第十九話 何でこんな簡単なことに気づかなかったんだ!
そうして私とカイト様を乗せた馬車は、城に向かって走り出した。その最中、私はカイト様から今回の婚約披露パーティーについて説明された。国王とカイト様が挨拶をして、パーティーが始まる。そして食事が始まり終わったら、儀式が始まる。それは私がカイト様から指輪を受け取り、そしてキスをするということだった。それを聞いて、私は納得した。うん。パーティーの内容は、前回と同じね。
と考えていると、馬車はお城に着いた。私とカイト様が城に中に入り奥に進むと、大広間に着いた。見てみると丸くて白いテーブルなどを設置するために、メイドなどが忙しそうに働いていた。うん、これも前回と同じだわ。すると……。と私がカイト様を見つめると、カイト様は説明した。
「ここで私たちの、婚約披露パーティーが開かれます。それは正午から始まるので、エマさんは右側にある部屋で支度をしてください」
うん、やっぱり。そしてカイト様は、この大広間に残った。おそらくイカナ国のナコ王女を、案内するつもりなのだろう。それを知っていた私は、右側にある部屋に行って、ドレスを選んだ。前回は白くてフワフワのドレスを選んだので、今回は白くて体にピッタリとフィットするドレスを選んだ。やはり前回と同じドレスではなく、ちょっと冒険をしてみたかったからだ。
そうして私の着替えが終わると、カイト様がやってきた。そして私はカイト様の腕を組み、パーティーの会場である大広間に入った。それから私たちが上座のテーブルに着くと、国王の挨拶が始まり次にカイト様が挨拶をした。この二人の挨拶の内容はやはり、前回と同じモノだった。
そして二人の挨拶が終わると、皆に料理が運ばれてきた。それはメインはハンバーグで、スープとパンが付いていた。あれ? 前回はステーキが出てきたはずだけど、と考えたがあまり気にしないことにした。考えても、分からないからだ。
私はカイト様とエカデのどちらを選ぶのかを悩んでいたので、あまり食欲が無かった。でもハンバーグは好きなので、一口食べてみることにした。するとそれは噛むと肉汁が口に中にあふれ出す、美味しいハンバーグだった。だが悩んでいた私は、やはり一口食べて止めた。すると隣に座っているカイト様が、聞いてきた。
「おや。どうしたんですか、エマさん。食欲が無いんですか?」
なので私は、ウソをついた。
「はい。ちょっとこの会場に集まっている人が多すぎて、緊張してしまって……」
「そうですか。それでは今は、無理して食べない方が良いのかも知れません。少し落ち着いてから、食べた方が良いかも知れません」
「はい……」
そして私がふとお客さんたちを見ると、エカデとナコ王女が向かい合って座っていた。それを見た私は、やはり考えた。私はカイト様とエカデの、どちらを選べば良いのか。でも考えてもその答えは出ずに、時間だけが過ぎて行った。すると国王は、挨拶をした。皆、料理は食べ終わったようだから、次は婚約披露パーティーの儀式をすると。
なので私とカイト様は立ち上がり、向かい合った。そしてカイト様が私の左手の薬指にダイヤモンドの指輪を嵌めようとした時、落ち着いた低い声が聞こえた。
「ちょっと待ってもらおうか」
私が声をした方を見てみると、やはりそう言ったのは立ち上がったエカデだった。エカデ……。と私がこれからどうしたら良いか考えていると、国王が発言した。
「どうした、エカデ? 何を待つのだ?」
するとエカデは国王に一礼してから、答えた。
「おそれながら国王陛下。そのエマは、カイト様と正式に婚約するつもりはありません。なぜならエマは、この私と婚約をしたいと考えているからです」
エカデがそう答えると、会場はざわついた。
「な、そんなバカな?!」
「証拠はあるのか?!」
「そ、そうよ! 証拠はあるの?!」
するとエカデは、自信満々に答えた。
「証拠ならあります。証拠はそのエマがしている、ペンダントです。それは昨日私が、エマに買ってやったモノです。だからそのペンダントを、今付けているのが何よりの証拠です!」
それを聞いたカイト様は、驚いた表情になった。
「な、そ、それは本当ですかエマさん?!」
エカデがバラしてしまったので、言い訳ができなくなった私はカイト様に正直に答えた。
「はい、本当です。さっきはウソをついてしまい、申し訳ありません、カイト様……」
「な、何と……」
するとエカデは、畳みかけてきた。
「さあ。そのペンダントをしてるってことは、俺と付き合いたいってことだろ? 俺と婚約したいってことだろ? だったら俺のところにこい、エマ!」
そう言われた私は、思わずカイト様を見つめた。するとカイト様は、首を左右に振った。
「私は、何も言いません。私とエカデのどちらを選ぶのか、それはエマさんが決めてください」
カ、カイト様……。するとエカデは、再び畳みかけてきた。
「よく考えろ、エマ! お前はたまたまお城のパーティーで、お前に一目ぼれしたカイトに声をかけられただけだ! もし声をかけたのが俺だったら、結果は違っていたハズだ! そうだろう、エマ!」
確かに、そうかも知れない。その時のエマは私ではないが、もし声をかけてきたのがエカデだったら……。って、あれ? 何か、おかしいな。と考えた私は、気付いた。私はバカだ、大バカだ! 何でこんな簡単なことに気づかなかったんだ!




