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怪 談   作者: 冬月 真人
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【ドライブレコーダー・前編】


今やドライブレコーダーは大抵の運送会社が採用している。

名目は事故やヒヤリ・ハットの記録と言うが、それにしては要らない機能も多くて目的が運転手の監視ではないかと勘ぐりたくもなる。

少し前まではある程度のGや衝撃が加わった時に、その前後数十秒を録画するものだった。

それが今では車外はもちろん車内の録画、そして音声の記録を24時間行おこなっている。

個人的な電話まで聞かれているのだからこれはまるで盗聴の類いだ。

これを不快に思う透は故意にドライブレコーダーに言葉を録音させる。


「どうせ後で聞いてんだろ。だったらよく聞いとけよ。何時間働かせる気で配車組んでんだよ?そろそろ出るとこ出るか?それとも脱輪させて運輸局に報告書を提出させるか?大概にせんと潰すぞ!」


……こういった類いの文句を吹き込むと、暫くは優良企業のような仕事のスケジュールを組んでくれる。

間違い無く事務所の連中はドライブレコーダーを盗聴器の代わりにしている。


そんなドライブレコーダーだが楽しいこともある。

運転中に見掛けた光景を後から再確認出来る。

道路を横断するヒグマや、幻の白い鹿。

幽霊のようにゆらりと現れた白フクロウ。

レクサスのLFAを映した時にはドライバーの多くが映像を見に来たりした。





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