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流星と寄り添う夜  作者: 璃依
本編
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35/92

~What am i to you?~

   1


リィは寝台の上で体を起こした。

「・・・痛っ」

サクリの治癒魔法のおかげで傷はくっついたが、引きつるような痛みはまだ残っている。

多量の血を失った体は重いが、動けないほどでもない。

立ち上がり、部屋の隅に洗って干してあったワンピースに着替える。脇に立て掛けてあった剣を剣帯に差し込む。

部屋を出、騎士控室に向かう。歩く速さはいつもより遅く、廊下が長く感じた。

ようやく控室にたどり着くと、騎士達全員の視線がむけられた。


「何でこんなとこまできてるんですか!」

「何でって・・・仕事」

「騎士長昨日大怪我したんですよ⁉今日ぐらいは休んでください!」

「あれは、私がそうしろって・・・皆にこれ以上、迷惑かけられないし・・・」

「そんな様子で仕事されるほうが困る‼」

リィの後ろのドアが開いた。

「───やっぱりここにいた」

「・・・レイル」

「何でここにいるんだ?休んでないと」

レイルはため息をつくと、リィに飲み物を渡した。

「今医務室に行ったんだけど、誰もいないから」

喉が渇いていたのだろう、黄色がかった飲み物をリィは一気に飲み干した。

そのまま───ふらりと上体がゆれる。レイルが支えると、リィは目をとじていた。───眠っている。

「睡眠薬でも、入れたんですか?」

「いいや。林檎の発泡酒だよ。リィはお酒に弱いから」

騎士達はなるほどと頷く。レイルはリィを抱え上げると、部屋を出て行った。

「いいな・・・騎士長・・・お姫様抱っこされてる・・・」

「馬鹿野郎、お前は男だろうが!されてどうする!」

ロートの突っ込みが入った。そして、独り身の騎士達は揃ってため息をついた。



   2


「ん・・・」

瞼を持ち上げ、何度も瞬きする。

顔を横に傾けると、レイルの顔が見えた。

「レ、イル・・・」


「っ・・・!今、何時・・・?」

「午後四時」

「四時・・・行かなきゃ」

「本調子じゃないだろう。まだ休んでいて」

「・・・私が勝手にやったことで、休むなんて・・・」


「少しは・・・少しは、僕達のことも頼ってくれよ‼」

「───」

「何もかも、自分でやるんじゃなくて、もっと頼ってくれよ‼」

「皆に、迷惑かけるわけには・・・」

「───リィにとって、僕達は何なんだ?」


「迷惑をかけたくないからって、そんなに僕達は頼りないのか?」

「そんな、こと・・・」

「皆に頼って、頼られて・・・どうにか良い方にしていこうっていうのが、仲間なんじゃないのか⁉」

激情に顔を歪め、レイルはなおも叫んだ。


「頼ることを迷惑だって思って、頼らないなら・・・リィにとって、僕達は・・・僕は、何なんだよ‼」

「答えて・・・答えてくれよ・・・‼」

肩を震わせ、レイルは声を絞り出すようにして言った。その言葉は情けないくらいに揺れていた。



部屋の外で、様子を見に来たロートとヴェールが聞いていた。レイルの声が嗚咽に変わり、ドアから耳を離す。そのまま控室に戻るために歩き始める。

「───騎士長は、自分で答えに辿り着く。それまで、俺達はあの二人を支えようぜ」

「ああ、そうだな」

ロートに答え、ヴェールは空を見上げる。

沈む夕日が金色に輝いていた。

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