~DEJAVU...?~
1
雲一つない晴れた日。リィは窓から顔を出し、景色を眺めていた。ちょっと前、こうやって外を眺めていたらレイルが上から降ってきて───
「───?」
何か聞こえた気がするが、恐らく気のせいだろう。涼しい風が気持ちよくて、だんだん眠くなってくる。そのまま心地よい微睡みの中に誘われ───
「ゎぁぁぁぁああああああ‼」
一気に目が覚めた。直後、凄まじい振動が伝わってくる。下をのぞき込むと、地面に人型の穴が穿たれていた。
「なんかこの光景、前に見たよね・・・」
2
「で?今度は何をしようとしてたの?」
額に見事なたんこぶを拵えたレイルに水で冷やしたタオルを渡しながらリィは言った。
顔をしかめながら額を冷やすレイルは、
「瞬間移動」
と一言だけ口にする。
「へえー、瞬間移動・・・」
「属性の魔法じゃなくて、イメージ力を使って瞬間移動できないかなって」
暫く無言で考えていたリィは顔をあげると、
「面白そうじゃない。やってみよう」
「なんかこの言葉、前に聞いたよな・・・」
3
「でも、大丈夫なのか?僕も移動の途中で落ちたし」
「私、イメージには自信があるの」
確かに、先日の魔法戦ではレイルはリィに負けた。リィの魔法の上手さは折り紙付きだ。
「レイルは部屋で待ってて。私は外に行ってるから」
窓の外を見る。庭で目を瞑るリィの姿が、揺らぎ、消えた。次の瞬間、背後に気配を感じ、振り返る。そこには───先程まで確かに外にいたリィの姿があった。
「嘘だろ・・・」
一発で成功させてしまう実力に戦慄する。
そんなレイルを見てリィは、
「ドヤ」
自慢げな顔で言った。
「いやそれ、ドヤっていうレベルじゃないから・・・」
4
実験を重ねた結果から分かったのは、瞬間移動術は魔力の消費は少ないが、維持が非常に大変だということ、瞬間移動する場所は一度行っていて、鮮明に思い出せないといけないことなどだ。類い希なるイメージ力と集中力、記憶力がないと成功しない。レイルも消えることは出来るのだが、移動の最中に想像力に乱れが生じ、何度落下したか分からない。もう全身すり傷だらけだ。
リィと手をつなげば瞬間移動も可能なのだが、女性の力に頼るのは男としてどうなのか、と思わざるを得ない。
レイルの気持ちはともかく、飛行術で表彰されてから一カ月とたたずに再び表彰されることになった二人だった。
「なぁ、聞いたか?今度は騎士長が瞬間移動したんだと」
「ああ、聞いた。なんかもう次元が違うよな・・・」
ロートとヴェールが話していた。
「さすがリピアの生まれ変わり・・・発想が凄い」
「思いついたのは副騎士長らしいが」
「そうなのか?・・・おいヴェール、そのあたりのこと直接聞いてみよう」
───その後、リィとレイルが質問攻めにされたのは言うまでもないことだろう。
・・・どこかで聞いたような話だ。
真っ白な雲が風に吹かれて流れていった。




