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流星と寄り添う夜  作者: 璃依
本編
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24/92

~新婚旅行~

   1


 塩を含んだ風が、頬をなでる。

正面には、どこまでも続きそうな青い海。波の下には白い砂が透けて見える。

───リィとレイルは、新婚旅行の真っ最中だった。



   2


「見て、レイル!綺麗な貝殻があったよ!」

そう言って差し出すのは淡いピンクを帯びた貝殻。とても脆く、形状が整っているものは少なかった。

「本当だ、綺麗だね。・・・僕も、こんなものを見つけたよ」

「これ、巻き貝?すごい・・・」

波打ち際を子供のように駆け回り、貝を見つけては声をあげる。

───騎士として名高い二人は、一応まだ十代なのだ。はしゃぐのも仕方ない。


他に誰もいない海を思い切り満喫し、二人は砂浜に腰を下ろした。

海の向こうに夕日が沈もうとしており、穏やかなオレンジ色の光が波にうつっている。

「うわぁ・・・」

リィの金色の髪もオレンジに染まっていて、普段よりもさらに美しい。

やげて夕日も完全に沈み、薄暗い闇が近づいてくる。

「何か・・・ずっとここにこうしてたいな・・・」

「楽しかった。・・・あっ」

波を見ていたリィが、突然立ち上がった。そして、布に丁寧に包んだ貝殻のうち二つをとると、海に近づいていく。

「リィ?何を・・・」

「そばにきて、見てて」

言うとおりにして、リィの手元をのぞきこむ。

リィは左手に貝殻をのせると、その手をゆっくりと水に浸した。水のなかで、僅かに貝殻がゆれる。次いで、右手を左手に重ねた。一瞬金色の光が手の隙間から溢れ、消えた。

水の中から手を出し、左手をどかす。そこにあったのは・・・


海の青を閉じ込めたかのような、美しいクリスタル。

顔を近づけ、よくよくみると、結晶の中に貝殻があるのが見えた。

「こうすれば、いつでもここにいるように思えるでしょ?」

「ああ・・・そうだな。ありがとう、リィ」

「どういたしまして」

リィは簡単に行うが、結晶化は易々とできることではない。陽属性を持ち、なおかつ極度の集中力、イメージ力がないと難しい。そのうえ美しい形をたもつなど。

表面上は笑顔だったが、内心では驚愕していた。

「さすが、自分の記憶を結晶化する人は違うな・・・」

「?何か言った?」

リィが首を傾げてきいてくる。

「い、いや、なんでもない。・・・うん、なんでもない」

後半は口の中だけで呟いた。

リィはしばらく不思議そうな顔をしていたが、手をたたくと言った。

「そろそろ、宿に行こう。私、お腹すいちゃった」

「僕も。・・・また、来よう」



「ねぇ、レイル。・・・宿、どこだっけ?」

「さ、さあ・・・」

見知らぬ地で迷子になり、あたふたする騎士二人なのだった。

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