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あの子を落とせ〜人見知りっ子編⑪〜

 俺、佐藤篤樹(サトウ アツキ)は必死によもぎ保育園内を駆け回っている。

 

 それはなんでかって?

 それはいま俺はある少女を探しているのである。

 銀髪のデコだしパッツン少女。

 この少女の名前は真城冬(マシロ フユ)

 今、俺が攻略対象としている少女である。


 俺は彼女とここ長い時間をかけて、少しずつ関係を築いていった。


 俺は彼女を真似することから始め、まず彼女の興味を引いた。そして彼女に声をかけて、いつの日か一緒に絵本を読みあうようにもなった。

 最近に至っては一緒に絵本を作った。


 その少女が先程、俺を見た途端に走って逃げ去ってしまった。


 そして俺は彼女が佇んでいた近くのゴミ箱の中に、ある紙切れを見つけた。


 その紙切れにはどこか見覚えがあって……

 俺とふゆちゃんが共同で創った絵本がビリビリに破かれていたのである。

 

 きっと、ふゆちゃんも俺と同じ気持ちなのだろう……

 いまふゆちゃんはかなり苦しい思いをしているに違いない!

 

 俺は彼女を必死に探し回った。

 保育園のトイレは男女で分かれていないので、保育園内にある全個室を探し回った。


 それでも彼女はどこにもいなかった……


 ひよこ組のクラスも見たし、パンダ組のクラス、そしてキリン組のクラスも見た。


 だが、彼女はどこにもいなかった……


 それでも俺は諦めない……彼女を見つけるまで!


 外が嫌いな彼女がいるはずないだろ、と思いながらも俺は保育園の中庭へと向かっていった。


 そこで俺は発見した。


 銀髪の少女が、太陽を浴びてアスレチックの上でひとり佇んでいるのを。


 彼女の髪は風でそっと靡き、彼女の目元には太陽光のせいかきらりと光ったものがあった。


 俺はその彼女の姿に完全に見惚れてしまった。

 きれいだ…………


 太陽が嫌いな少女が太陽によって輝いていたのである。

 

 どんなものに対しても等しく優しい光をもたらす太陽。俺はそんな自分の理想像に太陽に少しだけ嫉妬を覚えた。



 太陽によって光輝く彼女俺は完全にに魅了されていた。 


 俺はただその美しい少女に近づきたくて、無心で彼女の元へと歩み寄った。


 俺は一瞬当初の目的を完全に忘れかけていた。


 俺は俺の頭から逃げ去ろうとする目的をもう一度掴み直し、彼女がいるアスレチックの頂上へと必死に向かった。


 そんな俺を見た少女は今度は逃げ出す様子はなかった。



 それにしても、このアスレチック登るのはキツくないか?



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 

 わたしのなまえは真城冬ましろ ふゆです。

 わたしはいまひとりでアスレチックの上で、風を浴びています。


 わたしはいまとても悲しいです。


 悲しみのあまり、わたしは雨のように涙を流しています。


 あつきくんと一緒に作った本が何故かビリビリに破られて、ゴミ箱にポイされていたからです。


 わたしは誰がやったんだろう……なんて恨む気持ちよりも、ただあつきくんと作ったものがなくなってしまう、あつきくんとのつながりが消えてしまうんじゃないかという不安な気持ちの方が強くありました。


 わたしの初めてのお友だちのあつきくん。

そんな男の子を失いたくありません……


 わたしはそれを思うと、ほんとにほんとに悲しい気持ちでした。


 何分かずーっと泣いていました。


 そしてそんな時に彼はわたしの元へと現れました。


 彼はなんかぼーっとしています。

 

 なんでなんでしょうか……


 彼がわたしに近づいてきてくれました。


 わたしは前と同じくドキドキしています。

 この気持ちはまだわかりませんが……


 今はもう、彼から逃げません。


 わたしは一生懸命登ってくるあつきくんなことを待ちました。


 そして、登りきったあつきくんはわたしに優しく声をかけてくれました。


「フユちゃん、おはよう」


 彼の笑顔は太陽のように、いや太陽なんかよりも光輝いていました。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 俺はいま一生懸命アスレチックを登っている。

 ここのアスレチックは意外と難易度が高い。

 その頂上で待っている少女を長いこと待たせておくのはかっこ悪いと思ったので、俺は全力で登る。


 登り切ったのはいいものも、俺はかなり疲弊してしまった。

 

 ここで息切れした様子を見せたらダサいと思ったので、一丁前に強がってやりました。


 そして俺は脳に酸素が周りきらず、こんなことを口に出した。


「フユちゃん、おはよう」


 おいっ! 俺の脳さん! 絶対に違うだろぉぉ! もっと気の利いた言葉があるだろぉぉ! おれはどっかの陰キャラなのかぁぁ? もっとコミュ力あげてくれよぉ!


 俺の脳内では悶絶しっぱなしだったりして。


 そんな俺のことはつゆ知らず、彼女は泣き腫れた目元をそっと拭いて、笑顔を向けてくれた。


 彼女のその笑顔に、先程ビリビリに引き裂かれた俺の思いを癒してくれるかのように感じた。


「ふゆちゃん…………」


「なーに。アツキくん」



 俺はアスレチックにちょこんと座った。

 その隣に彼女もちょこんと座ってきた。


「………………」


「………………」


 その間、俺とフユちゃんには対した会話はなかった。


 俺とフユちゃんは少しずつ登っていく太陽を2人で眺めていた。


 太陽の暖かさよりも、フユちゃんの体温の方が暖かい。

 

 ふゆちゃんの身体は徐々に俺の元に近づいてきており、そっと彼女の頭が俺の方に置かれているのであった。



 太陽は雲に見え隠れしていて、ちょうどいい明るさだった。


 雲が凄い勢いで動いていくのを2人で眺めた。


 2人で寄り添っているだけで、引き裂かれた絵本は元には戻りそうになかったのだが、俺とふゆちゃんのこころは徐々に満たされ、そして修繕していくのであった。以前よりも硬く強くなって。


「フユちゃん! 今度も一緒に絵本作ろうね! 今度はもっとすっごいやつ作ろうね!」



「うん♪ 約束だよ!」




 大切なのは作品なんかじゃない。

 作品を作り出すという共通の思い出だ。

 あっ! もちろん作品は大事だよ?


  そんな俺の言葉にちゃんは満面の笑みを向けてくれた。

 太陽もふゆちゃんの笑顔に合わせてなのか、雲を避けて一段と輝き出した。


 彼女の綺麗な碧色の瞳、そして彼女の潤っった唇。

 

 そんな彼女に俺は我慢できなかった……

 やばい……可愛すぎる……

 

 幼女に欲情……幼女に欲情……なんか早口言葉みたい……はぁ、俺6歳でよかった。6歳ならなんでも合法だよね!?


 俺はふゆちゃんの唇にそっと自分の唇を重ね合わた。


 そんな俺を彼女は驚いた様子で目を見開いていたが、次第にまぶたが重くなったのか。


 目をそっとつむっていた。


 そして俺は彼女、真城冬(マシロ フユ)の攻略に成功した。



 純情っ子、人見知りっ子少女の唇、ゲットだぜ〜♪


 内心はしゃぐ俺だったが、問題はまだ平積みだ。


 ここからはアイツとの決戦だ…………



 俺は雲に姿を完全に隠してしまった太陽を眺めながら、次なる戦いへの覚悟を決めるのであった。


 待ってろよ! ナツ!



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





 わたしは真城冬ましろ ふゆです。

 いつもいつも自己紹介から入ってごめんなさい……


 わたしに好きなものが2つ増えました。


 それはまず一つ。

 お日様がすきになりました。

 ポカポカでキラキラなお日様。

 なんでわたしはあんなにいいものを嫌っていたのでしょうか。

 

 好きになったのはきっとアツキくんのおかげなんでしょうけど……


 


 そしてもう一つ。


 それはさとうあつきくんです。

 あつきくんのポカポカでキラキラな笑顔がだいすきです。

 わたしのはじめてのおともだち。

 これからもずっとだいすきでいたいです。



 あと、これは内緒なんだけどね……


 わたし、アツキくんのチューしちゃいました。

 それから体がポカポカしています!

 

 アツキくんが好きで好きで仕方がありません。

 

 


 あ! アツキくんがまた黒髪の少女に虐められています! 助けに行かないと!

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