3.聞き込み調査Ⅱ
「おばちゃん、船について何か知らない?知ってることなら何でもいいよ」
「うーん、そうだね……、幽霊船のことかい?」
「それでもいいよ、どこにいるの?」
そんな風に僕が尋ねると、果物屋のおばちゃんは首を傾げながら答える。
「いやなんでも海底に潜ると謎の歌が聞こえてくるらしくてね。その歌を聴きすぎると、心臓の鼓動が止まるんだと。実際、体験したらしい冒険者から聞いたんだよ」
「それ以外に船に関して知ってることってある?」
「いいや、ないね。ごめんよ」
「大丈夫だよ。蜜柑10個ください」
「はいよ、298リールね」
そのようなやり取りの後、僕はおばちゃんから蜜柑を貰い、次の聞き込みに向かった。
二日目の今日も、僕らは少し二日酔いの残る体で再び聞き込み調査に勤しんでいた。
ただ、今日は昨日の質問とは少し変わっていた。
「そういや、あんたどんな船か分かってんの?」
というアルスの何気ない疑問により、僕らは少し質問の方向性を変えたのだ。船の情報を集める方向に。
まあ、その代わり得られた情報なんて幽霊船の情報ばっかなんだけどね……しかも、僕らを完全に驚かせようと雰囲気を作りながら話すものばかり。怪談が好きなのは電子の世界でも変わらないようだ。
そこには、二人共集まっていた。
僕は、買ってきた蜜柑を渡しながら、調査についての話題を切り出す。
「二人はどうだった?幽霊船以外の話集まった?」
すると、話したくてうずうずしていそうなアルスの顔が微笑みに変わる。
「聞いたよ、幽霊船以外の情報」
「古代王国の王様の密使ねえ。で、その船団の中に宝物を沢山乗せた船が沈んだ、と……」
先程アルスから聞いた話を反芻しているレオが居た。
アルスが聞いた話とはこうであった。
まず、古代にこの近辺に王国があった。その王国は侵略を狙っており、その一環として船団を派遣したらしい。その中で船団が略奪した金品類を乗せた船が一隻あったらしい。だが、その船だけが道中の嵐で沈んでしまったというものである。
その王国は、血眼になってその船を探したが全く見つからなかったらしい。で、その船を見つける前に自分たちの王国が滅んでしまったのだとか。
とりあえず、手掛かりは見つかったらしい。とはいえ、だ……
「その船が今も沈んでいるとすれば、海底に眠っているってことですよね。どうやって見つけるんですか?昔調べまくっても見つかんなかったんですよね。虱潰しというわけにはいきませんし……」
あくまで少し手がかりが見つかっただけだ。宝船を見つける手段に関しては何もない。
「そうなんだよね……」
「それに海底だと先の幽霊船のことも気がかりだ。プレイヤーたちもその幽霊船に遭遇して死んでいるらしいからね。幽霊船への対抗手段も必須だ」
「とりあえず、船の調達もいる。
「そういや、何度も海底を目指してるプレイヤーがいると聞いたよ」
思い出したようにレオが言う。
「じゃあ、そいつに話を聞こう。もしかしたら宝船についても何か知ってるかもしれんしな」
そのアルスの言葉によって、次の僕らの目的地は決定した。
そんなアルスたちからかなり距離を取って聞き耳を立てる一団が居た。
「姉御、さっきの話聞きましたか」
バンダナを付けた無精ひげを蓄えた青年が話しかけている。
「うん、聞いた。宝船とは…、これはいい情報を聴いた。すぐに首領に伝えるぞ」
姉御と呼ばれた少女はそう話している。
「そういや、なんでレオは便利屋なんてやってるんですか?」
僕はふと思った
目的地が見えてきていた。
目の前には、小舟が一隻。木で出来たなんの変哲もないただの小舟だ。
そしてその小舟には、遠くから見てもくっきり見えるほどの筋肉をつけた上半身裸の男が乗っていた。
Q. ギャンブルはどっちが勝ったの?
A. アルスがボロ勝ちしました。
なお、二人まとめてレオと他の客に毟り取られた模様。




