~夢の中の幸せ~
この話は~レイリア国の誕生~の前、合併の準備をしている時の話です。
「ねぇ、あそこ見て!綺麗な花咲いてる!」
「ほんとだ。あ、あっちにも!」
穏やかな日差しが降り注ぐ中、リィとレイルは川の横を歩いていた。
他愛ない話をする時間は、これ以上ないほど幸せで───
「・・・ちゃん!リィおねえちゃん!」
ゆっくりと瞼を持ち上げると、目の前にリュナの姿があった。
「夢、か・・・」
体を起こすリィのとなりに、レイルはいない。彼はテセウスの護衛でリーシア王国に行っている。二週間は帰って来れないといっていた。
ついに、合併の準備が大詰めを迎えるのだ。
「まだ一週間なのに・・・夢に見るほどとはね」
軽口で胸の寂寥感を誤魔化し、
「リュナ、今日はずいぶん早起きだね」
「?私はいつもどおりだよ?」
リュナがいつも通りということは───
「やばっ!遅れる!」
リィが寝坊したということだ。
慌てて支度し、朝食を詰め込んで靴をはく。
外に出て、空を見上げた。
「『思ひつつ寝ればや人の見えつらむ
夢と知りせば覚めざらましを』・・・」
ふと、故人の和歌を口ずさむ。
昔の人も自分と同じような夢を見て、同じようなことを思っていたのかと考えると、不思議な気がした。
「あ、いけない。もういかないと」
自分が遅れそうだということを思い出し、瞬間移動する前に声をかける。
「行ってきます!」
「遅刻ですよ、騎士長」
その直後、シュヴァリエの入り口でロートに言われ、しょんぼりするリィの姿が確認されたのだった。
『思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを』小野小町(古今和歌集)




