第三章『流星と寄り添う夜』
1
「結界は、ただ古くなって破れただけらしいね」
「再展開はできそう?」
「大丈夫。結界石が届きしだいだって。それと、こんな本が見つかったんだけど読めないんだ」
そう言ってさしだしてきたのは一冊の本。
レイルは読めないと言ったが、リィは読むことができた。
『この国は魔獣等から身を守る手段を持たない。そう遠くないうちに、結界は古くなり破れるだろう。そうなったときのために、私は自分の記憶を結晶化させておく。───いつか、私の生まれ変わりとなる者が、手にとるように。───リピア』
最後にはリピアと記されていた。
書いた記憶はない。つまり、結晶を作ったあとにこれを書いたのだろう。
「・・・読めたかい?」
「・・・ううん、全然」
私は笑顔でそう答えた。
2
二人は、草原に座り、空を眺めていた。
「僕の名前は、異国の言葉で『夜』って意味なんだ」
「そうなんだ。・・・レイルの目は、濃い青で夜空みたいだね」
辺りはもう真っ暗になり、満天の星空が広がっている。
「「あ」」
二人同時に声をあげた。
「流れ星!」
「流れ星、初めて見た!」
「リィも?」
レイルに頷いて、再度空を見上げる。
「・・・いや、僕は前に見たことあったな」
「いつ?どこで?」
「君と、初めて会ったとき、その場所で」
どちらともなく顔が近付き、唇がふれあった。
───静かな草原で、流星と夜は寄り添っていた。




