あの子を落とせ〜わがまま少女編⑤〜
忙しいサラリーマン達がギュウギュウ詰のガッタンゴットンに乗って、ストレスを抱えながらも出勤しているであろう頃。よもぎ保育園のライオン組にて。
小さな可愛い子供達の声。
「「「せんせい! おはようございます! 皆さん! おはようございます!」」」
まず朝恒例の挨拶が終わった。
「はーい! みんなー! おはようございます!」
「せんせーこれみてみてー!」
「またあとでねーー! 今日はアツキくんがおやすみしています!」
「あ! 本当だー! アツキいなーい! 死んじゃったー!?」
と黒髪のツインテール真紅の瞳のゲスな少女。
「アツキくんおやすみなの!? 寂しい……
せっかく、アツキくんが喜ぶおはなしかいてきたのに……今日絵本を完成させる計画が……」
と銀髪デコだしパッツンの可愛い少女。
「えー? アツキやすみなのー? じゃあ、今日はおトイレ自分で行かなきゃなんないのー? めんどくさー」
と亜麻色ショートボブの怠惰な少女。
「アツキくんは風邪で今日はおやすみしています! だからみんなは風邪をひかないようにてあらいとうがいをしっかりしましょうね!」
とよもぎ保育園のライオン組の先生こと超絶可愛い春先生。
「「「はーい!」」」
他の子供達も元気に頷く。
そう……俺、佐藤篤樹は風邪で保育園を休んだ。
客観的に描写したと見せかけて、しっかりと主観が入っちゃってるんだよね……
ふゆちゃん、優しいな……
でも、絵本今日完成って言ってなかった?
それだけはきつい……
なんせ、ふゆちゃんの求めるレベルが最近どんどん上がっていく……
あんなに優しいのに、天然的にスパルタ編集者の一面もある……恐ろしい子!
ナツ!? こんなやつの描写なんていらねぇだろ!?
パリン!
ん!? なんかが割れた音がしたぞ!?
って、皿が真っ二つに割れてんぞ!?
これは超常現象だ……世界ミステリーだ……
俺は今日、春先生が言った通りによもぎ保育園をおやすみした……
その理由は鬱だ。齢6にして鬱だ。
俺は家の布団で寝転がっている。
お母さんは今日だけはどうしてもお仕事に行かないといけないらしい。うん、普通はそんなことない。
何がなんでも休むだろう。
だが、俺のスマイルでそれは解決する。
「おかあさん! ぼく大丈夫だよ!? お布団でしっかり寝てるから! ね!(キラーン)」
「わかったわ! おかあさん行ってくるね」
だから、俺は今は、家の布団に寝転がっている。
俺はあるわがままな少女に精神的及肉体的苦痛を与えられ、布団にくるまっている。
これはいじめだ……おれは惨めだ……
はぁ、鬱だ……
「ユキお前は可愛いなぁ」
「ミャー♪」
ユキは俺が助けた白猫。今は俺のお腹の上で気持ち良さそうに眠っている。
ヨシヨシ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
場所は戻ってよもぎ保育園のライオン組。
「みなさーん。今日はスペシャルゲストさんが来てくれていまーす。」
「「「えっ?ほんとー?」」」
「みんなー? どんな子が来てくれたかなー? じゃあみんなで大きな声で挨拶をして呼んでみようか! せーーのっ」
「「「こんにちわ〜〜♪」」」
「こんにちわ〜」
そこから現れたのは
「「「うわ〜!!うんちだ〜!」」」
「 「「きたな〜い」」」
『ヤッターー』
「「「くさ〜い」」」
現れたのは茶色いうんちを身に纏った人型の生物。もちろん、うんちは本物ではない。
うんちマンはというと……
おい! 汚くはないぞ! 本物じゃないから!
それに臭いはひどい! 純粋に傷つくからやめてほしい! それに1人おかしくないか……
まぁ、喜んでくれるのは純粋に嬉しいからな!
その場に現れたうんちマンは子供達の三者三様な様子に、少しは喜んでくれたことを嬉しく思う反面。深く心に傷をおうのであった。
「僕の名前はうんちマン! 見ての通りうんちだよ!」
「「「キャ! キャ! キャ! 」」」
これだけでも子供たちは大喜び。
続いてうんちマンによる歌が始まった。
「……テッテレッテレテレテレ♪うんちは大事ー♫」
うんちの重要性を綴った歌は大盛況だった。
うんちマンの中の人はきっと得意な顔をしていたことだろう。
うんちマンの出し物はようやく終わりを見せた。その後はというと……
「じゃあ、最後に、うんちマンからプレゼントがあるよ〜」
そう。うんちマンが子供達1人1人にお菓子とジュースという名のプレゼントを持ってきてくれたのだ。
子供達もそれには大喜び!
「「「わーい♪」」」
「じゃあ、おかし1人1つまでだからね〜。
それとジュースはストローを使って飲むんだよ〜」
「「「はーい!」」」
小さい子にはコップだけで飲むのは難しいからね……
「「「うーん! おいちー」」」
子供達もみんなお菓子とジュースには大満足な様子。
そうして、うんちマンも子供たちを喜ばせるという役割を果たして、よもぎ保育園から去っていった。
その後ろ姿はどこか満足気な様子が感じられた。




