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流星と寄り添う夜  作者: 璃依
本編
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26/92

~見たことのない景色~

   1


晴れた日の午後。リィは部屋の窓を開け、外を眺めていた。不意に、風を切る音が聞こえ、何かが上にのぼっていくのが見えた。視線を空に向け、何だったのだろうと探すが太陽の光が眩しすぎて何も見えない。聞こえるのは風の音のみ───

いや。

風の音に混ざって、何か聞こえる。


「ゎぁぁぁぁああああああ‼」

それはもの凄い悲鳴を上げ、一直線に落ちていき───


びたん。

地面に人型の穴ができた。



   2


「なにやってるのもう・・・」

地面にめり込んだレイルを救出し、今はリビングで擦りむいた傷口に消毒液をビシャビシャかけている。

リィの陽魔法では治せるのだが、余程の大怪我でなければ使わないようにしている。治癒魔法は結構魔力を使うのだ。

思い切りかけた消毒液がしみたらしく、レイルは恨めしそうな視線を向けてきた。そういうときは年齢に見合わない子供っぽさが見られる。と思ってから、レイルは十歳までの記憶がないため精神年齢は八歳だと気付く。そう考えると、随分と大人びている。あくまで精神年齢であって、見た目は普通の十八歳なのだが。

とは言え、精神年齢と見た目があっていないのはリィとて同じだ。リピアとしての一番古い記憶が確か七十三歳だったので、今の精神年齢は九十歳だ。八歳と九十歳の夫婦、そこだけ切り取ると頭がおかしいとしか思えない。しかし現実にレイルとリィは夫婦であり、周りから見れば一つ違いだ。

などと考えているうち、いつの間にか手当ては終わっていた。

「で?なんで空から降ってきたの?」


レイルは風魔法で空を飛べないか試していたらしい。実際、宙に浮くことはできた。だが、つい景色に見とれてしまい、集中が途切れ、今に至る───というわけだ。



「空を、飛ぶ・・・か」




「面白そうじゃない、それ」



翌日。庭で手を繋いだ二人は、レイルの風魔法で浮き上がった。同時にリィの陽魔法が二人の体を包み込む。

あっという間に屋根をこえるが、風圧を全く感じない。リィの作った膜が守っているのだ。

ある一点で、レイルは上昇を止めたが、落ちることはない。シャボン玉のように宙を漂い続ける。

「わぁ・・・」

今まで見たことない景色。

人が、建物が、川が、とても小さく見えた。

永遠に見ていたかったが、そうもいかない。リィの魔力がなくなる前に地上に降りなければならないのだ。レイルは真上から風を当てた。ふわりと下降をはじめる。小さかった国がどんどん大きくなってゆく。地面が近付いてきて、二人は無事に地上に降りた。


───こうして、二人は世界で初めて空を飛んだのだった。

「なぁ、聞いたか?騎士長と副騎士長が空飛んだんだと」

「ああ、聞いた。やっぱとんでもねぇよなあの二人」

ロートとヴェールが話していた。

「何でも、王城で表彰されたらしいぞ」

「表彰?凄いな。・・・おいロート、早く行って本人達に聞いてみよう」




───その後、リィとレイルが質問攻めにされたのは言うまでもないことだろう。

雲一つない青空がどこまでも広がっていた。

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