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【連載中】社畜OLの私が乙女ゲームの悪役令嬢に転職しました。でもイケメンの第一王子にむらがる女たちを対決してざまあして溺愛されます。  作者: 久坂裕介
第一章 貴族令嬢と対決

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第九話 逆転

 会場の雰囲気ふんいきが自分に味方みかたし出したことに満足したのだろう、シズは得意とくいげな表情で話し続けた。

「とにかくエマさんの金銭感覚きんせんかんかくは、問題だと思います。仮にこの国の財政状況ざいせいじょうきょうを知らないのなら、それも問題です。私ならカイト様から、庶民しょみんの間で一般的な金の指輪ゆびわをいただきます。いえ、私ならカイト様からいただけるなら、鉄の指輪でもかまいませんわ」


 すると会場は、盛り上がった。

「おお~! いいぞ、シズ!」

「ホントよね~。カイト様には、シズがふさわしいんじゃないかしら?」

「そうだ、そうだ!」


 くっ、これはマズい。私は金銭感覚に問題がある、悪役令嬢あくやくれいじょうになってしまった……。そしてふとカイト様を見てみると、腕組うでぐみをしてうなっていた。後ろにいる国王も、「うーむ」と唸っているようだ。マ、マズイ! このままでは私はカイト様から、婚約破棄こんやくはきされてしまう! そしてあろうことかカイト様は、シズとこの場で婚約してしまうかも知れない!


 私がふとシズを見てみると、してやったりという表情をしている。くっ! 負けないわ! あんな女なんかに負けないわ! あんな女なんかにカイト様を取られてたまるか! でも、どうしよう。この会場はほとんど、シズの味方になっている。そしてあろうことか国王もカイト様も、らいでいるようだ。マ、マズイ。これは本当にマズイ……。


 くっ、どうにかしてこの会場の雰囲気を変えないと。シズはおそらく、ハッタリをかましただけだから。本当にカイト様と婚約することになったら、鉄の指輪で満足するハズがない。それを証明できれば、この会場の雰囲気を変えることができるかも知れない。でもそれには一体いったい、どうすれば……。


 と考えた私は、ひらめいた。これだ、これしかない! これでこの会場の雰囲気を変えるしかない! 私は近くにいた、お城のメイドに指示しじした。

針金はりがね! 針金を持ってきて、早く!」


 するとメイドは一瞬いっしゅん、ポカンとした表情になったが私の必死の表情を見て会場から出た。そしてすぐに、針金を持ってきてくれた。

「こ、これでよろしいでしょうかエマ様?!」


 私は針金を受け取ると、うなづいた。

「ええ。これでいいわ、ありがとう」


 そして私は針金で、指輪を作った。よし、これでいい。これでシズのけの皮をいでやるわ! 私は針金で作った指輪を、シズにき出した。

「さあ、あなたが望んだ鉄の指輪を用意したわ! あなたはこの指輪でも、受け取れるんですよね?!」


 するとシズの表情が一瞬、くもった。まさか本当に鉄の指輪を用意するとは思わなかった、という表情だ。うん、やっぱりさっきのシズの発言はつげんはハッタリだ! この勝負、もらった! だが次の瞬間、何とシズは私とカイト様に近づいてきた。そしてカイト様に、一礼いちれいした。

「もちろん私の発言に、二言にごんはありません。もしこの指輪をカイト様からいただけるなら、私はもちろん喜んでいただきます」


 とシズは、左手を差し出した。くっ。この女、そこまでやるか……。なので私は、最後の手段に出た。これでどうだ!

「あーら、シズさん。カイト様から、素敵すてきな鉄の指輪をいただけるようでうらやましいわあ。私なんてカイト様から、ダイヤモンドの指輪しかもらえなかったから。それにこれは、歴史に残るでしょうねえ。シズさんはカイト様から、鉄の指輪をもらったと。そして私は、ダイヤモンドの指輪をもらったと。これはまいったわ~。完全にあなたの勝ちね、シズさん?」


 するとシズは、鬼のような形相ぎょうそうになった。ここで鉄の指輪をもらうことに我慢がまんはできても、それが事実として歴史に残ることまでは我慢できないようだ。そしてシズは、言い放った。

「ふん! だれがそんな針金でできた鉄の指輪なんてもらうもんですか! それにこんなに財政が苦しい国の王子のきさきなんかになるもんですか!」


 よしよし、やっと本性ほんしょうを現したわねシズ。なので私は、とどめをした。私はこの会場にいる皆に、かたりだした。

「確かに今、この国の財政は苦しいです。それなのにカイト様から、ダイヤモンドの指輪をもらったことは間違いかも知れません。なので私は、これを教訓きょうくんにしたいと思います。私はこれから贅沢ぜいたくをしないことを、ここにいる皆さんにちかいます。もちろんそれは国のため、そして国民のためです」


 すると、この会場はり上がった。

「おおおお! 素晴すばらしい宣言せんげんだ、エマよ! やはりカイト様と婚約して妃になるのは、お前しかいない!」

「ええ、ええ。ホントよねえ」

「それにくらべてシズは、ただのウソつきだ!」


 とこの会場の雰囲気は一転いってんして、私の味方になった。それにえられなかったシズは、顔を真っ赤にするとり返ってこの会場から出て行った。それを見届みとどけた私は、心底しんそこホッとした。あ、危なかった。危なく私はカイト様に、婚約破棄されるところだった。でも所詮しょせんは、若さだけが小娘こむすめ浅知恵あさぢえね。ざまあ見なさい! 三一年間独身(どくしん)の女の、いも甘いもみ分けた人生経験じんせいけいけんをナメるな!


 と私がシズとの対決に勝ってホッとしていると、突然カイト様は強く私をきしめた。

「申し訳ありません、エマさん」

「え? カイト様?……」

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