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『孤児院から逃げた私は、希少スキル《回復魔法》で世界を渡り歩く』  作者: 楓真パパ
第1章

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第21話

 翌朝。

 街の空は薄い青で、昨日よりも少しだけ暖かかった。


 ソウマと私は荷台を宿に預かってもらって、姉妹の家へ向かった。


 扉をノックすると、中から元気な声が聞こえた。


「ノエルお姉ちゃんだ!」

「ソウマお兄ちゃんだ!」


 扉が勢いよく開き、リナとミナが飛び出してきた。


「おはよう!」

「おはようなの!」


 私は思わず笑ってしまった。


「おはよう、二人とも。今日は案内よろしくね」


 リナは胸を張った。


「任せて!この街のことなら、わたしたちが一番知ってるんだから!」


 ミナも元気いっぱいに頷く。


「うん!いっぱい案内する!」


 家の中からお母さんが顔を出した。


「娘たちを……よろしくお願いしますね。昨日は本当にありがとうございました」


 ソウマが軽く頭を下げる。


「いえ、こちらこそ。今日は街を見て回りたいので助かります」


 私はお母さんに声をかけた。


「お昼ご飯、何か食べたいものありますか?お土産に買ってきます」


 女性は驚いたように目を見開いた。


「そんな……気を遣わなくても……」


 リナがすぐに言う。


「お母さん、パン好きだよね!」

「ミナもパン好き!」


 女性は照れたように笑った。


「……じゃあ、パンを少しだけ……」


 私は頷いた。


「分かりました。美味しいパン屋さん、教えてね」


 リナは胸を張った。


「もちろん!この街で一番美味しいパン屋さん、知ってるよ!」


 街は昨日よりも賑やかで、朝の光が石畳を明るく照らしていた。


 リナとミナは手をつないで、私たちの前を歩きながら案内してくれる。


「まずは広場だよ!」

「広場ひろいの!」


 広場には大きな噴水があり、子どもたちが水遊びをしていた。


「ここでね、よく遊ぶんだよ」

「ミナはここで転んだの!」


 ミナが恥ずかしそうに笑う。


「転んだの……でも、リナが助けてくれたの」


 私は胸が温かくなった。


 ――この子たちは、本当に仲がいい。


 次に案内されたのは川沿いの道。


「ここはね、夕方になるとすっごく綺麗なの!」

「お魚もいるの!」


 川の水は透き通っていて、

 太陽の光が反射してきらきらしていた。


 ソウマが感心したように言う。


「いい街だな……落ち着いてるし、住みやすそうだ」


 私は頷いた。


「うん……なんか、安心するね」



 広場を見たあと、リナがくるりと振り返った。


「次はね、道具屋さんだよ!冒険者さんはよく使うんでしょ?」


 ミナも元気いっぱいに手を挙げる。


「つぎ、どうぐや!」


 街の通りを少し歩くと、木の看板に「道具屋」と書かれた店が見えてきた。


 店の前には薬草やロープ、火打石や水袋が並んでいる。


「ここはね、冒険者のお兄さんやお姉さんがいっぱい来るの。お店のおじさん、やさしいよ!」


 店主が笑顔で手を振った。


「おや、リナちゃんにミナちゃん。今日はお友達と一緒かい?」


 ソウマが軽く頭を下げる。


「はい。街を案内してもらってます」


 私は棚に並ぶ薬草を見ながら言った。


「ここ、品揃えがいいね……」


 店主は胸を張る。


「この街は森が近いからな。薬草や採取道具は常に揃えてるよ」


 リナが誇らしげに言う。


「でしょ!ここ、すっごく便利なんだよ!」


 ミナも頷く。


「ノエルお姉ちゃん、ここでいっぱい買えるの!」


 私は笑って頷いた。


「うん。依頼を受けるときはお世話になりそうだね」


 道具屋を出ると、リナが次の店を指差した。


「つぎは武器屋さん!ソウマお兄ちゃん、ナイフ使ってたよね?」


 ミナも跳ねる。


「ぶきや!ぶきや!」


 武器屋は石造りの建物で、店先には剣や槍、弓が並んでいる。


 店主は大柄な男性で、腕を組んでこちらを見ていた。


「おう、リナにミナじゃねえか。今日は案内か?」


 リナが胸を張る。


「うん!ノエルお姉ちゃんとソウマお兄ちゃんを案内してるの!」


 ソウマは店先のナイフを見て目を輝かせた。


「……いいナイフが多いな」


 店主が笑う。


「この街は狩人も多いからな。軽くて扱いやすい武器が人気だ」


 私は杖の棚を見ながら言った。


「杖もあるんだ……」


「おう。魔法使いは少ないが、たまに来るからな。軽い木製の杖が人気だぜ」


 ミナが私の袖を引っ張る。


「ノエルお姉ちゃん、つよくなるの?」


 私は笑って頷いた。


「うん。もっと強くなるよ」


 リナが嬉しそうに笑った。


「じゃあ、またここで武器買えるね!」


 武器屋を出ると、リナが次の店を指差した。


「最後は防具屋さん!ここも大事だよ!」


 ミナも元気に言う。


「ぼうぐ!ぼうぐ!」


 防具屋は革製品の匂いが漂っていて、胸当てや手袋、ブーツが並んでいる。


 店主の女性が笑顔で迎えてくれた。


「いらっしゃい。あら、リナちゃんとミナちゃん。今日は案内役なのね」


 ソウマが革の胸当てを手に取る。


「軽い……いい作りだ」


 店主は誇らしげに頷いた。


「この街は狩人が多いからね。動きやすい防具がよく売れるのよ」


 私は手袋を見ながら言った。


「これ、魔法使いでも使えそう……」


「ええ。魔力の流れを邪魔しないように作ってあるわ」


 ミナが私の手を握る。


「ノエルお姉ちゃん、これ可愛いよ?ノエルお姉ちゃんに似合うよ」


 私は笑って頷いた。


「えー、こんなにかわいいの似合うかなー?」


 リナが嬉しそうに跳ねた。


「にあうにあう!!!だってノエルお姉ちゃんすっごくキレイだから!!!」


「リナちゃんのほうがかわいいよー!!」


 私はリナちゃんを抱え上げ、ぎゅーと抱きしめた!


「きゃーーー!あはははは!!」


「じゃあ、つぎはパン屋さんだよ!」

「パンたべるの!」


 姉妹は元気いっぱいに走り出し、私たちはその後を追った。


 姉妹に連れられて歩くと、街の中心にある小さなパン屋が見えてきた。


 木の看板には、可愛いパンの絵が描かれている。


「ここが一番美味しいの!」

「ミナ、ここのパンだいすき!」


 店に入ると、焼きたてのパンの香りがふわっと広がった。


 私は思わず深呼吸した。


「……いい匂い……」


 ソウマも笑う。


「腹が減ってきたな」


 店主の女性が笑顔で迎えてくれた。


「いらっしゃい。あら、リナちゃんとミナちゃんじゃない。今日はお友達と一緒なのね」


 リナが胸を張る。


「うん!ノエルお姉ちゃんとソウマお兄ちゃんを案内してるの!」


 店主は優しく笑った。


「新しいお客さんを連れてきてくれたのかい。それじゃあ今日は特別に焼きたてを出しておまけをしてあげる」


 私たちはパンを選び、姉妹のお母さんへのお土産も買った。


「これ、お母さん喜ぶかな?」


 ミナが嬉しそうに頷く。


「よろこぶ!ぜったいよろこぶ!」


 店の外のベンチに座り、私たちは昼食を取った。


 焼きたてのパンはふわふわで、噛むとほんのり甘くて、胸の奥まで温かくなる味だった。


「……おいしい」


 思わず声が漏れた。


 リナが嬉しそうに笑う。


「でしょ!ここのパン、すっごくおいしいんだよ!」


 ミナもパンを頬張りながら言う。


「おいしいの!」


 ソウマがパンを食べながら言った。


「この街、いいところだな。案内してくれてありがとう」


 リナとミナは誇らしげに胸を張った。


「まだまだ案内するところあるよ!」

「あるの!」


 昼食を終え、お母さんへのお土産を姉妹に持たせると、ソウマが言った。


「そろそろギルドへ行かないとな。手続きがあるし、依頼も受けたい」


 リナが名残惜しそうに言う。


「もう行っちゃうの……?」


 私は姉妹の頭を撫でた。


「また会えるよ。お母さんにもパン渡してあげてね」


 ミナがパンの袋を抱きしめる。


「うん……!お母さん、よろこぶ……!」


 リナは少し照れながら言った。


「また……遊びに来てね……」


 私は笑った。


「もちろん。また案内してね」


 姉妹は嬉しそうに頷いた。


「うん!」

「うん!」


 姉妹と別れ、私たちはギルドへ向かった。


 新しい街のギルドは大きく、入口には多くの冒険者が出入りしている。


 ソウマが深呼吸した。


「さて……ここで新しい生活が始まるな」


 私は胸が静かに高鳴るのを感じた。


 ギルドの扉を押し開け、私たちは中へ足を踏み入れた。


 建物は前の街よりも大きく、石造りの壁は重厚で、入口には多くの冒険者が出入りしている。


 扉を押し開けると、中は活気に満ちていた。


 依頼掲示板の前には人だかりができ、受付には列ができている。


「……すごいね、この街のギルド」


 私が呟くと、ソウマが頷いた。


「冒険者が多い街なんだろうな。依頼も多そうだ」


 私たちは受付の列に並び、順番を待った。


 しばらくして、受付の女性が笑顔で声をかけてくれた。


「次の方、どうぞ」


 ソウマがギルドカードを差し出す。


「この街で活動するための手続きをお願いしたいんですが」


 受付嬢はカードを確認し、私のカードも受け取った。


「お二人とも、前の街で登録済みですね。こちらの街での活動登録を行いますので、少しだけお待ちください」


 女性は手際よく書類を確認し、魔力でカードを読み取る装置に通した。


「はい、これでこの街のギルドでも依頼を受けられます。滞在予定はどれくらいですか?」


 ソウマが答える。


「しばらく滞在する予定です。旅の資金を少し稼ぎたいので」


 受付嬢は頷き、依頼掲示板の方を指差した。


「この街は採取依頼が多いですし、初心者向けの討伐依頼も豊富です。お二人なら問題なくこなせると思いますよ」


 私は胸の奥が少しだけ高鳴った。


 受付嬢は続けた。


「それから……街の子どもを助けてくれたと聞きました。門番から報告が来ています」


 私は驚いて目を瞬いた。


「え……もう?」


 受付嬢は優しく微笑んだ。


「ええ。この街では子どもを守ってくれた冒険者には、ギルドとしても感謝を伝えることになっています。本当にありがとうございました」


 ソウマが少し照れたように言う。


「いえ……当然のことをしただけです」


 受付嬢は深く頭を下げた。


「これからも、この街をよろしくお願いしますね」


 私は胸の奥が温かくなるのを感じた。


「はい。頑張ります」


 手続きを終え、私たちは依頼掲示板へ向かった。


 新しい街の空気は、どこか期待に満ちていて――


 胸の奥が静かに高鳴っていた。

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