~もう一つの『月』との出会い~
1
リィもレイルもいない昼下がり、リュナは窓から空をながめていた。
「───」
「?」
なにか今、声がしたような。
「みゃう」
やはり、気のせいではない。リュナは急いで窓から離れると、外へ飛び出した。
たしか鳴き声は、ここから聞こえたはず───
茂みの下に、小さな子猫が丸まって鳴いていた。薄汚れた子猫に手を差し出すと、子猫はすりよってくる。気がつくと、リュナは子猫を抱き上げていた。
家の中に入り、風呂場へ連れて行く。子猫は嫌がったが、無理矢理洗う。泡を流し、タオルで水気をふき取った。
「わぁっ・・・!」
汚れを落として綺麗になった毛並みはクリーム色だった。
「リュナのかみと、いっしょ・・・」
子猫を抱き上げて鏡を見ると、色合いが全く同じだ。子猫のまんまるい黄色の瞳を見ながらリュナは言った。
「えっとね・・・ルア!あなたのおなまえは、ルアだよ!」
ルアは分かったのか「みゃ」と鳴いた。
2
リュナはリィ達が帰ってくるのを待っていた。横でルアはぴちゃぴちゃと小皿に注いだミルクをなめている。
最近リィはどこか思い詰めた表情をしているから、何て言うか───
玄関のドアが開く音がした。ついで、「ただいま」という疲れたような声。リュナはミルクをなめ終わったルアを抱え、玄関に走った。
「おかえりなさい!」
靴をぬいだリィとレイルがこちらを振り返って・・・
「「え」」
固まった。
ルアは呑気に欠伸している。
「ど、どうしたのその子・・・」
「にわにいたの!」
ルアを拾った経緯を説明すると、
「もう拾っちゃったしね。お世話はリュナ、ちゃんとできる?」
「うん!」
「名前はもう決めたの?」
と聞くリィに、
「ルアにきめたよ!」
「ルア・・・『月』ね。リュナとルア、そっくりだし」
リィがおそるおそる手を出す。ルアはリィの手に鼻を近づけ、それから頭をこすりつけた。
「あ・・・」
ふわふわの毛を触り、リィの表情が緩む。
レイルも同じように手を近付けたが・・・
「何で僕だけ撫でさせてくれないんだ・・・」
手からふいっと顔をそらしたルアを見てレイルがうなだれる。その様子を見て、リィが笑った。
───ずっと暗い表情だったリィがようやく笑ってくれた。それだけで嬉しくなる。
「・・・ありがとう、ルア」
リュナは新たな家族にお礼を囁いたのだった。




