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【連載中】社畜OLの私が乙女ゲームの悪役令嬢に転職しました。でもイケメンの第一王子にむらがる女たちを対決してざまあして溺愛されます。  作者: 久坂裕介
第二章 友好国の王女と対決

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第十二話 二週目

 だが私は、キッパリとことわった。

「いえ。私はあなたと、付き合うつもりはありません。私はカイト様を、愛しているので」


 するとエカデは、ため息をついた。それを見て、私はホッとした。良かった。これでエカデもきっと、私のことをあきらめるだろう。だが、そうではなかった。エカデは何と、私にキスしてきた! な、なななな何を?! と私は動揺どうようしたが、ドキドキもした。このドキドキって一体いったい?……。


 と私が動揺しているのを見透みすかしたように、エカデは聞いてきた。

「エマ。お前は今、俺のことしか考えてないだろ? カイトのことなんか、考えてないだろ?」


 な、そ、そんなことは……。だが私は、「違う、そんなことはない」とは答えられなかった。エカデが言ったことは、図星ずぼしだったからだ。だから私が何も言えずにだまっていると、エカデはニヤリと笑った。

「ふっ、図星のようだな。それなら俺にも、まだチャンスがあるってことだな。俺とお前が付き合う、チャンスが」


 そしてエカデは、私からはなれた。

「まあ今回は、ここまでにしておいてやる。でも俺は、またお前に会いにくるぜ。その時はきっと、俺とお前は付き合いうことになるぜ。それじゃあな」


 とエカデはスタスタと、この屋敷やしきの出口に向かって歩き始めた。それを見届みとどけた私はへなへなと、廊下ろうかくずれ落ちた。な、何なのあの男? ホントに、何なの?! するとメイドが、心配そうに聞いてきた。

「だ、大丈夫だいじょうぶですかエマ様?!」


 本当は、大丈夫ではなかった。エカデという男があらわれたショックは、大きかった。でも私は、何とか立ち上がった。メイドに、聞きたいことがあったからだ。

「ええ、大丈夫。それよりも、聞きたいことがあるの。あのエカデという男は一体、何者なにもの?」


 するとメイドは、心配そうな表情をしながらも答えてくれた。

「は、はい。エカデ様は、この町で三番目に裕福ゆうふくな貴族のご子息しそくです。でもあまり、良いウワサは聞きません。何でも毎晩まいばんのようにパーティーに行って、女たちと遊んでいるようです……」


 なるほど。エカデは、遊び人か。そして実際じっさい、モテるのだろう。イケメンのエカデにあんな風に強気つよきせまられたら、ちる女も多いだろう。つまりエカデは、俺様系おれさまけいだな……。そこまで考えた私は、メイドに口止くちどめした。

「エカデのことを、教えてくれてありがとう。でも今、エカデがここにきたことはだれにも言わないでくれる? もちろん私が、キスされたことも」


 するとメイドは、真剣しんけんな表情でうなづいた。

「はい。おまかせください、エマ様」


 私はそれを確認すると、メイドに告げた。

「ありがとう。それじゃあ私は、自分の部屋でちょっと休むから」

 そして私は自分の部屋に入って、ベットに仰向あおむけになった。そして、考えた。何なの一体いったい?! 一体、何が起こっているの?! 私が乙女おとめゲーム『誰でもプリンセス』をプレイした時には、エカデなんていうキャラは出てこなかった。そしてこの世界にきて前回ぜんかいはシズと対決して勝ってカイト様と正式に婚約したが、やはりエカデなんていう人は現れなかった。


 でもさっき、エカデは確実に私の目の前に現れた。しかも私と、付き合おうとしている。どうなっているの、本当に?……。と考え続けていると、ある答えが出た。それは私がこの世界にきて、今が二週目だと言うことだ。『誰でもプリンセス』は貴族令嬢きぞくれいじょう友好国ゆうこうこくの王女、敵対国てきたいこくの王女、お城のメイドなどからキャラを選ぶことができる。


 でもキャラを変えて何度もゲームをクリアすると、選べるキャラがえると言う話を聞いたことがある。いわゆる、かくしキャラだ。それならゲームにも、隠しキャラが登場するのではないか? だから私がこの世界にきて二週目なので、隠しキャラのエカデが現れたのではないか? もちろんこの考えには、何の証拠しょうこもない。それこそ私がこの世界にくることになったきっかけの、自称じしょう守護女神しゅごめがみに聞かなければ分からないだろう。


 だがエカデが二週目に現れる隠しキャラという考えは、みょうにしっくりくる。説得力がある。エカデは私と、付き合いたがっている。つまり私とカイト様の婚約を、邪魔じゃましようとしている。つまりこの二週目をクリアするための難易度なんいどを上げるために、エカデが私の前に現れたという考えは妙にしっくりくるし説得力がある……。


 もしかしたらエカデと付き合うことになっても、そういうエンドになるのかも知れない。つまり二週目も、このゲームをクリアできるのかも知れない。でも私は、首を左右にった。いやだ。エカデと付き合ってこのゲームをクリアするのは、嫌だ。


 確かにエカデは、イケメンだ。それにカイト様にはない、男らしさもあるかも知れない。でも、それでも嫌だ。やっぱり私はカイト様と婚約して、このゲームをクリアしたい。うん、そうだ。やっぱり私は、そうしたい!


 と決心したはずの私だが、やはり私の心はらいでいた。エカデが持っている、カイト様にはない強引ごういんな男らしさに。ああ、なんて複雑ふくざつ乙女心おとめごころ! え? 三一歳でも乙女心がありますが何か? と私の心が揺らいでいると、ドアがノックされてメイドの声がした。

「エマ様。午前一〇時の、お茶の時間です。そして本日も、カイト様がお見えです」


 え? カ、カイト様が?! とエカデのことを考えていた私は、動揺した。

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