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Episode 29 グロストVSゴードス 前編 光闇VS深闇

Episode 29 グロストVSゴードス 前編 光闇VS深闇






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「ゴードス将軍を助けよう。」

軍の会議が夜、再び開かれた。


そこでゴードスを助けるかどうかの最終決定がなされた。

軍の兵士たちは話し合いを別個で行い、前衛たちと、後方支援隊でそれぞれ話し合い、その意見を一つにまとめ、決定した。


「俺たちはグロスト将軍みたいに強くない。足を引っ張ると思う。それでも…力になりたいと願う。」

「…そうか。」


「1人でダメなら2人、それでもダメなら4人。50人でも100人でも…もっともっと皆で団結し、力を合わせれば成しえることは出来るかもしれん。バラバラになってしまった平和軍が力を1つに束ねればきっとなんとかなる。ウィルがせっかく繋いでくれたものだ。我々がそれに応えずしてなんとする。」

後方支援隊長、レイリーは主張した。


「ゴードス将軍にはカウンセリングで心を救われた。そんな人は大勢居るんだ。そんな優しかった将軍がああなったのには訳があるに違いない。だったら…俺たちがそれを助け出すべきだ。ゴードス将軍に恩を返すつもりで、助け出そう。」

前衛の兵士たちもゴードスに救われたものは多い。


だからこそ、皆がゴードスをなんとか助けたいという気持ちを強く持っていた。



「グロスト。」


「…ありがとう、感謝する。」

グロストは賛同してくれた兵士たちに礼を言う。


「だが、無理をするな。俺が下がれと言えば下がれ。今の奴ならば誰であろうと容赦がない。命だけは失うな。我のサポートを願う。」

グロストはあくまでも仲間たちにはフォローを頼んだ。


これ以上犠牲者を多く出してはならない。

破壊軍との戦いとなればそれも名誉なのだろう。

だが、相手は仲間であるゴードスなのだ。


仲間に殺される苦しみを、もうこれ以上増やしてはならない。

それはかつて仲間を巻き込んで殺してしまったグロストだからこそ、その責任と重みを知っているからだ。



「グロスト将軍のサポートを精一杯行おう。そして、ゴードス将軍を必ず。」



会議はゴードスの救出を行う形で終了したのだった。



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それからまもなくして敵襲がやってきた。


破壊軍の攻撃は続いた。


そして、空中から降り注ぐ炎もまた、戦場を焦がしてゆく。


平和軍兵士も、破壊軍兵士も。


共にその炎で焼かれてゆく。



幸い死者が出ていないが、これはゴードスの本当の心が抑制しているからであった。

しかしそれも…今回が最後となろう。



ゴードスの心は間もなく、“神”と名乗る者の手により、完全に支配されてしまうのだから。


「うわああぁ!!?」

「ぐあああっ!!」

爆炎に焼かれる兵士たち。


「クッ、追いつかぬ…!」

グロストはその雷の光を兵士たちに壁として作り出し、炎を防いでいたが、その数はあまりにも多く、スベテを守り切ることができなかった。



「グロスト!僕の魔力も使って!」

グロストと共にサポートとして戦うウィルの協力だ。

「ありがたい!もっとだ…もっとだ!光の力よ!すべてを守り通せ…!」


ウィルの支援もあり、光の力はさらに強さを増した。

その光は守るだけでなく、炎の被害を受けた兵士たちまでを癒した。


「凄い!兵士たちの火傷が…!」




「さぁ、攻め続けろ!我に続け!」

「「「ワアアアアアアア!!!」」」



今回の戦争でも多くの被害者が出た。

その被害推移を見ても、やはり破壊軍に直接攻撃を受けた兵士よりも、爆炎による被害者が多くを占めていた。

今の脅威は、破壊軍だけでは無い。






「あの炎には…とてつもない闇の力が宿っている。」

「闇の力…?」


「そうだ、あの火傷は普通の治療では治す事は出来ん。」


グロストとウィル、一部の兵士たちは火傷を受けた兵士たち。前にグロストが眠っていた場所に居た。


グロストは気づいた。平和軍兵士の火傷により、復帰した兵士が居ないことに。

軽い火傷でも、その炎が持つ、闇に侵食されてしまえば、治す事は出来ないのだ。


「我が光の力を持ってしても進行を遅らせることしかできぬ。だが…何もしないよりはマシであろう。」



「…この闇を取り払う方法はないのでしょうか」

兵士が言う。


「…この闇を生み出した張本人…爆炎を放つ何者かを…倒すしかあるまい。」


「…グロスト将軍…今回もまたあなたに助けられた。私たちは…あまりにも無力であります…失礼します。」

兵士たちはグロストに感謝を述べ、落ち込んだまま持ち場に戻っていった。


(…そんなことはない。仲間の力が我が力となるのだから…)


グロストはその言葉を言えなかった。

うまく口に出すことができなかったのだ。やはりまだまだ人との付き合いが足りていない証拠だ。

グロストは不器用だ。




「グロスト、僕、もう一度ゴードスさんに会いたい。会わなきゃ。」

「…あぁ、だが…もう一人で会いに行くな。今のゴードスは危険だ。」


「うん、ありがとう。もう一人で行かない。」


グロストとウィルは約束した。



「ねぇグロス…


カタカタ…


地響きだ。


「…地震…?グロスト?」

グロストを見ると、グロストの表情はより鋭くなっていた。戦いの眼だ。


「…とてつもない魔力を感じる…これは…闇の力だ。」

「えっ…!」


その瞬間だ。


ドオオオオオオオオ!!

大きく揺れる大地。


「わっ!」

「ウィル、俺の身体に掴まれ!」

「な、なんなの…!?」


大きく揺れる大地。

そして…


ドカーーンと鳴る大きな音。


爆発音だ。



カーンカーン!と緊急の鐘が鳴る。

慌てふためく平和軍兵士の声と、悲鳴が聞こえる。


「ここに居ろ。ここで眠っている怪我をした兵士たちを頼む。」

「グロスト!!」


グロストはすぐに現場に駆け付けた。

ウィルは大きく揺れる大地に身動きが取れなかった。

(ここを守らないと…!ここだけは…!)



「これは…!」

辺りは火の海だった。


兵士たちは辺りに蹲り、中には黒こげになって、すでにその魂が奪われた兵士も少なくなかった。


「…貴様…!」

魔力の塊を感じる。その先に居たのは…



グロストは激しい怒りで、全身に雷を纏った。

そして力強く飛ぶ。


「ゴーードス!!!!」


その拳がゴードスがガードした腕へと放たれる。


「グルゥゥゥゥ…!」

うなり声を出すゴードス。

完全に目が怪物の目をしていた。そこには自我など無い。そこに居るのはゴードスであり、ゴードスではない…モンスターだ。



「貴様…!何が目的だ…何がお前をそうさせた…!」

グロストの怒りが雷となりゴードスを攻め続ける。


「ギャオオオオッ!!」


「クッ…!」


ゴードスの強い闇を纏った激しい咆哮がグロストをひるませる。


その咆哮は奥にある平和軍拠点に響き渡り、その衝撃で建物が壊れていった。



「早く!元後方支援隊たちは怪我人を奥へ!戦える者は……武器をとれっ!!」

相手はかつての将軍。いつも兵士たちのことを考えて、カウンセリングまで開いて部下を大切にしてきた優しい将軍。


それでも、今ここで対峙しているならば、武器を取らねばならない。


戦える兵士たちは苦渋の選択の末、武器をとった。




「来てはならん!」

グロストが言う。



「えっ!?」

「し、しかし!」


「お前たちはそこを…我が軍の拠点を守れ!こいつは…我にしか倒せぬ!!」


「しかし…!」

「将軍命令である!急げ!巻き込まれるぞ!!グォッ!?」


ゴードスの力に押され、グロストは丘の上に立つ拠点の下へと吹き飛ばされた。


それを追撃するべくゴードスは爆炎を打つ。


「グロスト将軍ッ!!」

兵士たちが様子を見に崖の上から様子を見る。



「行け!まだ分からぬか!!」

グロストは全身に黒い火傷を負っている。

が、その傷は光で徐々い浄化されていた。


「…将軍!死なないでください!!」

兵士たちは皆、拠点を守ることに焦点を置いた。


魔法で防壁を作り、怪我人の介抱に焦点を置き、ゴードスは、グロスト一人で対峙することとなった。







「カァァア…」

黒い息を吐き出し、野獣のような眼光でグロストと対峙するグロスト。

ゴードスはとても苦しそうだ。

グロストは全身の闇の火傷が光の力で自然治癒されているものの、その力の大きさに苦戦を強いられた。


「ゴードス!!俺の声が聞こえぬか!少しでも自我があるならば…答えろッ!!」

拳と拳、体と体のぶつかり合い。


その両者の腕には、白と黒の混ざりあう雷と、黒い炎があった。


「グオオッ!!」

「ガアアアッ!!」


両者の力は地割れすらも起こし、戦いはより激しいものとなった。



「目を覚ませ!!」

雷がゴードスを襲う。

それは浄化の光を纏った光の雷。


「グルゥッ…!」

そして闇の力は、それを打ち消す。


「お前は強い!貴様が誰かに心に支配されているのだとしたら…見損なったぞ!」

「グルル…!」

「俺の知っている貴様は…どんな時でも冷静で…誰よりもこの軍を支え、そして愛した。ただの暴君であった俺すらも受け入れた。そんな貴様がッ!!」


その言葉に少しの揺らぎを感じるのを見出したグロストはその隙を突き、光と雷の拳でゴードスの腹部を殴り、吹き飛ばした。


「…!」

ゴードスの闇が薄れていく。光の力がゴードスの闇を抑え込んでいる。



「貴様の心はそんなにも弱いものだったのか…!」


グロストの手に雷が収束してゆく。

その雷を地響きは周りの岩をも浮かせた。



「貴様は我が仲間を手にかけた…それが不本意だったとしても俺は貴様を許すわけにはいかん…!」


「…」

ふらつくゴードス。

そしてその雷が放たれた。

まっすぐ向かってくるグロストの雷がゴードスを包み込んだ。


「貴様のその闇を浄化し…そして…俺と共に罪を償え。」



「グアアアアアアアッ!!!」

激しい雷に包まれるゴードス。

その雷には強い光の力が込められている。


グロストもかつては多くの兵士を殺した。

ゴードスは今、それと同じことをした。


グロストはゴードスを殺さず、ともにその責任を背負わせるつもりで、殺してしまうギリギリまでの力を込めてゴードスにその雷を与えた。



ドオオオォォォォと爆風が巻き起こる。

その白い爆風はかなりの広範囲に光を照らした。


もう動けまい。

グロストの魔力は今ので、大きく削られた。


「……ゴードス…」

雷が体を纏わなくなった。

魔力が大きく減ったからだろう。


「……グロスト…」

声が聞こえた。


「…ようやくまともな言葉を発するか。」


煙の向こうで、闇の力を浄化されてゆくゴードスが倒れていた。





「……ゴードス、答えろ。今までの行為はお前の意思か?」


「…いいや、違う。と、言ってもお前さんは信じてくれるのかのう…」

力ない声でゴードスは言う。


「…ウィルは信じていた。故に俺も信用しよう。」

「…甘いのぅ……」


「ウィルの性格が移った。」


「そうか…ッ…!?」

ゴードスの表情がより一層険しくなった。

「…ゴードス?」


「グロストよ。」

「……なんだ。」



ゴードスは目を開いた。


「お前…その目は…!」

ゴードスの眼は黒く濁っていた。

赤い目も青い目もなく、その目は真黒に染まっていた。



「…ワシを殺せ…!すぐにじゃ…!」


「!」

ゴードスから感じた力。


「ワシの呪縛は解けることは無い…奴が…奴が来る!!」


「奴…!?奴とは何だ!?」

「グッ…アアアアアアアアア…グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


ゴードスの体内からあふれ出す、さっきよりも深い闇。

「グッ…!これは…!?」






(あーあ、全く。余計な魔力使わせやがって。役立たずが。)


「…!」

どこからともなく聞こえる声。


そして…










「グロスト、待ってて。僕も行くからね。」


ありったけの道具を集めてウィルは飛び出そうとするが、レイリーがそれを見つけウィルを静止する。


「ウィル!待て!確かに介護室は防壁を張ったから大丈夫だ!だがお前はお前にすべきことがある!それはグロストを助けに行くことではない!自殺行為だ!」



「行くんだ!僕だって…グロストと一緒に戦うんだ!」


「ウィル!!!…馬鹿者め…!」


ウィルはレイリーを振りはらってグロストの元へと走る。

もはや彼にはグロストしか、見えていないのだ。




Episode 29 END

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