分こそ受けたが学校を辞めるまでには至らなかった。手を出してしまった、その一点で俺はより重い罪を背負わされた。当然納得など行かず、せめて停学処分で許して欲しいと懇願したが徒労に終わっただけだった。


 親からも見放され、高校も退学となった。


 こうなったのも三日月のせいだ。あの女のせいで俺は……。


 あの女が俺を唆さなければこんな事態に陥る事もなかった。

 きっとこの先も学友と笑って過ごし、サッカー部で仲間と汗を流していたはずなのに。


 「絶対に許さねぇぞあのクソ女が。きっちり責任を取らせてやる」


 もう俺には失うものはない。それなら、徹底的に開き直ってあの女を道連れにしてやる。



 

不穏な終わり方ですが、次回から新展開に突入します。

この二人に関してですが、頻度は少ないですが今後も出していく予定です。まあ、まともな登場などできないでしょうが……。

それに次回の第二章からは、これまでまったく姿を現さなかった星良以外の3大アイドルも絡んで来ます。

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― 新着の感想 ―
「〇ねばいいのに」と言うのは簡単なので 「生きて苦しめ」と言ってやりたいwwww 全寮制のすげー厳しい所に放り込んでやった方が世の為。
あれだけ長い間いっさい日本語通じなかった双葉が今更自分のした事を理解できたとは到底思えないのだが………(´;ω;`)困惑 親に言われたらようやく自分の邪悪さが理解できたのかな……(´・ω・`)? そん…
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