7.嫌がられるおっさん
おっさんが部屋から出てこないようになってしばらく経ちます。
不健康な生活をおくりはじめたおっさんは、みるみる痩せ細り、顔つきはけわしくなりました。
「旅人」が訪ねても、素っ気ない態度が多くなってきました。
「旅人」は、
「おっさんは変わってしまった。強いおっさんのようにとても横柄な態度もするようになってしまった。
おっさんも追い詰められさえしなければあんな風にはならなかったのに」
と残念に思います。
ある日「旅人」がおっさんの部屋をたずねますと、おっさんは動かなくなっていました。
窓を閉めきった暗い部屋の中で独り、布団にくるまりお酒を飲んだまま起きなくなったのです。
おっさんが他の人に見つけてもらえるまで一週間の時間がかかりました。
「旅人」以外には誰もおっさんの元へやってこなかったからです。
部屋を貸していたおっさんは、掃除されていく部屋を眺めながら、
「こんな風に死ぬなんて迷惑な人だ。
死ぬなら余所で死んでくれ。
今度からは独り身で仕事を失った人には出ていってもらおう。
まずはこのおっさんの家族を調べて、掃除代を払ってもらうとしよう」
というルールを決めて、部屋を貸している人の多くがそれを真似するようになりました。
「誰だっていつどこで死んでしまうかわからないのに、おかしなことを言いだすんだな。死んでしまうのは誰かの責任なんだろうか」と「旅人」はその様子を驚いて見ていました。




