温泉旅行②
ガタンゴトン。ガタンゴトン。
私と氷堂先輩は電車に乗って移動中。
よもぎ駅から近くの都会の駅に移動したあと、山王線の電車に乗って移動した。
そのあと、山王線からまた乗り換えて、今は一両しかない電車に乗って移動中。
よもぎ駅を出発してから約1時間半くらいたっただろうか。
この電車の様子は閑散としている。
乗っているのは私と氷堂先輩と若干数名程度だ。
ガタンゴトン。ガタンゴトン。
キィィィ。
カーブに差し掛かったのか電車とレールの間で金切り音を上げている。
車窓から見える景色は最初は所々近代的な建物が見えていたものの、進むにつれてそれが畑や民家に移り変わっていって、今は山が近くに見えている。
「敦子ちゃん。なんだか落ち着くわね〜」
「そうですね〜」
車内には私たち以外に会話をしている人は見えないし、聞こえる音は電車が進んでいく音。
目に映る景色は都会のような喧騒とした物ではなく、畑、山、木造の家と非常に落ち着いた物。
夏であるにも日差しはそんなに強いと言うわけでなく、外から入ってくる風がすごく心地よい。
私たちはそんな空間を会話で無駄にしてしまうのではなく、隣に座って穏やかに楽しむのであった。
私も朝早く起きたからか、氷堂先輩の肩を借りて、寝てしまっていた。
氷堂先輩も俺と寄り添い合うようにして眠っていた。
そして…………
「……あつこちゃん。……あつこちゃん。ついたわよ……」
「ふぁぁぁあ!」
「かなり、ぐっすり眠っていたみたいね」
「あっ! ごめんない……」
私は完全にぐっすりと眠ってしまっていたみたいだ。
別にここで変身が解けてしまうなんてことはなく、私はゆっくりと腰を上げて、外へと出る。
到着したところは終点のようだった。
私が外へと出ると、
「うわぁ! 涼しい!」
「そうでしょ! ここは山の中だからね!」
気温はおそらく20度くらいだろう。
都会の気温はこの時期にはもう30度を超えて、かなり熱い。
「夏に温泉ってなんだかなぁって思っていたんですけど……こんなに涼しいならきもちいいですね!」
「あつこちゃんはわかってるわね!」
うん! 夏は湯船に浸かるのも億劫になるからな……
これだけ涼しいなら露天風呂はいろんな意味で最高だな……
「じゃあ、早速! 旅館に!」
「うーん……最初に旅館に……まぁ、いっか! 旅館に行って荷物を置いたら温泉街に出ましょうね!」
「あっ! そうですね! そうしましょう!」
俺たちは山にある駅から目的の旅館に向かっていくと、視界が突然白くなった。
これはホワイトアウト! なんてあるはずもなく、黙々と温泉の湯気が立ち込めていた。
「うわぁ! すごいですね!」
「でしょ! ここは温泉がすごい湧き上がってくるからね! 街のところまで温泉が出ていて、湯気がいつも立っているんだよ!」
温泉街は整備が整っていて、岩にやって作られたと思われる歩道に湯気が出ている川。
温泉を利用した屋台。足湯。そして、観光客がちらほらいた。
私たちは今日泊まる旅館へと向かった。
チェックインをしようとすると、
「ようこそ! お越しくださいませ! って誰かと思えばしーちゃんじゃない!」
「お久しぶりです、女将さん!」
「本当に久しぶりね! 一年ぶりかしら! 隣の子はお友達?」
「はい! 友達の敦子ちゃんです!」
「あ! 女将さん! はじめまして! 前田敦子と申します」
「ようこそ! 月光館へ。しーちゃん一年見ないうちに大きくなったわね!」
「いえいえ、大して変わらないですよ……」
「そんなことないわ! とても綺麗になったわよ! それにお友達をここに連れてきてくれるなんて、わたし嬉しいわ!」
「じゃあ、女将さん。お部屋の方に案内してもらってもいいかしら?」
「もうちょっと話したい気分だけど、また後にするわね! じゃあ、今案内させるわ。ちょっと待っててね」
私たちは少しばかり待たされた後、奥から出てきた別の女の人に案内してもらうのであった。
部屋に入ると、
「うわぁ! すっごい広いですね!」
15畳くらいの居間があって、その中央に大きな木を一本をそのまま使ったと思われるテーブルがあり、
その奥には西側に一面ガラスが貼ってあって、夕焼けが綺麗に見えそうだ。
それだけでなく、窓の奥に出ることができて、木材のベランダが広がっていた。
机と椅子がおしゃれにも設置されていて、朝でも夜でもロマンチックなひと時を過ごせそうだ。
そして、居間から移動してみると、風呂場があり、その風呂場は浴槽は檜を使っていて、とても芳醇な香りを漂わせていた。
触ると少しヌルッとするのだが、それも不快感などなく、どこか落ち着く。
と、風呂場の奥にまだ扉があり、それを開くと、なんとそこにあったものとは……
露天風呂!!
なんと、この旅館、部屋に露天風呂と普通の風呂を完備している上に共同浴場まであるという。
どんなけお湯を無駄遣いしているんだ……
こんな感じの部屋に私と氷堂先輩が2人で泊まる……
何が起こるんだろうか……
俺は部屋の探索を終えた後、氷堂先輩と起こり得るであろう事の妄想にブドウ糖を消費するのであった。
でも、少し気になることがあるとすれば、
氷堂先輩の親愛度が下がって以来70から上がらないことだ。
まぁ、10くらい今日でどうとでもなるだろう……
俺はこの時そんなことを考えていたのであった。
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一新たな現代ファンタジーを1話だけ描いてみました。もしよかったら読んでください!
読んでいただき評判を見てから連載していくかどうか決めたいと思います!一話2000時ですぐ読めると思うので、読んでいただけると嬉しいです。




