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流星と寄り添う夜  作者: 璃依
本編
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55/92

~模擬戦と猫と盤上遊戯と~

   1


「あの、騎士長。ボクと模擬戦をしてくれませんか?」

剣の手入れをしていたリィは顔をあげると、

「模擬戦?いいけど。・・・模擬戦用の剣でやる?それとも・・・」

「───真剣で、お願いします」



数分後、訓練場で向かい合ったリィとフォリアは剣を鞘に入れたままで向かい合っていた。そのまわりを、距離をあけて騎士達が囲んでいる。

二人は声をかけることなく同時に剣を抜いた。

リィの細剣(レイピア)と、フォリアの両手剣(ツーハンデッドソード)の切っ先がぴたりと動かなくなり───

戦闘を開始した。

フォリアの斬撃をレイピアで受ける。あまりの衝撃に手が痺れた。

重い。そして、とてつもなく速い。

だが。

まだ、負けるわけにはいかない。

リィは目にもとまらぬ速さで剣を突き出した。

銀閃の軌跡を描き、二人の剣が激突する。火花がはじけ、互いの隙を狙って剣を繰り出す。

彼女は強い。重い両手剣を体の一部のように操り、滑らかな身のこなしでリィの剣を避け、攻撃してくる。

フォリアの髪の毛から、汗の雫が落ちる。対するリィは平然としていた。

強いが、まだリィには追いつかない。

フォリアが目を見開いた。レイピアの軌道がそれて、首へ迫り───


「・・・負けました」

フォリアが敗北を認めたので、リィは剣を引き、鞘に落とし込んだ。

「強くなったわね、フォリア」

嫌味でもなんでもなく、本心から言うと、フォリアの顔が綻んだ。



   2


訓練場から控室に戻り、お昼ご飯を食べるためにカバンをあけると───

「・・・ねぇ、レイル」

「どうした?・・・忘れてきた?」

「ううん。ちゃんとある。・・・ていうか、いるはずないのが一匹」

「一匹って・・・まさか」

ぴょんと飛び出したルアがリィの肩に乗った。

「みゃあ!」

「・・・いやそんな、自慢げに鳴かれましても・・・え」

いつの間にか、リィのまわりに騎士達が集まっていて。

「「「可愛すぎる──────!」」」

簡潔に言おう。騎士達は、大の猫好きでした・・・。

その後、ルアはもみくちゃにされ、「ふみゃああ・・・」と鳴きながらリィの腕の中に逃げこんできた。ぷるぷる震えているルアを優しく撫でて宥めてから、

「加減をしろ、加減を!」

と怒鳴るあたり、リィも相当な猫好きなのだった。



   3


仕事が終わった夕方、控室はかつてない静けさに包まれていた。

ロートと膝にルアをのせたリィがオセロの勝負をしているのだ。ロートはリィに四隅の確定石を取られ、必死に考えている。だが、不利は覆せず負けてしまった。

「騎士長、四勝!強すぎる・・・」

時間の許す限りオセロ勝負は続き、最終的にリィは三十人全員に勝った。常に最善手を打ち、相手の好手を潰してくる戦術には誰も勝てなかったのだった。

何だか今日一日でいろんな事をやった。明日はもっとゆっくり過ごしたいと───

「明日はチェスをやりましょう!」

───どうやら、この願いは叶えられそうにない。

膝の上で眠っているルアを鞄の中にそっと入れ、揺らさぬよう気をつけて背負う。

リィはまだ僅かに夕日のオレンジ色がのこる空を見上げ、部屋を出ていった。

書き溜めが底をついたので、明日からは少しずつ更新していきます。毎日更新できるよう頑張るので、今後ともよろしくお願いいたします。

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