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Episode 22 突然変異

Episode 22 突然変異







形で示し、皆を引っ張ること。

自分を変え、周りに信頼されること。


将軍として、自分自身として、やるべきこと。


ゴードスやウィル、グロストを支持する仲間たちの言葉や行動を見てそれをなんとか見出すことが出来たグロスト。


不器用な優しさや、不器用な笑顔を見せるようになったグロスト。

ウィルはそんなグロストを見て、とても安心した。



きっと、グロストなら。

皆を引っ張る将軍になれる。

そう信じたのだ。







「敵襲ー!!」


「敵襲だあああ!破壊軍だーっ!」







「グロスト…!」

「あぁ、来たようだ…だが…」


いつもの破壊軍の来襲。


グロストは少し違和感を感じていた。


「どうかしたの…?」


「いや、何故だか…な、少々嫌な予感がする…」

「それって…あの時のようなイレギュラーなことが…起こるかもしれないってこと?」


「…いいや、気のせいだろう。お前は早く後方支援隊に合流しろ。俺はそのまま壁側に向かう。ゴードスも海側へ向かっただろう。」

「分かった、気を付けてね。」

「お前こそ。」



グロストとウィルはそれぞれの持ち場へと移動した。




まずは海側。


ゴードスを先陣に兵士たちが、海を泳ぐ破壊軍を相手に奮闘している。



「行くぞ!」


ゴードスの創りだす水の力は破壊軍兵士を押し流す。

水に効き目の弱い破壊軍には灼熱の業火で焼き尽くした。


破壊軍は陸上のみを攻めていた。


しかし、ここ最近現れた海を泳ぐ破壊軍…



生物の残された大地…世界の北東部。

その北端にある海は最安全圏と呼ばれていた。

しかし海を泳ぐ破壊軍の出現により、そこさえも安全とは言えなくなった。


そして破壊軍の行動はワンパターンだった。

しかしこれも最近ルートを変えてくるようになった。

その突然の変化に順応できず、後方支援隊に大きな打撃を与えてしまったことはまだ新しい。


それから破壊軍はルートを変えたが、また固定化した。


いつルートが変わってもおかしくは無いのだ。

そうなるとまた大打撃を生んでしまうかもしれない。


それに海を襲ってくる破壊軍の中には、怪獣のような姿に鎧をまとった姿も目撃されている。


ルートの変化、そして姿の変化…


破壊軍の変わらなかった何百年もの侵攻に変化が現れている。

このメカニズムは全く持って不明だ。


それでも生物は変わりゆく破壊軍に対応していかねばならない。

生物最後の砦を守るために。





「将軍!」

「どうした?」


ゴードスに話しかけていたのは、戦場の戦力を観察し、その都度報告を入れている監視隊のメンバー。


「いえ、気になる点が…」

「言ってみるのじゃ。」

「この間の壁側のルートが変わった時と似ています。」


「…ふむ、海側の破壊軍の数か。それはワシも薄々感じておった。」

「念のため、海側の敵に警戒を。」

「…嫌な予感がする…壁側にも連絡を入れておいてくれ。」

「了解しました。」


監視隊の兵士は壁側に伝えるための紙を報告する兵士へと手渡した。

伝令を伝えるべく、兵士が壁側に向かう。


「……何も起こらねばいいが…」

ゴードスはすっきりしないまま、海側の破壊軍と交戦した。




一方壁側では…







「伝令!海側の敵数が少ない!要警戒せよ!」


「「了解!!」」



ゴードスの指示を受けた壁側の兵士たちとグロスト。

その数分後に、後方支援隊にも伝わったようだ。


後方支援隊が襲われた事件を境に、後方支援隊を守る前衛兵士たちが配備されている。


破壊軍が、いつ、どう動きを変えて来るか分からないからだ。




「ウオオ!!」


グロストも壁側で破壊軍兵士をいつものように叩き潰す。



「今!治します!」


ウィルも傷付いた兵士たちを治療している。




いつも通りの戦いに見える。


しかしゴードスの胸騒ぎは消えることは無かった。



「っ!」

「将軍!」

「…大丈夫じゃ…」

「焦りを感じます。」

「…すまんの、胸騒ぎがしてな。」

ゴードスの力がうまく機能しない。

狙いを外すことが多くなっている。




「…妙だ…」

「グロストさん?」

「…気を許すな。胸騒ぎを感じる。」

「えっ?」

「そのままの意味だ。気を抜くな。」

「は、はい…!」


「気を抜くな!いつ何が変わるか分からぬ!」

周りの兵士にも注意を撃名が明日グロスト。






この時、きちんと指示をしていたことが、幸いするとは思いもしなかっただろうが…





兵士たちは万全の警戒を行った。

グロストも周りに気を配りながら戦う。



「…」


グロストは手を一瞬止めた。

「?」


「…今、何か強い気配を感じた。」

「強い気配?私には何も…」


「…!」

グロストの表情が一変した。


「…あ、あれ…は…」

グロストが上を向いた。

それを追うように見る兵士たち。

兵士が唖然と呟く。




「…なんだ…あれは…!?」


グロスト自身も驚いた。


目の前に現れたのは…






大きな身体の怪獣。

全身が破壊軍の鎧に纏われた怪獣だ。



大きさはグロストの30倍以上はある。

100m…いや、110m?

裸眼では測定不能なほどに巨大な怪獣の鎧の間から漏れ出している朱色の煙。

火の粉がチリチリと音を立てている。


ボシュボシュと音を呼吸するように噴出する。

そんな巨大な怪物が、この軍の壁を目がけて歩いて来ているのだ。


「緊急事態だ!今すぐ軍全体に通達するのだ!急げ!」

「はい!早速全ての伝達兵が軍全体に広げております!後方支援隊にも後方へ避難するように促しました!」


「よし…用意が良いな。助かるぞ」

「いえ、当然の事です…!」

グロストは兵士を褒め、そして怪物を見た。

あまりもでかい。


しかしここで食い止めなくては。

軍は全滅を免れないだろう。


グロストはすぐに腹をくくった。


「…アレを見てなお、戦える者は我の後ろに付け…!」


「ま、まさか…戦うのですか!?」

「…ここで食い止めなければ我が軍は終わりだ。」


グロストの雷が身体にバチバチと纏う。

今、出せる力をギリギリまで放出しているのだ。


「…分かりました!」

「俺も腹くくるぜ!」

「私は飛べません…だから地上から遠距離攻撃を仕掛けます!」

「私もお手伝いします!」


敵を恐れた兵士は後方で支援の道具を支給しようとしている。

脅えながらも何か手助けをしようとしている。


脅えず、グロストの後ろに立つ兵士たちは、共に戦うべく立ち上がった。


「…恩にきるぞ。お前たちの命、我に預けろ。アレを食い止められるかどうか…それは皆目分からぬ…だが、全力でアレに挑む。付いてこれるか?」



「もちろんです!」

「ここで逃げたら何のために軍に入ったのか。」

「グロストさん、僕はあなたを信じます。」


多くの兵士がグロストと共に戦うことを選んだ。


「分かった、戦えぬ者は全力で後方から援護せよ、良いか!?」

「は、はい!」

「り、了解しました…!」


脅えて腰を抜かした兵士たちもグロストの声で立ち上がり、後方での援護に回る準備を始める。


「行くぞ…!」



グロストと、空を飛べる兵士たちは怪物の後方に回り込むように徐々に近づいた。

空を飛べない兵士たちは弓矢など、遠距離武器を用意し、走る。



一方ゴードスのいる海側…


「なんじゃと…!?」


壁側で起こっている異常事態を聞き、唖然とするゴードス。

胸騒ぎはあった。

しかしここまで恐ろしいものだとは…

ゴードスは壁側のグロストや兵士たちを心配した。

「グロストは、他の兵士たちはなにをしておる?」


「グロスト将軍は、兵士を募り交戦中、今の所、敵は何もしてこない様子です!」

「…分かった。ワシも早急に海側を片付ける。」

「はい!後方支援隊が多少後方に退いております、お気をつけて!」

報告に来た兵士は壁側に帰って行く。


「…のんびりしてはおられん…!まとめて片付けるぞ…!」

ゴードスは持てる限りの力を解き放った。


「ウオオオオオオッ!!!」

ゴードスの激しい業火が大地を燃やし、唸る水流が海を襲う。

今度の技は非常に正確だ。


大技であるにも関わらず仲間兵士には当たらないように細かな調整が行われている。

威力は劣るが十分だ。

業火を浴びた破壊軍兵士は鎧も魂も諸共消し飛んで、水流を浴びた破壊軍兵士は水圧で潰された。



「海側の兵士たちよ!壁側に応援に向かうのじゃ!巨大生物が出現した!前衛で戦うグロストたちを援護するのじゃ!」


ゴードスの呼び掛けで、兵士たちは海側に向かった。

ゴードスも急いで壁側へと飛んだ。



後方支援隊にも怪物の話が届いた。


「グロスト…大丈夫だよね…」


ウィルは心配していた。

グロストは前衛。

今頃衝突しているかもしれない。

しかし報告によると、敵の大きさは100mを軽く超えているとのことだ。


恐ろしい大きさであることは考えずともわかる。



グロストが心配でたまらなかった。




「…グロスト…」

「ウィル!何してる!これから怪我人が続出かもしれん!準備をしておけ!」

「はっ、はい!」

後方支援隊長、レイリーに言われウィルは我に返る。

ウィルには立ち止まる時間は無い。

ウィルの仕事は後方支援隊…

前衛のことは前衛に委ねるしかない。


ウィルは歯がゆい思いをしながらも、後方支援隊の準備を進めながら、怪我人の治療をした。




しかし、この時ウィルの中には、グロストの元へ応援に行きたい。

そんな気持ちで溢れていた。


後方支援隊が前衛に出向くことは良くある話だ。

物資の提供、現場治療。

それが今回に限って無かったウィル。




歯がゆい気持ちで一杯のウィル。



前衛での、激しい戦いが、始まろうとしていた…



Episode 22 END







~怠惰と創造神~











あらら、やりすぎたか?

ま、いいけどな。









あれは…一体何なんだ…!?









あんだよ、あんたにも予期できないことってあんの。









…これは…君の創りだした…









…間違いじゃねぇ、俺が無意識に生み出した。

…分かったろ。俺はこんな怪物を生み出しちまえるほど、汚れちまったんだ…

それもこれも…お前のせいだよ。










…っ…







否定

できねーだろ


そう、否定なんてできねぇのさ

あんたは万能な神でもなんでもない。

役立たずの能無しなんだよ…俺も、皆も、な…











…あぁ、見える…彼が…倒される…未来…

駄目だ!!!

君を…死なせるわけにはっ!!









何っ!?

俺の領域に…!?












えええええいっ!!!!!!














…馬鹿だろお前…

そんなのただの延命にすぎねぇよ。














それも僕は…彼を死なせたくない。

絶対彼が君の世界の未来を光に導く…!だから死なせない!
















チッ、勝手にしやがれ。










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