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Episode 25 光闇の制御を求めて




Episode 25 光闇の制御を求めて


「…光、闇…そうか、お前たちは俺に力を与えた…」


(正解。)


目の前に現れたのはエテルネルの言う光と闇の子。この2つの光が俺に力を与えた…


(ったく、だらしないな。お前が何で力が使えないかホントに分からないのか?)

闇の方が、俺をけなす。しかし、これは事実。俺は子の力を使いこなせていないのだから。言い返すことなど出来るはずもない。


(そんな言い方酷いですよ、グロスト、あなたの心の中の光はまだ消えていません。私がここに居ることが何よりの証拠。でもあなたの光は微々たるもの。逆に闇がとても強い。)


「そうだ、俺は闇だ。憎しみ、悲しみ…そして諦め。全て闇だ。俺に光などない。俺は…誰からも求められてはいない。俺の復讐は…終わったのだ。」


(頭が固いな、お前は。)

闇が言う。


「…どういう意味だ?」


(グロスト、生き物はな、一人じゃ生きていけないんだ。いつも誰かが傍に居るから生き物は生きていけるんだぜ。孤独な俺たちは光と支え合って生きてきた。)

(私は闇と支え合って生きてきました。あなたにも居るはずです。あなたの事を大事に思ってくれる人たちが。)


「…」


その瞬間、今の自分が見えた気がした。


傍に居るのは…ウィル、ゴードス。


そして病室の外にはグロストを心配するレイリーやサイノを始めとする兵士たち。中にはざまあみろと笑う奴も居るが、それを見た他の兵士たちが「貴様!グロスト将軍が居なければ皆死んでいたのだぞ!」と喧嘩をする者も居た。


「…ウィル、ゴードス…平和軍の兵士たち…」



目の前に浮かんだウィルたちの姿。

深く眠る自分自身を見つめて涙を流すウィルを見たグロストは手を伸ばした。


「…俺は…」


(憎しみも悲しみも諦めもな、誰かが居れば光に変わるんだ。お前は光を受け入れろ。それが出来ればお前は俺たちの真なる力を生み出すことが出来る。)

「…それは…どういうことなのだ…分からない…俺はどうすれば良い…?俺は…」


(仲間を信じて。あなたの為に身体を張ってくれる仲間が居る。あなたの深い闇と、ほんの少し、誰かを信じる勇気、誰かを守りたい、救いたい。笑顔の為に戦いたい。そんな気持ちを振り絞ればいい。それは全て光となるわ。)

(そして光と闇が同一の力を備えた時、俺たちはお前に真なる力を与えてやる。)


「…」

グロストは自信が無い様子。


(ここまで言ってやったのにその反応は流石に無いな)


(皆があなたを愛しているのよ。)





------------------------------------





「ねぇ、グロスト。もう…10日になるよ。君が…君が大怪我をしてここに運ばれてから……あはは、もうそんなになるんだ。」


ウィルの姿が見える。

俺の身体の本体が傍で眠っている。

色んな装置がつけられている。予断を許さない状況なのだろう。


「…ウィル…」



ウィルの顔を見て辛い気持ちになった。


お前だけは…お前だけはずっと居てくれたというのに…





これは俺が眠ってからもう10日ほどが経過している様子だった。


肉体の治療は未だに続けられている。





「今日はね、破壊軍の侵攻が何回もあって…疲れちゃった。でも僕、君が目を覚ますまで…絶対ここを、君の帰る場所を守るからね………本当はね…」

ウィルの目から涙がこぼれた。



「…寂しい…辛いよ……君が…!…このまま目を覚まさないんじゃないかって…っ…ううっ…グロスト…!グロストぉっ………」


泣きじゃくるウィル。


「ウィル…?ウィル、どうしたのじゃ?」

俺の様子を見に来たゴードスが泣きじゃくるウィルを見て、駆け寄った。


「ゴードスさん…うっ…うわああああああああああっ!!」

ゴードスの胸元に抱き着いて声をあげて泣くウィル。


「…そうじゃな、辛いじゃろう…お前さんの…大事な友じゃからのぅ…」



「…グロストよ…お前さんの大事な友が泣いておる…良いのか?グロスト。良いわけが無かろう?…待っておる。お前さんが戻るまで…ウィルはしっかり守って見せるからの。」

ゴードスは眠る俺に言う。


俺は、光と闇が見せてくれたビジョンで聞いた。




―――


「……俺は…」


(あなたは独りじゃない)

(お前はこんなにも誰かに愛されている)




((それでもあなた(お前)は永遠の闇を望む?))






「…」

グロストは黙って首を横に振った。


(そうだろ?今、お前はどんな気持ちだ?)


グロストは昔を思い出した。

そう、それはずっと前。

平和軍に入る前のこと。

密林で修行していた時、彼に懐いたあの小動物のこと。そしてウィルが何度も自分に手を差し出してくれたこと。


あの小動物がなぜ自分を守って死んだのか。

なぜウィルがあそこまで自分に拘るか。


その意味が、なんとなくではない。

全てを理解した。ようやく。気付いたのだ。


こんな暴君のような自分でも、愛してくれる人がいるのだと。


それを受け入れ、自分も信じ、誰かを思う心。それが光の力の源だったのだ。

愛してくれる人が傷ついた時、勿論生じるのは闇だ。

しかし、その闇は汚れた闇ではない。

そこには、誰かを守りたい、助けたいという光の力も存在しているのだから。


「……俺はあいつらに愛を受けていた。俺はそんな気持ちすら蔑ろにしていた。ウィルやゴードス、平和軍の仲間とて、いざとなったら一人になっても構わないと思っていた。兵士たちを見捨ててしまったのも同じだ。そして力を全て自分の為だけに使っていた。だがそれではいけないと言うのだな…?皆が俺を信じてくれるのならば……」



グロストの表情は穏やかな顔に戻っていた。先程までの重苦しい姿はほとんど無かった。


光も闇も、自分の為ではない。

誰かの為に使うこと。

それがこの力の真髄だったのだ。


「俺も信じよう。そしてこの力は自分の為ではない、俺を信じてくれる仲間たちの為に奮う。全てを賭けて。」

俺の身体に感じていた重い感覚が消えた。


「…これが光と闇の真の姿なのだな?」


(ええ、あなたは受け入れた。あなたは自分の弱さを認め、誰かを信じる心を手に入れた。誰かを信じ、守る。その強い思いが光なのよ。あなたの元あった闇の力とあなたの光はほぼ均一となった。これであなたは私たちの真なる力に耐えることが出来るでしょう。)


「…力を制御出来るのか?」


(そうだ、しかしそれには光と闇の均一を図らねばならない。この力を与えてしまうと今後お前に大きな心の揺らぎや偏りが生まれようものは、力の暴発により、死は免れないだろう。)


闇の力は少し沈黙した。

そして


(それでも、お前は力を欲するか?)

光と闇は問う。





答えは、決まっている。







「…欲する。今一度、お前たちの力を俺に貸してくれ。」



(あら、前より頼み方が優しいわね)

(ちったぁ大人になったってことだな!)

「茶化すな…」



(冗談冗談。まぁこれだけは覚えとけ。決して、心を大きく揺るがせるんじゃないぞ。真なる力の解放後の暴走は認められん。下手したら世界が滅びちまうからな。)

(大丈夫よ、彼にはもう覚悟ができいる。リスク管理もしっかり出来るわよ)

(だと良いけどな。)


グロストの身体に白い光と闇の光がぐるぐると纏い始める。


(俺たちはお前と再び同化する。もう会うことが無いと信じてるぜ。)

(あなたは強い。でも弱い。でもそんな時、決して一人でふさぎ込まないで。あなたはもう知ったから。大切な仲間が居ることを。)


「あぁ…色々世話になった…」


(さ、耐えてみな、行くぜ?)

(うん、ちょっと痛いかもしれないけど。大丈夫よね。あなたの強い覚悟があれば。)



光と闇は今まで感じたこと無いぐらいに激しく光り、グロストの体内に入って行った。


「ガッ!?」


今まで感じたこと無い程に激しい激痛が襲った。


「ガッ…ッ……ァ……」


声も出ないほどに苦しい痛みがグロストを襲う。

全身を機械で徹底的に絞られるように締め付けられる痛みが襲う。


やがて叫ばずにはいられない程にどうしようもないほどに激しい激痛がグロストの全身を襲った。

「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!グオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」


暴れる力がグロストの全身を刺激する。

瞳孔が大きく開き、全身に痙攣が走る。

がくがくと震える


だが、そんな痛みと同時に全身からとてつもない力がぐんぐんと湧き上がっているのを感じる。

これが、光と闇の力の神髄。


これは…この世界を良くも悪くもできる絶大なる力。


グロストの中に秘められた力が解放される。

「…嗚呼…これが……力の、神髄。」



やがて痛みは治まり、今までに無いほどの心の静けさを感じるグロスト。

力による痛みもない、胸の奥でざわつくものもない。とても気持ちが澄み渡るようであった。



「…誰かを信じ、全てを恐れずに向き合うこと…俺を必要とし、愛してくれる者を信じること…それこそが光となる。今、我が光と我が闇は1つとなった。強さや力は自分の為ではなく、仲間の為にある、皆が俺に与えてくれたものを俺はもうないがしろになどしない。俺は得たのだな…この力の神髄を。」




グロストは自分の意識を現実へと向けた。


帰ろう。今こそ友の元へ。仲間の元へ。


今度こそ掴み取るのだ。

皆と共に、破壊軍の居ない世界を掴み取る。




―――ウィルのビジョンが見えたときには10日経過していた。

だが、実際どのぐらいの時間が経っているかは起きて見ないと分からない。

それに起きたからといいすぐに動けるとも限らない。


身体の治療が終わっているかどうかも分からない。



だが、グロストは行かなければならない。

そこに、我らの戦場があるのだから。




------------------------------------




最強の戦士がこの世に戻ってきた

これできっと戦況は変わる



そう思った


けど、今の”彼”では”あれ”に勝てないかもしれない




それでも、僕は信じるしかなかった




彼が持ち帰った希望を







【古文書の作者】


------------------------------------


最初は音だった




ピコピコと鳴る音。




目をゆっくりとあけた。


見えたのは天井だった。



まだぼやっとしか見えてはいないがすぐにわかった。


ここは後方支援隊の緊急治療部屋だと。


ゆっくりと身体を上げるグロスト。

まだ立ち上がることはできないようだ。足の感覚がそう告げている。


身体には多くの生傷が残っている。

傷は完全に癒えてはいないようだ。



「…」




静かだ。

辺りは夜。


真っ暗の空間にグロストはただ1人…


「…!」

意識がようやくはっきりしだしたグロストはこの場の状態を見て衝撃を受けた。


グロストはここに1人ではない。


ここには…



(…どうしたことだ…これは…!)


この緊急治療部屋では、多くの兵士が眠っていたのだ。


皆、酷い火傷を負っている。


「…これは…!」

口を開き、身体を動かそうとするグロストだが、これ以上は動くことができない。

まだ魂と肉体が同期していないのだろう。


どっち着かずな魂が揺れているのだ。




(…ッ…駄目だ…意識がまだはっきりせん…)


しかし、そのふらつきも、すぐに消えようとしていた。





カチャン



何かを地面に落とす音。



その方向に振り返ると、そこには居た






「……グロ…スト…?」



懐かしい顔。

夢の中では数日だが、その数日でさえも、とても長く感じた。


目の前に居る。


自分が守りたい存在が…

そこに居る。




「…変わらないな。」


「…!!」

グロストの目覚めを待っていた少年ウィル。

彼も、グロスト不在の中、悲しみをこらえていた。


ウィルは持っていた医療器具をばらまいてでも、グロストの胸に飛び込んだ。





「…夢じゃ、ないんだよね」

「…あぁ。」


「…そっか…」

すすり泣きが聞こえる。



「…おかえり。」


笑顔でウィルは笑って見せた。

「…あぁ、ただいま…」



―――





「…ウィル、説明…してくれるか…?」


「…うん。」



グロストは今のこの場の状況をウィルに説明してもらおうと思い頼んだ。



「…みんな、火傷してるでしょ?」

「あぁ…新たな破壊軍が生まれたのか…?」



「……破壊軍…よりも…事態は深刻かもしれない。」



「…どういう意味だ?」

ウィルは言いづらそうだった。







「破壊軍の兵士の数が大幅に減少したんだ。」


「…?」

それだけ聞くと朗報に聞こえる。




「でもね、僕たち平和軍も皆が致命傷を負ってる。僕やグロストが知っている仲間たちも多く犠牲になっている。」


「…どういう…」

話が見えない。

破壊軍の中でより一層狂暴な存在が生まれたのだろうか…




「グロスト、平和軍。破壊軍でもない。得体のしれない何者かが存在するんだ。それが僕らと破壊軍の戦える兵士の数を大幅に減らしている。」




「…第三勢力…ということか?」


「分からない。ただわかっていること。それは、ある人物がその容疑にかけられている…ということだよ。」

「…誰なのだ?それは…俺も知る者か?」


グロストは問う。




ウィルは泣きそうな顔でグロストに言った。








「容疑をかけられているのは…………












ゴードスさんなんだ…!」



「…な…んだと…?」




目を覚ましたグロストに待ち受けていたのは、より複雑に絡み合うよどんだ暗雲だった。



ウィルから語られる今の現状。


破壊軍、平和軍の両方の戦闘員の減少。

その容疑をかけられているというゴードス。



もはや夢は終わり。

ここから再び、グロストには終わりの見えないいばらの道が広がっているのだった…



Episode 25 END


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