第六話 パーティー会場へ
そして私とカイト様の、婚約披露パーティーの朝になった。私は目が覚めてベットから飛び起きると、朝食をガツガツと食べた。うん。腹が減っては戦はできないと言うから。そうして自分の部屋に戻って身支度を整えていると、ノックとメイドの声がした。
「エマ様。カイト様がお見えになりました」
よし、きたか。いよいよ、婚約披露パーティーが始まる。つまりは、シズとの対決だ。よし、やってやる! 私は両手で両頬を包むように叩き、気合を入れた。そして部屋のドアを開けて、出た。するとやはり、メイドとカイト様が立っていた。カイト様は、爽やかな笑顔を浮かべて右手を出した。
「さあ、まいりましょうエマさん。私たちの、結婚披露パーティーの会場へ」
「はい」と私は左手を差し出し、カイト様はその手を取るとこの屋敷の出口に向かった。そこには二頭の白馬が引く、馬車が止まっていた。そしてそこまでは、赤いじゅうたんが引かれていた。それらを見た私は、当然ビビった。な、何これ?! レッドカーペットってやつ?! 私、女優になっちゃった?! いや、そんな訳ないか。
そうしてビビりながらも私はカイト様に手を引かれて、赤いじゅうたんを歩き馬車に乗った。すると御者が赤いじゅうたんを馬車に積み込み、馬車を走らせた。馬車はレンガ造りの建物の間にある、石畳をガタゴトと進んだ。その間私は、ずっと緊張していた。貴族令嬢のシズとの対決を控えていたことも理由の一つだが、婚約披露パーティーに出席することに緊張していた。いや、出席ではない。それはパーティーに参加する、お客さんだ。私の立場は、主賓だ。婚約披露パーティーの、主賓。私はもちろん、そんな立場になったことはない。
すると、そんな私の緊張が伝わったのかカイト様が聞いてきた。
「もしかして、緊張されているのですかエマさん?」
私は、正直に答えた。
「え、ええ。ちょっと……」
するとカイト様は、爽やかな笑顔を見せた。
「大丈夫ですよ。婚約披露パーティーではまず国王である私の父が挨拶をして、お客様に料理を楽しんでいただいて、最後に私がエマさんに指輪を嵌めてキスをしてそれで終わりですから」
それを聞いて、私は納得した。なるほど。つまり私はカイト様に指輪を嵌めてもらって、キスをするだけなのか。客人に、挨拶とか無いんだ。なんだ。簡単、簡単。と、そこで私は気づいた。え? キ、キスゥゥゥゥ?! ひょっとしてお客さんたちの目の前で、キスするの?! ぜ、絶対に恥ずかしい!!!!
するとカイト様は、やはり爽やかに微笑んだ。
「大丈夫ですよ、エマさん。全ては私がやるので、エマさんは何も心配することはありません」
「は、はあ……」
と答えながら、私は考えていた。キスって久しぶりだから、上手くできるかなあ? 最後にキスをしたのって、何年前だっけ?……。
そう考えていると馬車は、お城に到着した。灰色のレンガで造られた、大きくて立派なお城だ。その木製の正門を通って、お城の入り口に到着した。私はやはりカイト様に手を取られ、馬車から降りてお城の中に入った。そして真っすぐに歩いていると、大広間に到着した。するとカイト様は、説明した。
「ここで私たちの、婚約披露パーティーが開かれます。それは正午から始まるので、エマさんは右側にある部屋で支度をしてください」
私が大広間を見ると、白くて丸いテーブルなどを設置するためにお城のメイドなどが忙しそうに働いていた。なるほど。ここでパーティーが開かれるのか。おっと。私はそのために、支度をしなくては。と右側にある部屋に向かおうとすると、聞き覚えのある声が聞こえた。
「まあ、何て立派な大広間なんでしょう。ここでパーティーが開かれるなんて、素敵ですわカイト様!」
こ、この声は?! 私がその声がした方を見ると、やはりフワフワのピンクのドレスを着た貴族令嬢のシズがいた! そしてシズは、カイト様にお願いしていた。
「でもあまりにも広すぎて、私が座る席が分かりませんわ。カイト様、案内をお願いします」
するとカイト様は、笑顔で頷いていた。くっ、これもゲーム通りだわ。私と対決するキャラはこうして、カイト様と時間を過ごす。話をしたりして、カイト様の好感度を上げるために。私はハッキリ言ってそれを邪魔したいが、私はパーティーに出る支度をしなければならない。なので右側の部屋に向かおうとしたが視線を感じたので見てみると、シズがこちらを見て舌を出していた。しかもカイト様と腕を組んで!
まるでシズは、カイト様を手に入れたかのような表情をしていた。私は当然、シズに殺意を抱いた。こ、殺したい。今すぐシズをこの手で絞め殺したい……。でもやはり、それはマズいだろう。それでは私が、犯罪者になってしまう。それにシズとはこのパーティーで、対決することになっている。よし、シズよ。決着はそこで着けましょう。と私は静かな闘志を燃やしながら、右側の部屋に入った。
そこには二人のお城のメイドがいて、私が入ると早速声をかけられた。
「おはようございます、エマ様。早速ですが本日のパーティーでお召しになる、ドレスをお選びください」




