第七話 パーティーの開始
え? ドレス? ふと部屋の中央を見てみると、そこには白、赤、ピンク、黄色など様々な色のドレスが並んでいた。その数に、私はドン引きした。何このドレスの数、エグイ! でもまあ、考えてみればそうかも知れない。何しろこの国の第一王子の、婚約披露パーティーだ。当然その相手の私も、注目される。だからこれほどの数のドレスから、選べと言うことだろう。なので私は、考えた。うーん、どの色のドレスにしようかなあ……。
うーん、赤も華やかだし、ピンクも可愛いし、黄色も鮮やかだし。でも私は、白くフワフワのドレスを選んだ。やはりブライダル関係と言えば、白が定番だろう。私は、お城のメイドに告げた。
「あの、この白のドレスにします」
すると二人のメイドは、そろって頭を下げた。
「「かしこまりました、エマ様」」
そして二人のメイドに、ドレスを着せてもらった。するとメイドの一人に、全身が見える鏡でチェックするように言われた。なのでその鏡で確認すると、鏡には白いドレスが良く似合う可愛い女性が映っていた。え、これが私? 可愛い、我ながら可愛すぎる……。するとメイドにも、「大変お似合いです、エマ様」と言われたので私はこのドレスに満足した。
そしてもう一人のメイドに、「それではお化粧をさせていただきますので、鏡台の前にお座りください」と勧められた。なので鏡台の前に座ると、髪を後ろにアップされて化粧もされた。すると鏡台には、可愛いが大人の雰囲気もある女性が映っていた。なので私は、確信した。今の私は、貴族令嬢のシズになんかに絶対に負けないと。
するとこの部屋のドアがノックされ、メイドが入ってきた。
「エマ様。ご準備はよろしいでしょうか? そろそろパーティーが始まります」
ふう、いよいよか。いよいよクライマックスの婚約披露パーティーが始まり、シズと対決するのか。よーし、やってやるわ! でもパーティーに行く前に、私は鏡台を覗きこんだ。よし、鼻毛出てねーな。それじゃあいっちょ、行きますか! と私は、この部屋から出た。すると何とそこには、カイト様が立っていた! いつもの紺色ではなく、黒の正装をしたカイト様はよりカッコよかった。
なので私は思わず、カイト様をガン見した。眼福、眼福。目の保養、目の保養。でも私は、カイト様の異変に気付いた。私を見て一言も言わずに、ポカンとしていたからだ。なので私は、聞いてみた。
「あの。どうされましたか、カイト様?」
すると私の言葉で、カイト様は我に返ったようだ。そして、真顔で告げた。
「う、美しいですエマさん。今のあなたは、いつにも増して美しい。こんなに美しい女性と婚約できるなんて、私はこの国一番の幸せ者です……」
そう言われて、私は照れた。いやん、いつにも増して美しいだなんて! もー、カイト様ってばそんな本当のことを言って! そして私とカイト様は腕を組んで、パーティーが開かれる大広間に向かって歩き出した。そこにはすでに多くの人々が、テーブルについていた。私とカイト様が中央に向かって歩いていると、人々が感想を漏らした。
「まあ、エマ様ってば本当に素敵だわ……」
「ああ。本当に美しい……」
「何てお似合いの二人なのかしら……」
そうして私とカイト様は、この大広間の上座に設置された長方形のテーブルに進んだ。そこに着くとカイト様が一段高いところに座っている国王に一礼したので、私も一礼した。国王は凛々しい表情をしていて金の冠を被り、白い衣装を着ていた。その隣に座っている王妃は、ニコニコしていてやはり白い衣装を着ていた。
私とカイト様がお客さんの方を向いて立っていると、国王が立ち上がる気配がして挨拶を始めた。
「今日は我が息子カイトの婚約披露パーティーに出席していただき、礼を言う。でも今日の主役は私ではないので、挨拶はこれくらいにしておこう。そして今日の主役に、挨拶をしてもらおう」
すると会場に集まった人々は微笑み、カイト様の挨拶を待った。そこでカイト様は、挨拶を始めた。
「皆さん。今日は私とエマさんの婚約披露パーティーにお集まりいただき、ありがとうございます。エマさんは御覧の通り美しく、また誰に対しても心配りができる素敵な女性です。そんなエマさんを皆さんにご紹介する機会をいただき、ありがとうございます。そのお礼と言ってはなんですが、ご馳走を用意させていただきました。その料理が冷めてしまうといけないので、私からの挨拶もこれで終わりたいと思います。それでは皆さん、どうかご歓談ください」
と挨拶が終わると、カイト様はイスに座った。なので私も、イスに座った。そして私は、ホッとした。どうやら私は、挨拶をしなくてもよさそうだからだ。こんなにたくさんの人の前で挨拶なんて、私には自信が無いからだ。とにかくこれで、婚約披露パーティーが始まった。するとこの大広間の左から、ウェイターやメイドが料理を運んできた。
まずは、国王と王妃から。それから、お客さんたちに。そして最後に、私とカイト様の目の前に料理が運ばれてきた。




