第二十話 ちょっと待った!
だから私は、エカデに聞いてみた。
「確かに、そうかも知れません。確かに私はたまたまお城で開かれたパーティーで、たまたま私に一目ぼれしたカイト様に声をかけられただけなのかも知れません。でも私には、疑問があります。なぜエカデ様はお城のパーティーで、私に声をかけてくださらなかったのですか? なぜカイト様と仮の婚約をした今になって、声をかけてきたのですか? 聞いた話によるとエカデ様はお城のパーティーで、他の女性に声をかけていたそうですが?」
するとエカデは、うろたえた。
「う。そ、それは……」
なので私は、言い放った。
「それはつまり、こういうことでしょう。エカデ様はお城のパーティーでは、私に興味が無かった。だから他の女性に、声をかけた。でも私がカイト様と仮の婚約をしたと聞いて、急に私に興味を持った。だから今になって、急に私に声をかけてきた。カイト様と仮の婚約をした女と付き合えば、自分が注目されると考えたのでしょう。ただ、それだけです。あなたはただ、注目されたいだけなのではないでしょうか?!」
するとエカデは、何も答えられずにうつむいた。ふむ。やはり私の、予想通りだったか。そして私は、自分に腹が立った。何でこんな簡単なことに気づけなかったのかと。でもそれは、仕方が無いことなのかも知れない。エカデは確かに、男としての魅力があったからだ。それにこのゲームが、二週目だからだろう。二週目だから私とカイト様が婚約披露パーティーで、簡単に正式な婚約をしないように難易度を上げるためなのだろう。そのためにエカデは、私の前に現れたのだろう。
そこまで考えると、私はスッキリした。私はエカデを選ばずに、カイト様を選ぼうと決心したからだ。そして私はエカデに、とどめを刺すことにした。私はつかつかとエカデに近寄ると、首からエカデに買ってもらったペンダントを外してエカデに突き出して無理やり掴ませた。そして、言い放った。
「そしてあなたは、強引さが男らしさだと勘違いしているようです。でもそれは、違います。男らしさとは、さっきのカイト様のことを言うのです。先ほどカイト様は、こうおっしゃいました。『カイト様とエカデ様のどちらを選ぶかは、私に決めてほしい』と。もし私がエカデ様を選んでも、カイト様はきっと私を祝福してくれたでしょう。自分が愛した女性が幸せになれるのなら、それでいいと。どうですか? これが本当の男らしさです! これが本当の愛です! だから私は、カイト様を正式な婚約者として選びます!」
するとエカデは、うろたえた。この大人数の前で、振られて恥をかかされたからだろう。そしてエカデは、逆ギレした。
「ああ、そうだよ! お前と付き合うとしたのは、カイト様と仮の婚約をしたお前と付き合えば俺が注目されると思ったからだ。そうすれば俺は更に、女にモテると思ったからだ! だからエマ、お前が俺を振ると言うんなら、俺もお前を振るぜ! じゃあな、エマ! 俺はもうお前と付き合おうなんて、これっぽちも思ってないぜ!」
そう言い捨ててエカデは、この大広間の出口に向かった。その途中エカデは、このパーティーの出席者からヤジられた。
「ホントに最悪ね、エカデは」
「男らしくないぞ!」
「そうだ、そうだ!」
するとエカデは、「うるせえ!」と言い残してこの大広間から出て行った。私はその様子を見て、胸がスカッとした。エカデがヤジられたのは、この私を惑わせようとした罰だと思ったからだ。ふん、ざまあ見なさい! でも私は、少しエカデを憐れに思った。一人の女性を本当に愛することを知らない、エカデを。でも私は、気持ちを切り替えた。そして私はカイト様の目の前に移動して、カイト様に深く頭を下げた。
「申し訳ありません、カイト様。私がカイト様とエカデの間で、揺れ動いていたのは事実です。でもご覧になったように、私はエカデを選びませんでした。私はやはり本当に私を愛してくださる、カイト様と正式に婚約をさせていただきたいと思います」
するとカイト様は、ニッコリと微笑んでくれた。
「ありがとうございます、エマさん。私の方こそ、あなたに惚れ直しました。さっきの行動を見て。そして、確信しました。私があなたを選んだのは、やはり正解だったと。なので、儀式を続けましょう」
「はい!」
そしてカイト様は、私の左手の薬指にダイヤモンドの指輪を嵌めた。そして私とカイト様がキスをしようとした時、会場から大きな声がした。
「ちょっと待った!」
私がその方向を見てみると、そこには右手を高々と上げたイカナ国のナコ王女が立っていた。げ、忘れてた。本当の敵のことを。エカデに気を取られて、すっかり忘れていた。するとナコ王女は、再び大きな声を出した。
「このイカナ国の王女である私は、二人の正式な婚約に反対します!」
すると、会場はざわついた。
「え? どういうことなの?!」
「まずは、ナコ王女の話を聞きたいな」
「うーん、そうだな……」
すると国王の、威厳がある声が響いた。
「静まってくれ、皆。私は国王として、我がカヒリ国の友好国であるイカナ国の王女の意見を無視することはできない。なので王女の、意見を聞こうと思う。だから、静まってくれ」
その国王の言葉で、会場は静まった。するとナコ王女は、話し出した。
「私に話をさせていただく機会を与えてくださり、ありがとうございます、国王陛下。それでは、お話させていただきます。なぜ私がカイト様とエマさんの、正式な婚約に反対するのか。その理由を」




