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怪 談   作者: 冬月 真人
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【ダメ押し】

深夜の納品先。

とある街の納品先は透も苦手だった。

先輩達もそこは本気で嫌なようで、倉庫の全ての明かりを点けて納品していた。


が、透は数箇所しか明かりを点けない。

作業に関わる場所と【嫌な場所】を一箇所だけ。は

先輩達が『嫌だ、不気味だ』と言う場所には何も感じなかった。


「沢木は電気を全部点けないよな」

ある日先輩からそう言われた。

「だって、ここで嫌な場所はあそこだけですから」

透は建物の北東を指差して言った。

「……沢木が言うとガチでシャレにならん」

「自分も言いたくなかったんですけどね」

苦笑いしながらダメ押しをした。

「何日か前に聞いたじゃないですか。あの北東の隅の近くで作業してた時に『誰かコッチに手伝いに来た?』って」

「ああ」

「あの時、床に映ったズボンを見たんですよ」

「あの日だよな。あの……」

「はい。あの音が鳴った日です」


数日前、この倉庫に三人で来た。

時間は深夜三時頃。

床に映ったズボンを見掛けた透は、絶対に他の二人ではないと確信していたが念のために聞いてみた。

案の定誰も来ていない。


その後、納品も済んで帰るだけとなった三人の耳に妙な音が聞こえてきた。

空気の漏れるような音。

シューという音が途切れることなく鳴っている。

三人は原因を確かめるべく音源を辿った。

エア漏れならば別に放っておけばいい。

トラックなら事故に繋がるトラブルだが施設の設備なら問題無いだろう。

だが、万が一ガス漏れならば一大事だ。

自分達が帰った後に火事や爆発なんて事故があれば『知らない』とは通せない。

もう少しすれば夜が明ける。

早く帰って星があるうちに眠りたいのは山々だが仕方ない。


そしてそれぞれに音を辿った三人は同じ場所に行き着いた。

ベルトコンベアの機械。

コンベアならガスは関係ないし、ここでガスの臭いもしない。

だが、エアの漏れている場所も無かった。

これだけの音。

相当に勢いも良いだろう。

だが異常は無い。

三人は原因の追求を諦めるしかなかった。



「沢木はあの音、何だったと思う」

先輩は数日前の出来事を尋ねた。

「分かりませんね」

「沢木が見たズボンと関係があるのか?」

「さあ」

「何だよ、分かんねぇのかよ」

「俺は霊能力者じゃないですからね」

透がそう言うと「そうだな」と言って妙に納得していた。

「ったく、無責任にキモチワルイもの見てんじゃねぇよ」

最後に笑いながらそう言った。


…………で、終わる話なら良かった。


この建物、玄関から倉庫迄に三枚のドアがある。

一枚目と二枚目がガラスドアで三枚目がアルミに曇りガラスのドア。

それぞれに鍵がある。


施錠しながら退室して二枚目。

ガラスに大きなヒビが入っていた。

もう何かの偶然ではないだろう。

ダメ押し。

皆、逃げるようにトラックに乗り込むと早く離れたい一心でアクセルを踏み込んだ。









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