~レイルの短冊~
「騎士長、『七夕』って知ってますか?」
いつものように書類仕事をしていると、ロートが口を開いた。
「たなばた・・・聞いたことはあるけど、詳しくは知らない」
ロートの説明は長くて、しかも途中にヴェールの茶々が入る。分かりにくいことこの上ないので、要約すると・・・
天の川に隔てられた彦星と織姫が年に一度だけ会えるというもので、短冊に願い事を書いて笹に飾るらしい。
「へえ・・・」
「騎士長、ここはひとつ、『七夕パーティー』を・・・」
「ヴェールはお酒が飲みたいだけでしょ」
嬉々として提案するヴェールの言葉をばっさりきってから、
「・・・でも、いいかもね。───やろう、七夕パーティー」
七夕の日。
「「「乾杯!」」」
話を聞きつけてやってきたテセウスと騎士達はグラスを傾けていた。
リィはペンを持ち、何をかこうか悩む。
「・・・ねぇ、レイルは何て書いたの?」
「教えない。恥ずかしいから」
「む・・・」
皆さらさらと願い事を書いて笹の葉にかけていく。
迷いに迷った末、リィが書いたのは───
『皆とずっといられますように』
だった。笹に近づき、そっとかける。
ふと目に入った短冊があって───
「ふふっ」
思わず、笑みがこぼれた。
「何を笑って・・・って、これロートのじゃないか?えーと、なになに・・・」
「あっ、ちょっまて、ヴェール!」
「『早く結婚できますように』・・・だとさ」
騎士達が爆笑し、ロートが顔を赤くする。
ロートの短冊も面白いが、リィが笑ったのはそれが理由ではない。
他の短冊に隠れていた───レイルの短冊。
「『リィと寄り添いながら生きていけますように』なんて」
両目が熱い雫で満たされているのは、きっと笑いすぎたせいだ。
頭上を見る。満天の、星空を。
───リィは天の川を見上げ続けていた。
ありがとうございました。
皆さんは、短冊に何の願い事を書きますか…?




