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【連載中】社畜OLの私が乙女ゲームの悪役令嬢に転職しました。でもイケメンの第一王子にむらがる女たちを対決してざまあして溺愛されます。  作者: 久坂裕介
第二章 友好国の王女と対決

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第十七話 グラングラン

 すると馬車ばしゃはガタゴトと、石畳いしだたみを走り出した。ふと馬車の中から外を見てみると、いつの間にか美しい夕焼ゆうやけが見えた。ああ、もうこんな時間か。明日は私とカイトの婚約披露こんやくひろうパーティーだから、そろそろ帰った方が良いだろう。でも私は、帰れなかった。エカデと、もっと一緒いっしょにいたいと思ってしまったからだ。


 私とエカデの出会いは、最悪だった。いきなりかべドンはするし、キスはするし。でもそんな俺様系おれさまけいのエカデに、私の心はれた。今まで、こんな男に会ったことが無かったからだ。でもそのあと私は、カイト様と会った。そしてカイト様の男らしさを発見して、やはり私はカイト様と正式せいしきに婚約しようと思った。


 だが、だ。だがしかし。私の心はまたしてもエカデによって、揺れている。エカデは強引ごういんなだけの男かと思ったら、そうではなかった。演劇場えんげきじょう宝石店ほうせきてんでは、ちゃんと私をエスコートしてくれた。そして宝石店ではペンダントを買ってもらって、さわやかな笑顔も見た。


 私はエカデが、ちゃんと女性をエスコートして配慮はいりょできることを知ってしまった。エカデには強引な面もあるが、ちゃんと女性に配慮できる面もある。うーん。こういうギャップに、女性は弱い。なので再び、私の心は揺れている。カイト様とエカデ、どちらを選ぶべきだろうと。


 そんなことを考えていると、馬車は止まった。やはりエカデに左手を取られて馬車からりると、目の間には赤色の大きくて立派りっぱなレストランがあった。それを見て、私は怖気おじけづいた。こ、こんな立派なレストランには入ったことが無い! い、一体いったいどうすれば?……。


 と私が怖気づいていると、やはりエカデにエスコートされて、私はレストランに入った。そこはやはり豪華ごうかなシャンデリアがあり、一〇以上の白くて丸いテーブルがある広くて立派なレストランだった。そうしてやはり私は怖気づいたが、やはりエカデにエスコートされて私とエカデは奥にあるテーブルに向かい合って座った。するとメニューを見ながら、エカデは聞いてきた。


「エマ様。何か苦手にがてな食べ物はありますか?」

「い、いえ。とくにありません」

「そうですか。それでは私が料理を決めてもよろしいでしょうか?」

「は、はい。エカデ様に、おまかせしますわ……」

「ありがとうございます」


 そしてエカデは黒服くろふくのウェイターを呼んで、料理を注文した。するとエカデは、にこやかな表情で聞いてきた。

「いかがでしたか、エマ様? 私のエマ様に対する、婚約のおいわいは?」


 そう聞かれた私は、思わず本音ほんねを答えてしまった。

「え、ええ。とても素敵すてきなお祝いでしたわ……」

「そうですか、それは良かった。それではここで食事をして私のお祝いは最後ですので、ゆっくりと楽しみましょう」

「え、ええ……」


 とエカデとそんな話をしていると、黒服のウェイターが料理を持ってきた。見たところ、フランス料理のようだ。でも、具体的ぐたいてきに何の料理かは分からなかった。するとエカデが、説明してくれた。

「まずは季節の野菜を前菜ぜんさいです。食欲を刺激しげきする効果があります」

「次は、コンソメスープです。おなかを温める効果があります」

「そして、メイン料理です。今日は、さけのムニエルですね」

「最後はデザートの、アイスです」


 そうして二人ですべての料理を食べ終えると、エカデは聞いてきた。

「どうでしたか、エマ様? 今回の料理は?」

「ええ。どれも素晴らしかったです、エカデ様」


 するとエカデは、ニッコリと微笑ほほえんだ。

「そうですか、それは良かったです」


 そしてエカデは会計をしてきて、私はやはりエカデにエスコートされてレストランを出て馬車に乗った。エカデが御者ぎょしゃに私の屋敷やしきに行くように告げると、馬車は走り出した。石畳の上を、ガタゴトと。するとエカデは、私にキスをした。だが私はそれをこばまずに、私たちは長いあいだキスをしていた。それが終わるとエカデは、気が強そうな目で私を見つめた。

「どうだ、エマ? 俺はちゃんとこんなふうに、女性に配慮はいりょすることもできるんだぜ?」

「ええ、そうね……」


 そうして馬車は、私の屋敷に着いた。馬車から降りた私に、馬車の中からエカデは言いはなった。

「明日の婚約披露パーティーが楽しみだぜ、エマ。お前が俺とカイトの、どちらを選ぶのか!」


 そうして馬車は、私の屋敷からはなれて行った。おそらく、自分の屋敷に帰るのだろう。それとも私とは別の、女のところに行くのだろうか? そんなことを考えつつ、私は屋敷に入った。そして出迎でむかえたメイドに、告げた。

「夕食は外で食べてきたから、いらないわ。お父様とお母様に、そう伝えて」

「かしこまりました、エマ様」


 そして自分の部屋に入ってベットに仰向あおむけになると、私は考え始めた。明日の婚約披露パーティーで、私はカイト様とエカデのどちらを選ぶべきなのか。私の心は、揺れていた。カイト様とエカデの間で、グラングランに揺れていた。


 確かにカイト様は誠実せいじつで優しい、素晴らしい男性だ。しかもちゃんと、男らしさもある。それに比べてエカデは、問題がある。確かにエカデには、強引な面と女性に配慮できる面がある。でもそれは、自分が気に入った女をとすためのテクニックだろう。強引にせまっても堕ちない女には、さっきのように紳士的しんしてきに配慮して堕とす。そうやって今まで何人もの女を、堕としてきたのだろう。


 そしてそれは、もし私が明日の婚約披露パーティーでエカデを選んでも続くだろう。つまり私がエカデと婚約しても、エカデは他の女と遊び続けるだろう。元々エカデは、そういう男だからだ。だが私はそんなエカデに、堕ちてしまった。明日の婚約披露パーティーで、カイト様とエカデのどちらを選べば良いのかなやんでしまうほどに。そうして一晩中ひとばんじゅう悩んでいたらいつの間にか、私とカイト様の婚約披露パーティーが開かれる日の朝がきた……。

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