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Fantasia~極星は虚構に眠る~  作者: 雨宮迅
第一章 銀河宝船紀行 アルガトリオ
2/5

2.聞き込み調査

 目の前に広がるエメラルドグリーンの大海原は、陽光の反射により光り輝いている。

 砂浜は、水着を始めとした格好をした観光客で賑わっている。


「綺麗だね。流石は特徴的な瑠璃色の湖面が名前になるだけある」

「そうだな、出来れば


 僕たち三人は五十里浜に来ていた。

 ここ五十里浜は瑠璃海のほとりに開かれたビーチであり、大量の観光客で年中賑わいを見せている。


 瑠璃色に輝く湖面を由来とした瑠璃海は、この世界で五番目に大きい湖として知られている。

 もう一度言う、()である。あまりにもデカすぎたのか、古代の人もこれを海だと勘違いしてしまったのだろう。現に地球にも海って言われる湖あるし……カスピ海とかアラル海とか。


 またここ瑠璃海は、この世界で最も深い湖としても知られている。その深さは2000m以上、地球上で最も深い湖であるバイカル湖(1642m)よりも深い。


 そのためか、この湖には昔から海底での伝説には事欠かない。死の歌を歌いながら近づいてくる幽霊船とか、星海につながる前人未到の海底神殿とか、星の中心につながる坑道とか。そのため、宝船がここに眠っている可能性だって十分に考えられる。


 だからこそ、瑠璃海に。瑠璃海にあるらしい宝船の情報も、大量の観光客が集まるここならばすぐ手に入れられると考えてだ。



「さてどうしよっか、アルス」

 黒の軍服を特徴とした少年が話を始めた。

 名前をレオというこの少年は、何にも好奇心が強く、首を突っ込みたがる性分らしい。腰に刺してある銃で道中の怪物を薙ぎ倒していく姿は、命を刈り取りにきた死神のようだった。


「俺も分からん。ベタなのは周辺での聞き込みってところじゃないか?」

 その言葉に合わせて、和服を着た赤髪の女性、アルスが話を続けていく。彼女は


「そうですね。今日中に手がかりを見つけたいところです」


 僕たちは海岸にいるnpcたちに対して僕たちは聞き込み調査を開始した。


 

 聞き込み調査を始めて十時間後……

 砂浜の日差しも地平線に潜り、空には闇が広がり始めていた頃。

 それぞれ別で調査していた三人は砂浜に建ててあるビーチパラソルの前に集まっていた。

 だが、みんな重い口を開こうとしない。

 そんな静寂の時間を打破したのは、砂浜に寝そべり全く元気がないアルスだった。 

「全然手掛かりがねぇ……」


 そう、僕らは全く宝船(たからぶね)に関する手掛かりを手に入れることはできなかったのだ。

 僕たちは、夕暮れに染まる空を逆目に途方に暮れていた。



 そんな不安にさなまれる中、

 僕らは、酒場にいた。


 隣には、先ほどからずっと周りの客とポーカーに興じるアルスの姿がある。

 既にたらふくお酒を飲んだようで、すぐそばに十個以上のジョッキが並んでいる。

 一方のレオはというと、風に当たりに行ったらしく視認できる位置にはいないらしい。


 そんな賑やかというか騒がしい店の内で、僕はジョッキに継がれたビールをちびちびと飲んでいる。

 並々と注がれたビールには、ジョッキからこぼれそうなほど泡が立っていた。その泡が喉を超えるとき、妙な感覚が僕の脳を支配する。その妙な感覚が癖になる。

 ビールはこの世界で始めて飲むようになった、元の世界じゃ考えられないものの一つだった。この世界は秩序が完全に崩壊している。法律というものもなく、ルールすらも存在しない。そんな状況だから、煙草もビールも年齢に関係なく解放されている。

 むしろ煙草や酒なんて可愛いものだ。治安の悪い地域では違法薬物すら蔓延している。自分の知ってるプレイヤーが廃人と化したのも一人ではない。そんなものに比べると未成年の飲酒や喫煙に文句を言うものは誰もいない。

 閉じ込められた当時こそ独特な感覚に少し苦戦したが、三年がたった今すでに慣れきってしまっていた。


 そんなことを考えていると、先程までどこかに行っていたレオが帰ってきていた。

「店主、もう一杯頼むよ」

「はいよ」

 そんな会話と共にレオに対していっぱいのジョッキが出される。


「何を考えてるの?」

「宝船の在処について、ね……」


「じっくりやろうよ、僕は。」

 何か思いつめたような顔をしていたのだろうか。

 レオは僕を諭すような声色で話していた。


「あんまり気にし過ぎない方がいいよ」


「たまにはあちらに混ざってきたら?気分転換してくると良いよ」

 そう言いながら、彼は人差し指を向ける。その指は先ほどから一番の大騒ぎをしていたアルスに向かっていた。

「アルス、ポーカー弱いし。多分多分勝てるよ」


 そんな彼の後押しに調子をよくした僕は、酒の勢いもあったのかアルスの方へのっしのっしと歩き出す。


「アルスさん、僕と勝負だ!」

「お前もやんのか?望むところだ!」

 酒の勢いにかまけて僕は啖呵を切る。そんな様子の僕に対して、同じように酒が回ってるアルスも負けじと言い返す。

 そして僕とアルスは、ポーカーを始めた。


「おりゃあ、スリーカード!」

「こっちの勝ちだな!フルハウスだ!」

「嘘だっ……!」

 そんな声が店内に響き渡る。彼らの騒ぎ声と共に夜が明けていこうとしている。

Q. 結局報酬はどうなったの?


A. レオが後日二百万リールくらいでまとめてました。

 因みにアルスは蚊帳の外にされました。

「アルスはお金に関わらせると面倒だから……」(レオ談)

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