~国旗~
1
魔力も復活し、動けるようになった。だが、レイルが安静にしろと言って聞かないので、仕方なく刺繍をはじめた。ひたすら縫う。
「でーきた!」
糸切りばさみで玉どめのすぐ上をぱちんと切る。出来上がったのは──紺色のハンカチだ。
刺繍は流れ星と二つの星が縫われている。
「レイルは何て言うかな・・・」
2
「これだっ!」
リィ作ハンカチを見たレイルの第一声はそれだった。
少し不満げなリィにレイルは叫ぶ。
「これを───レイリア国の、国旗のデザインにしよう!」
えええええっ、と心の中で絶叫した。
何でも、レイルはテセウスにデザインを考えろと言われていたらしい。
「えぇ、でも、ねぇ・・・」
テセウスがいいと言うのか。
「それについては問題ない」
「───」
「テセウス殿下が、リィのデザインを嫌だと言うはずがないから」
・・・妙に説得力があった。
そして、その予想が当たったのは、言うまでもないだろう。
レイルにあげるつもりだったハンカチは、初期デザインとして、王城で厳重に保管された。
───端的に言って、面白くない。
なので同じ布地に今度は大きく刺繍して、クッションをつくった。
「はい、レイル。プレゼント」
レイルが、滅多に見せない満面の笑みでクッションを受け取ってくれたので、許そう。
しかし・・・ハンカチを結晶と同じように保管って・・・大丈夫なのかな、この国。




