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流星と寄り添う夜  作者: 璃依
本編
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52/92

~騎士達の訓練~

   1


模擬戦用の、刃を潰した剣同士が甲高い音を立てた。

リィとロートは立ち位置を入れ替えながら、互いの剣を弾き、相手の体に届かせようと剣舞を舞う。

やがて、その動きに乱れが生じ───

「勝負あり、ね」

リィは剣をロートの首に突き付けていた。

二人は剣を鞘におさめると、一礼した。それから、

「ロートも大分ついてこられるようになったわね」

「いや、まだまだです」

ロートは荒い呼吸をしながら言った。対するリィは汗ひとつ掻いていない。

「ほら」

ロートにタオルと水筒を投げ渡すと、

「イリスも帰っちゃったし、これからは昼間の練習でもいいかも」

虹の魔法を使いこなせるようになったイリスは少し前にリーシア王国へと戻っていた。

「そろそろ、皆にも剣を教えるか」

ふふふと悪そうな顔で笑うリィに引きつった表情のロート。

「ロートは覚えが速かったから楽だったけど・・・」

「ありがとうございます」

「ん。じゃあ明日からやるよ。皆に言っておいて」



   2


次の日。

早く来て皆にその旨を伝えると、反応は薄かった。

「「「まあ大丈夫だろ」」」

楽観視している騎士達に、

「お前らは分かってない・・・分かってないだけだ・・・」

「それは大袈裟すぎないか?」

首をひねるヴェール。

「・・・体験すれば分かるさ・・・」



数十分後。

「・・・ロート」

「なんだよ」

「・・・お前の話、信じなくて悪かった・・・」

訓練場に立っているのは、リィとレイル、そしてロートだけだった。残りは地面に寝転がっていた。騎士達は「地獄か・・・」「嫌だ・・・やりたくない・・・」などと虚ろな表情で呟いている。

「・・・でも、何でお前は平気なんだ・・・?この訓練が辛いって知ってたのもそうだが・・・」

「言ってなかったっけ」

会話に入ってきたのはリィ。

「ロートは一カ月くらい前から今の訓練をやってるの。自発的に剣を教えてくれって」

「は・・・」

「ロートはあなたたちが帰宅したあともここで頑張ってたのよ。あなたたちが帰宅したあとも」

リィはトドメの一言を口にする。

「どんなに苦しくても、彼は『もうやめたい』とは言わなかったわね」

空気が、凍りついた。

騎士達が、ゆっくりと立ち上がる。

「「「ロートに出来て、俺たちにできないはずはない!」」」

リィの煽りにのせられた皆。リィはにこりと笑うと、

「あと十周!頑張れ!」

一瞬で騎士達の顔が死んだ。

・・・騎士長、目が全然笑ってません。

ロートはため息をつくのを堪え、再び走り出した。

───お昼の時間になり、リィが手を叩くまで訓練は続いたのだった。

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