表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流星と寄り添う夜  作者: 璃依
本編
PR
88/92

~二人で~

   1


「───あなたは、何ていう名前なの?」

幼い少女の声が、遠く聞こえる。


『名前など無い』

それに返す声は低く、冷たい。

少女はそんな相手の態度を気にすることもなく、

「なら、ボクが名前をつけてあげる!えっと・・・ヘレスなんて、どうかな?」

数秒の沈黙。少女が不安になり始めた頃、


『・・・悪くは、ない』


───これは、フォリアと魔獣(ヘレス)の、始まりの記憶。

全ての始まりの、記憶だった。



   2


「・・・フォリアが、魔獣と同化しているなら、どうやって止めるんですか・・・?」


ロートの質問に、ヴェールも頷く。


「そもそも、今までずっとフォリアは結界の中にいましたよね?それでどうして魔獣は消えなかったのでしょうか」


「多分・・・だけど、魔獣が完全に人間(フォリア)の一部になってて、外部からは影響受けないんじゃないかな」


リィの意見に、納得した様子の騎士達を見て、


「おそらく内部に陽の魔力を注げば、魔獣の意識は消える・・・と思う。ただ」


「「「ただ?」」」


リィはため息をつき、その先の言葉を押し出した。


「・・・圧倒的に魔力が足りない。問題はフォリアだけじゃないもの。───この戦いを終わらせる方法を考えないと。フォリアがいなくなれば、人々も引くなんて確証はないから」


人々の不満の主な要因は、不作だ。それを変えてやれば、きっと終わる。

不作が続くのは、土地に栄養が少ないからだ。だが、知識を得ることをしてきてないため、改善できない。

一番良いのは、一時的に陽魔法で土地に力を与え、その間に人々を学ばせるという方法。

これも、魔力が足りず、できない。陽魔法使いを集めても、広い土地全てに魔力を流すなんて不可能だ。


「むー・・・」


八方ふさがりな状況に唸っていると、ふっと周囲が闇に包まれた。

───あちこちから、空気を斬る音と悲鳴が聞こえてくる。

リィは騎士達の指先に小さな光を灯し、

「マズい、陰魔法だ。魔力が万全なら、闇を払えたかもしれないけど・・・」


空気を斬る音は、視界を遮られた人々がパニックを起こし、剣を滅茶苦茶に振り回すことによるものだろう。このままでは危険だ。───死傷者が多数出るかもしれない。

何者かが───いや、十中八九フォリアだろう。死者を出すことが、彼女の───魔獣の目的なのだから。


どうすればいい。この状況を打開し、戦いを終わらせるには。フォリアと同化した魔獣の思い通りにさせないためには───


「あ」


一つのアイデアが浮かび、リィは可能性を考える。

これなら、行けるかもしれない。


「ねぇ、レイル」

「どうした?」


「───信じて、私に全てを預けてくれる?」


「もちろん。どんなときも、リィと寄り添うって言っただろ?」


躊躇いの全くない言葉に、リィは微笑む。

そして、レイルの耳にアイデアを囁いた。

レイルは驚き、しばらく黙考したが───


「やろう、リィ。二人で」


暗闇の中、レイルはリィの前に立つ。ゆっくり、後ろに倒れ、体重を預けて───


───二人のいる場所を中心にして、膨大な量の光が弾けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ