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流星と寄り添う夜  作者: 璃依
本編
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~『流星』への願い~



夕飯を食べ、片付けを終えたリィは洗面所へ向かった。

タオルを棚から取り出して、浴室の扉を開ける。ワンピースを脱ぎ、洗濯籠に放り込んでいると、とてとてという足音が聞こえてきた。ルアだ。ルアはしっぽをゆらゆらと揺らしながら近付いてきて、リィの素足に頭をこすりつけた。ちょうど良い。この機会に───

「ふみゃっ⁉」

ルアを抱き上げて浴室に入る。じたばたするルアを桶の中に入れた。ピシッと固まっているルアを放置して、まずリィ自身が体を洗い、長い金髪を結い上げてから、ルアの顔にかけないよう桶にお湯を注いだ。そのまま石けんでごしごし洗う。

数分後、濡れ鼠ならぬ濡れ猫になってひとまわり小さくなったルアがしょぼんとしていた。

軽く水気をとってやり、リィは湯船につかる。ぴょんと湯船の縁に飛び乗り、お湯に顔を近付けるルアをはらはらしながら見ていると───


つるん。

ルアの足が宙を掻き、お湯の中へと落下した。泳げずずぶずぶと沈んでいくルアを慌ててすくい上げる。

「うみゃ・・・」

乾きかけた毛は再び水にぬれて体に張り付いている。耳をぺたりと寝かせたルアは体を震わせ、水をはじき飛ばした。


ルアとのお風呂を存分に楽しみ、リィは浴室から出た。タオルで髪の毛から水滴が落ちないくらいまで水気をとって、寝間着に着替える。普段ならこのまま二階の自室に行くのだが、今日はびしょ濡れのルアをタオルでくるみ、リビングへ向かう。

「どうかし・・・って、ルア洗ったのか?」

「うん。『風』お願い」

レイルの風魔法とリィの陽魔法であっという間に毛は乾き、ふわっふわのルアが出来上がっていた。

「ルア、せっけんのにおいする」

ルアに顔をうずめたリュナが気持ちよさそうに呟く。

リュナとルアを微笑みながら眺めていたリィは、レイルが自分の金髪をじっと見つめているのに気付いた。

「───?レイル?」

「い、いや、何でもない」

しっとりと濡れた金髪から目をそらし、レイルがほんの少し頬を赤くした。その反応の理由が分からずリィは首を傾げる。自分の格好におかしいところはないはずだ。ゆったりしたネグリジェの胸元は大きくV字に開いており、少々心もとなくはあるが。

「よくわからないけど、上にいってるね」

「あ、ああ」

自室に入り、カーテンを閉めようと窓に近づいた。ふと考えて、夜空を見上げる。暗さに目が慣れると、小さな輝きが見分けられるようになってきた。窓ごしに空に手を伸ばしかけ、おろした。

ふいに、星々の海に白い光の線が走った。

流星は一瞬で燃え尽きて消えてしまったが、目を閉じて願う。

他人の過去にとらわれてきたエイスも。

後悔を抱えてきたロートも。

傷つけること、傷つけられることに怯えてきたヴェールも。

自分だけのものを探し続けてきたテセウスも。

どんな道を選ぼうとも、覚悟をもって歩もうと決めたサクリも。

暗闇に閉じ込められてきたリュナも。

孤独感に苛まれてきたレイルも。

守れなかったことを悔やみ、次へ繋げようとしたリピアも。

───誰もが、自分らしく生きていけるように。

リィは、『流星』に願ったのだった。

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