~お花見をする、そんな日~
1
「レイル!お花見にいこう!」
「お花見?」
「桜が綺麗な場所があるの‼」
リィの目が輝いている。頷くと、彼女は満面の笑みを浮かべた。
「なら、お弁当を作らないとだな」
それを聞いたリィは、ふふっ、と笑った。その反応に首をひねると、
「じゃーん‼」
リィの手の上には、弁当箱が二つ、のっていた。
「・・・準備万端、だな・・・」
2
リィの言うとおり、桜は綺麗だった。風が吹くたび、薄桃色の花びらがひらひらと舞う。地面にはまだ枝のついた綺麗な桜の花が落ちていた。それを拾うと軽く砂を払い、リィの髪にさす。金色の髪と桜の花は良く合い、とても眩しく見えた。
二人で桜を眺めながら、弁当を食べる。
「料理上達したね」
「ありがとう。・・・レイルの教え方が上手いからだよ」
林檎の発泡酒が売られていたので、二人分買う。この国では十七歳以上の飲酒が許可されているから、二人とも飲むことが出来る。
ただ、法律で許可されているのと、苦手なのは別の問題だ。
リィは、今まで酒を飲んだことがなかった。
そして、強くはなかった。というより、弱い。
リィはレイルに寄りかかると、そのまま眠ってしまった。レイルは苦笑すると、林檎酒を飲み干し、リィを揺らした。だが、むにゃむにゃ言うだけで全く起きない。仕方なく、彼女を桜の木に寄りかからせ、手早く敷物をまとめ、弁当箱も鞄にしまい、背負った。
相変わらず眠っているリィをどう連れて帰るか少し悩む。最終的にリィの背中と足に手を回し持ち上げる。『お姫様抱っこ』と呼ばれるアレだ。
リィとレイルの様子に周囲が囃し立てるが気にせず歩き、家に帰った。
寝室のドアを開ける。寝台の布団をまくり上げ、リィを寝かせた。寝かせるときに桜の花に目をとめ、優しく髪から引き抜いた。静かにドアを閉める。リビングに戻り、適当な花瓶を探して水をはり、桜の枝を入れる。レイルは使えないが、リィは陽魔法を使えるので、暫くはもつだろう。
美しい花びらを指先で撫でる。
───来年も、また二人で見に行きたい。
レイルのそんな願いはすぐに叶ってしまうのだが、それはまた別のお話。




