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怪 談   作者: 冬月 真人
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【閉じ込めました・後編】



「きっと憑かれてるんだよ」

そんな近況を語った同僚は力無く笑った。

「………」

「じゃ」

押し黙った透に挨拶をして立ち去ろうとする同僚の背中を呼び止めた。

「ちょっと待って!」

その言葉に振り向いた同僚が、一瞬土気色した遺体に見えた。

思わず息を呑んだ透だが自分が思いついた事を尋ねてみた。

それは経験から推測した思いつきだった。

「幽霊が出て行く所は見た?」

「は?」

同僚は透の言葉の意味が分からない様子だった。

そんな同僚に真意を説明する。

「そもそも幽霊なんて居るかどうかなんて俺には分からないけど……」

透はこれだけおかしな目に遇っていながら怪奇現象には懐疑的な男だった。

いつか…それが何千年後かもしれないが、いつかは科学がそれを解明すると思っている。

雷だって日蝕だって太古の人類にとってはオカルトだった。

オカルトも科学が証明すればそれは自然の現象になる。

透の持論だ。

そして透は話を続けた。

「もしかすると、幽霊が部屋に居る状態で盛り塩とお札を貼ったんじゃないの?つまり、幽霊を閉じ込めちゃったみたいな」

「あっ…」

同僚は短く小さく言葉を発したまま暫く動かなかった。



その同僚は今はすっかり元気だ。

お札も盛り塩もやめたそうだ。

ただ、その話を聞いた実家のお母さんが心配して檀家をしている寺から念珠を貰って送って来たとのこと。

同僚の腕には翡翠の玉のような念珠が巻かれている。


それが正解かもな。

透はそう思った。

出て行ったかどうかが分からないなら近付けないのが1番。

自分自身に結界を張るのが正しい選択だよな。

透はひとり頷いていた。


ただ、念珠にも限界はあるようだ。

透は念珠の限界を目のあたりにしたことがある。

それはまた、今度のお話で……



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