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流星と寄り添う夜  作者: 璃依
本編
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28/92

~戦う理由~



「リィ、事態の収束、ご苦労だった」

「もったいなきお言葉」

「そなたらには苦労をかけるな」

「いえ、これが騎士の務めですので」

微笑んで答え、リィはその場から退出した。


国王陛下に謁見した帰り、リィはテセウスの居室をたずねた。

テセウスには「いつでもたずねてきて良い!」と言われていたが、いちおう第五王子だ。最低限の礼儀は守らねばならない。

「テセウス殿下、リィです。入ってもよろしいでしょうか?」

ノックをし、声をかけるとドアが内側から開いた。

「リィ、よくきたな!」


ソファーに向かい合って座ると、侍女が紅茶を入れて持ってきた。テセウスが一度外に出るように言うと、部屋の中は二人きりになった。

「先日の魔獣の件、リィが活躍したと聞いたぞ」

「活躍なんて。一番頑張ってくれてたのは騎士と衛兵達よ」

肩をすくめると、テセウスの目が見開かれた。あわてて服の襟をなおすが、もう遅い。服がずれ、肩の包帯が見えてしまった。

「・・・その傷」

魔法で治療もできるのだが、負傷者が多く、リィの魔力はあとわずかだ。サクリからもらうのも非常時以外は避けたい。そのため、リィは肩の傷をそのままにしていた。

わざと明るく声を出す。

「ああ、これ、治りかけてるの。痛みもないし───」

言葉が途切れたのは、テセウスが急に顔を近付けたからだ。

「───嘘であろう?」 

テセウスの瞳から逃れることができずに、リィは頷いた。テセウスはため息をつき、ソファーに座り直した。

暫し、沈黙が落ちる。

先に口を開いたのはテセウスだった。

「リィ・・・すまない」

突然の謝罪に驚くリィを見て、

「いつも危ない戦いをさせているのは、王子である余にも責任がある。・・・そなたらに命をかけさせておいて、余は安全な王城にいるのだ。それで、もし・・・もしリィが」

「テセウス」

テセウスの言葉を遮った。他に人がいれば不敬ととられかねない態度だが、気にせず言う。


「私は、もう死ぬために戦ってないよ」

テセウスがはっと顔をあげる。

「今までは違った。でも、これからは」


「守りたい人を守って、その人の隣にいるために戦うの」

「───」

「皆が笑顔でいるために、笑顔をそばでみるために戦うの」


「私は死なない。死にたくない。だから───大丈夫」



「そなたは───強いな」

リィは瞬きをしてから言った。

「強くなんかないよ。このことに気付けたのも、テセウスの言葉があったからだもん」

二人は顔を見合わせ、微笑む。

窓の外で、星がきらりと光った。

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