~テセウス~
1
───ずっと、探していた。
自分だけのものを。
自分しか、得られないものを。
探し、探して、探し続けて。
テセウスは、『流星』に出会った。
2
テセウスはフリーデン王国の第五王子である。
しかし、父である国王はまだ三十代後半。おまけに兄は四人もいる。そんな彼が、周りから早々に王位継承の可能性を見切られたのは当然なのかもしれない。テセウスは周りが自分の相手をしないのは何故だろうと考えた。面白いことをして、興味を持ってもらえれば、もっと自分を気にかけてくれるかもしれない。だが、彼の行動ははしたないと言われるだけだった。
やがて、テセウスは気付く。
自分は王になることはないのだと。
王という特別なものを得られず、見向きもされないなら。自分だけのものを見つければ。
それから、テセウスは『自分だけのもの』を探し始めた。
「何処かに・・・あるはずだ・・・‼」
探し続ける日々の果てに。
『リィと、申します』
やっと、見つけたのだ。
彼女だけは、自分のものであってほしい。
そうあってくれると、信じていた。
『リィは、誰のものでもありません。彼女は、彼女のものです』
『私は、殿下のものになった覚えは、ありませんから』
衝撃がはしった。
自分は何をしていたのだろう。
他人を自分のものとするなど、おこがましい。
なにが自分だけのものだ。自分だけのものなどすでに持っている。自分は、自分だけのものだ。王子というのも、誰もが持っているわけではない。
「余は・・・そなたに、己の想いを押し付けていた。───すまぬ」
自分で自分が馬鹿みたいでも、彼女を自分だけのものにしたいという気持ちは、本物だから。
「・・・リィを・・・不幸にしたら許さぬぞ」
「は。もちろんです、殿下」
返事に、躊躇いが欠片もなくて。
リィの笑顔が美しかったから。
大丈夫だと、これでいいと、そう思えた。
3
探し、探して、探し続けて。
出会った『流星』は別のひとを見ていたけど。
大切なことを、見つけた。




