第十一話【家族】
今回はスルト一家が登場しますが適当な紹介しかしません。何せ数が多いので、後々一人一人登場する際に詳細を紹介します。
煌めく海と潮の香りが漂う美しき港町に、1隻の帆船が到着した。何やら応急処置ではあるが修理された後があるその船は、何かしらのモンスターと戦ってきた事を物語っている。そんな船から1つの影が港に降り立った。
闇よりも暗い黒色のロングコートをはためかせ歩くその姿は、一言で言うならば異常。海に反射する光を受けてもフードの中は見えず、顔は一切分からない。しかし彼が異常に見えるのは何も黒いからとか、顔が見えないからと言う事だけではない、彼の後ろを歩く1人の女性も異常と言える要因だ。
彼女はこの港町を含めて多くの町があるこのニブン王国で、誰もが知っている伝説の人物だ。遠い昔ーーーそれこそ数百年も前から生き続け、栄華を極めた時代の技を使いこなす超越者、そしてニブン王国を魔物達から守っている冒険者ギルドのギルドマスター。
そんな彼女は誰かを従えて歩く姿はあれど、誰かに従って歩く姿は誰もが目を見開くものだ。例え王族から直属の部下になれと言われても靡かなかった彼女が、誰かの下に付くなどと誰も予想出来ない事なのだ。
何故彼女があの男の後ろを歩くのか?それはこの場にいる全ての者の共通の疑問だ。しかしそんな周りの事など気にしていないかの様に2人は港町を歩いて行く。誰もが動きを止めてしまう程の光景の中、男は世間話をする様な気軽さで女性に話し掛けた。
そしてそれがまた周りを驚かせる。この国の国民ならば例え貴族でも敬語で話し掛ける程に尊敬されている女性に対して、まるで友人に話し掛ける様な口調で話し掛けたのだ、驚かない方がどうかしている。しかし等の2人は周りなど見えていないかの如く、普通に会話をしている。
そんな様子に驚き、言葉を無くしている彼等の耳に、小さな歓声が聞こえてきた。その歓声は港町の中心を走る大通りの北ーーー港とは正反対の方角から聞こえてきた。最初はギリギリ聞き取れる程度だった歓声は次第に大きくなって、その場に居た者全員に聞こえるくらいになっていた。
この時ばかりは話をしていた2人も注目していた人々も歓声が起きている方を見た。そこに居たのは沢山の人々から歓声を受ける小さな銀色の髪を持つ女の子だった、歓声を上げる人々は彼女に対して敬語を使っている、なぜならばこの場にいる全ての者が彼女に対して尊敬の念を抱いているからだ。
それに彼女は子供扱いされる事を最も嫌っている。過去に彼女を子供扱いした国が一夜にして滅ぼされたという歴史がある程なのだ。例え王族に命令されても誰も彼女を子供扱いしたりしないだろう。
しかし彼女を恐れる者は居ない、何故ならば彼女もまた数百年の長き時を生きているニブン王国の英雄の1人だからだ。
「あっ居た!レフィお姉様!今丁度探していた所なのよ。」
銀髪の幼子ーーーもといマリー=L=スルトは聖教国で最も権威のある聖教国教会にて司祭をしている。実際は聖教国教会が本人の了承を得ずに勝手に司祭にしただけなので、マリー自身は司祭ではないと公言している。
そんなマリーは笑顔を浮かべながら冒険者ギルドのギルドマスターーーーもといレフィ=L=スルトの元へと駆け寄っていく。その顔は笑顔だ、何故なら名前で分かる通りマリーとレフィは姉妹であり、マリーが姉と会うのが久しぶりだからだろう。
感動的な再会のシーン、しかしマリーはある程度近付いたところで自らの姉の前に立つ者に気付き立ち止まる。
「レフィお姉様、そちらの方はどなたです?」
「マリー久しぶりですね。此方の方はーーー。」
「ギャハハハハハハハハハハハッ!!マリーお前、500年前から全然変わってねぇな!レフィは8頭身はあるけど、お前5頭身しかねぇんじゃねぇか?面白過ぎだろ!500年間何してたらそんなに小さいままで居られるんだ?」
マリーの質問に対してレフィが答えようとしたその時、全身真っ黒の男ーーーもといクロウ=L=スルトがマリーを見て大爆笑し始めた。その様子に周りに居た市民達はポカンとし、腹を抱えて笑い転げるクロウの隣に立つレフィは驚き、マリーはブチギレた。
「ち、小さいって言うなぁぁあああ!!」
「ギャハハハハハハハッ!500年経っても小さいって言われたらキレる性格は治ってないのか?ギャハハハハハハハハハハハッ!本気で面白ぇ!」
「ちょっとマリー!町中で暴れては駄目ですよ!それにお父様もマリーを煽る様な事を言わないで下さい!」
腹を抱えて笑い転げる馬鹿とぶち切れる幼女、それを必死で止める女、そんな混沌な光景がこの後数時間に渡り続いたのだった。
「落ち着いたか?おチビちゃん?」
「チビって言うな!それに馴れ馴れしく話し掛けるな!」
「マ、マリー!あんまりそう言う事は言わない方が良いですよ!」
「なんだよ?馴れ馴れしくして何が悪い?ーーーってかこのままだと話が進まないな、マリーが短気過ぎるんだよ。」
俺がおちょくりマリーがキレてレフィが宥める、これが一連の流れになってきている。しかしこれでは話が進まないので、一旦真剣な表情で声を掛けるーーーついでにちょっとからかうのも忘れないのが俺のいい所だろ?
「うるさい!短気は余計よ!ーーって言うかあんた誰なのよ!」
「こんだけ会話してんのに気付かないか………流石に500年も経てば忘れちまうか?レフィ、説明して差し上げろ。」
「マリー、落ち着いて聞いて下さいね?この方はお父様です。」
俺があれこれ言ってもマリーは信じてくれないだろうから、代わりにレフィに説明してもらう。レフィの言う事なら信じてくれるだろうし、俺がマリーと話すと思わずおちょくりたくなるからな。
「………お父様?え?だって、えっ?…400年前に死んだ筈じゃ?」
「まぁ俺はゴキブリ並みの生命力があるからな!そうそう死なないんだよ。」
事実俺は称号で【ゴキブリ並み】と言う称号を持っている。取得条件は1度HPが0になった後で蘇生薬等で蘇る事なので、意外に誰でも取得出来る。効果は蘇生薬等を飲んでいない状態でHPが0になっても10%の確率で復活出来るというものだ。
まぁそれは何処かに置いといて、今はマリーについてだ。
「取り敢えず落ち着いて話せる場所に移動しようか?レフィ、近くに静かに話せる場所はないか?」
「そうですね………静かに話せる場所と言えば、冒険者ギルドの会議室ですかね?転移の魔方陣を設置してるのですぐに行けますしーーーあっ、そうだ!この際家族全員集めましょうか?」
静かに話せる場所はないかとレフィに聞くと、ギルドの会議室がいいのではと言う意見と家族全員を集めようと言う意見が出てきた。確かに1度家族全員で顔を合わせた方が良いと思っていたので、その意見を採用する。
「じゃあ私が取り敢えず皆に連絡するから、レフィお姉様は転移魔方陣の準備をお願い。お父様!後で色々と説明してもらいますからね!」
「連絡はよろしく。まぁ家族全員が揃ったら皆の前で説明するよ。レフィ、転移の魔方陣の準備で何か手伝う事はあるか?」
「用意は大して何をする訳ではありませんから大丈夫です。ただこの布を広げるだけですから。」
そうか、意外と簡単な準備なんだな………。レフィが懐から魔方陣の書かれた畳3畳分程の分厚い皮製の布を広げて地面に敷きながら転移の魔方陣について説明してくれた。まぁ聞いた限りこの布は使い捨てのアイテムらしい。
レフィが布を広げるだけで準備が終わったので、マリーが連絡している間レフィに現在の家系について聞いてみた。
「家系ですか?現在までの総数なら、お父様を含めて70人くらいは居るんじゃないですか?その中で現在まで生き残っているのは66人だけです。」
「66人?………家系図はあるか?あるなら見たいんだが。」
「家系図ですか?確か………これです。」
クロウ
┌───────┬─────┼───────┬──────┐
レフィ* ラツィー* デイト* マリー* カイラ*
│ ┌───┴────┐ │
孤児48* グランフィード エレナ レックス
┌────┤ ├───────┐
カルラ ベスラー* エルギナ* アルテナ*
┌──┴───┬───────┬──────┬──────┐
ミランダ シューナー リッカ ビリー ジョエル
ふむ?なにやら分かりにくい家系図だな?
「この*印は何だ?それにこれは見た限り曾々孫の代まで続いてないか?」
まぁ当然一番上が俺だ、俺より上には誰もいないのでおかしくはない。俺の1段下がレフィ達ーーーつまり子供だ、その1段下が俺から見て孫に当たる奴等で、もう1段下は曾孫に当たる、つまり一番下は曾々孫に当たる者達と言う事になる。
俺を入れて全員で70人、家系図に書かれているのは全員で66人、レフィは現在まで生き残っているのが66人だと言っていたので家系図に書かれている人数と一致する、つまりもう生きていない者は家系図に載っていないのだろう。
「あぁ、養子の子には*印がついているんです。例えばお父様と私達5兄弟は血の繋がりがない養子なので、私達5人には*印がついてます。逆にデイトの子供2人はデイト血の繋がった子なので、*印はついてないんです。」
ふむ?結構複雑だな。つまり印ありの奴は養子縁組で引き取った奴で、印無しは血の繋がった子孫と言う事だろうか?中々難しく複雑だが、大体はこれで合ってるだろう。
しかしまぁ数が多いな。大部分はレフィが引き取った孤児48人だが、その48人を抜いても18人だ。しかしこの家系図は少々おかしい。普通養子縁組をしない限り、妻が居なければ血の繋がった子供は出来ない、なのに家系図を見る限りでは妻や夫が居る者が1人も居ない。
「何故既婚者が1人も居ないんだ?普通家系図には妻や夫も書かれる筈だろ?」
「あぁ、それはですね、結婚したのはデイト・カイラ・グランフィード・カルラの4人だけで全員結婚したのは150年くらい前です。彼等の相手は何百年も生きる事に耐えられずに自殺してしまったんです。だから現在スルト家には既婚者は居ません。」
あぁ~そう言う理由があったのか。つまり既婚者無しの独身者集団って訳か?悲しいねぇ、1人くらいは既婚者が居てもおかしくない筈なのに………。
「取り敢えず、全員集めて1度家族会議をするか?」
「そうですね、だったら全員に絶対集合する様に伝えておきましょう。マリー!全員に絶対に参加する様に伝えてくれますか?」
「分かった、全員に強制参加って伝えておく!」
家族会議でどんな人物が居るのか知っておきたい、俺はレフィ達の代から下の代の奴等の事は一切知らないので、この機会に知っておくのも良いだろう。そう思ってもう1度家系図を見ていると、連絡が終わったマリーが声を掛けてきたので転移の魔方陣を使って冒険者ギルドの前に転移した。
「ここが冒険者ギルドの本部か?意外に綺麗だな。」
一瞬目眩に襲われ目を瞑る、そして目眩が収まってから目を開けば目の前には、レフィが代表を勤める冒険者ギルドの本部が目に入る。白を基調とした壁にこの時代であれば透明度がかなり高いガラス窓が嵌まっている。
換気用の窓と言うよりは、日の光を室内に取り込む為の窓のようだ。中には綺麗なステンドグラスの窓もある。冒険者ギルドって言うくらいだから、もっと荒々しい物だと思っていたがそうでもないらしい、ちゃんと掃除されてるし綺麗な建物だ。
「ここは他の支部と違って、ギルドで働く職員しか居ませんからかなり綺麗なんですよ。他のギルドは1階が酒場兼受付になっていて、酔っ払いが多くて冒険者のイメージ通り汚ないギルドが多いです。ここがかなり特別なんです。」
へぇ~本部には職員しか居ないのか、意外だな。用心棒のかわりに冒険者を置いていた方が安全じゃないか?ギルドの本部って事はそれなりに重要な書類なんかも保管してるだろうし、用心棒は必要だろう。まぁ用心棒は用心棒でちゃんとした奴を雇ってるのかな?
「まぁ汚ないよりは綺麗な方が良いよな。取り敢えず会議室に行って他の奴等が集まるのを待つか。」
ギルドに入ると1階は受付になっているらしく、カウンターがあり職員が5~6人程居て何かの書類に目を通してしている。その内の1人にレフィが話し掛けて会議室を使う事を伝えている。その間暇なのでマリーと最近まで何をしていたのかついて聞いてみる。
「基本的にニブン王国を中心に聖教国やアスタロス帝国やレングス共和国、ヤーナ連邦を回って旅をしてたわ。その途中でラツィー兄様に会ってレフィお姉様に伝言を頼むって言われてたのよ。それでニブン王国に帰って来たの。」
「ラツィーからの伝言はレフィに伝えたのか?」
「………忘れてたわ。」
「やっぱり背が低いと体の発育が充分じゃなくて、脳の発達が悪くなるのかね?お前物忘れが激しいのは小さいからじゃないか?」
「わ、私は小さくないもん!!」
「2人共、第3会議室が空いているそうなのでそこで待ちましょう。」
マリーをからかって遊んで居ると職員と話をつけてきたレフィが声を掛けてきたので遊ぶのを一旦止めて、レフィに着いて行き階段を上り第3会議室と書かれたプレートが付いている部屋に入る。
そこは黒を基本にシックな色合いの壁紙が貼られており、椅子や机も黒に近い茶色等の落ち着いた色合いの家具が置かれている雰囲気の良い会議室だった。大きな机が幾つか繋げた状態で置かれており、椅子はフカフカの革張りで70脚程ある。これなら全員集まっても余裕で入る事が出来るだろう。
席はまぁ適当に座ればいいだろうと思い一番近くの椅子に座ろうとしたら、レフィやマリーに止められてしまった。
「なんで止めるんだ?別に何処に座ってもいいだろう?」
「ダメですよ!お父様は一番歳上なんですから、上座に座ってもらわないと困ります!」
「そうよ!こう言う場合は年功序列で上座から座っていくものよ、だからお父様は一番奥の席!」
まぁそう言う事なら仕方がない………のか?一応年功序列なら俺が一番上になるのだが、それはあくまでもこの世界での話だ。実際に俺が生きてきた年月はたったの68年だ、レフィ達は此方の世界で500年も過ごしているのだから年功序列なら俺はかなり下座に座る事になると思うんだが………まぁいいか。
座れと薦められてるんだから、素直に座ろう。一応俺は曲がりなりにも彼女達の父親だしな。
薦められた通りに上座に座ると、レフィは俺のすぐ右隣に座りマリーはその右隣に座った。聞いてみると、最も偉い人間ーーーつまり上座に座ってる者から見て、男は左側の席に座り女は右側の席に座るのが通例ならしい。
他にも家族の者達の特徴を聞いていると、会議室の扉がノックされた。それに対してレフィが「どうぞ」と答えると、扉が開き1人の小柄な男が入ってきた。小柄と言っても平均身長が180cmはあるこの世界での小柄なので、大体170cm程の細身の男だ。
髪は金色で眼は青く顔はイケメン、中性的な顔立ちで耳が長く尖っている典型的なエルフだ。
「失礼するぞぉ~ーーーってまだ全然集まってないなぁ~、全員強制参加って話だったから急いで来たのにぃ~。」
「あらラツィーお兄様、今日は早いわね?」
「まぁなぁ~。」
なんとも間延びした喋り方をする小柄なエルフーーーもといラツィーは、一瞬俺の方を見て怪訝な顔をしたがすぐに何時ものニコニコ顔に戻り俺から見て左側の席に座る。座ってからは軽くレフィやマリーと世間話をした後、俺に挨拶をしてきた。
「えっとぉ~初めましてだよなぁ~?僕はラツィーって言うんだけどぉ~、貴方はどちら様ですかねぇ~?」
「あぁ、この人に付いては皆が集まってから話す事になってるんで、全員が揃うまで少し待ってて下さい。」
「ふーん、ならいいよぉ~。」
事前に全員が揃うまで俺の事は内緒にしておく様に決めていたので、レフィが変わりに全員が揃ってからだと言って説明する。それに納得したのかしてないのか分からないが、ラツィーは椅子に深く掛け直して寝始めた。
事前にレフィにラツィーが商人をしていると聞いていたので、怒ったりはしない。この世界での商人はかなりハードな仕事だ、何日も何週間も馬車で移動して交渉をしたり商品の売買したりしなければならない。
しかも馬車での移動には危険が伴う、いくらモンスターが人の生息圏から離れていっているとは言え、やはり完全に居なくなった訳ではないのだ。モンスターは商人にとって最も厄介な存在だ。襲われれば積み荷を守る為に応戦しなければならないし、安眠を妨げる。
モンスターのせいで眠たくなっても中々寝れない時もあるので、寝れる時に寝るのは当然だ。
ラツィーもイケメン顔に濃い隈を作っていたので、相当疲れているのだろう。椅子に深く掛けて、ものの数分で鼾を欠き始めた。その鼾をBGMに数十分待っていると、ドアの向こうから何人かの足音が聞こえてきた。
ドアが勢いよく開かれて、バンッ!と音を立てる。そのせいでラツィーが起きてしまったが、会議室に入ってきた者達は大して気にしていないらしい。会議室に入ってきたのは6人の男女だ。その6人は全員が全員特徴的な格好をしていた。
まず最初に部屋に入ってきたのは、身長140cm程度のダボダボなローブ姿の男だ。体の大きさに全く合わないローブを着ており、フードを目深に被っているので顔は分からないが、木の杖を点いて歩く姿は老人の様に見える。
しかし俺はあれが老人ではない事を知っている。彼はデイト、ラツィーの弟で身長が幼女のマリーよりも低く、子供扱いされるのが嫌で老人の振りをしているのだ。魔法の扱いに長けていて、レフィの話では魔法学園で学園長をしているらしい。
その次に入ってきたのは身長95cmくらいの小さなおっさん。見た目は小さいのに立派な髭が生えていて、体型は中年親父の様だ。まさに典型的なドワーフだ。頑固そうな顔をしており常にしかめっ面をしている。
しかし彼は話してみれば意外と気さくなのだ。彼はカイラ、先に紹介したデイトの弟で、ゴットア連合国の国立鉄工所にて鍛冶に明け暮れていると言うのはレフィからの情報だ。
次に入ってきたのはレフィやマリーとは比べ物にならないくらい豊満な胸を持つ女性、黒髪に翡翠色の眼、マリーから聞いた孫達の特徴と照らし合わせればおそらくこの娘がデイトの娘の1人、グランフィードだろう。
彼女はパッと見た感じは普通なのだが、よく見てみれば服の所々に何かの文字が書かれている。「呪」とか「死」や「殺」、「霊」等の不気味な文字のオンパレードだ。あれが商人をしているらしいのだが、誰がアイツと商談をするのだろうか?と疑問に思う姿をしている。
次に入ってきたのはこれまた見目麗しい黒髪に金色の眼の女性、聞いている特徴と一致するのはグランフィードの妹のエレナだろう。彼女はデイトが経営している魔法学園で魔法薬学の教師をしているらしく、白衣を着ているのだがヨレヨレで髪の毛も寝癖が酷く、見た目は凄くダラしがない。
マリーから聞いた話によると、薬学の知識を探究し過ぎてまともな生活が出来ていないらしい。まぁそれでも美人に見えるんだから、ちゃんとしたらもっと美人になるんだろうな、と思う。
お次はこれまたドワーフで、カイラに似た容姿をしているのでおそらくカイラの息子のレックスだろう。彼も国立鉄工所で働いているらしく、鍛冶ではかなりの腕を発揮するらしい。見た目はドワーフなのに、何故かダンディーに見えるのだから不思議だ。たぶんサングラスと葉巻が似合うだろう。
服装はツナギを着ているのだが、そのツナギがド派手な桃色なのでダンディーな見た目を台無しにしている。
次は金髪に紫色の眼の男だ。イケメンでスタイル抜群のいかにもリア充そうな奴だ。多分あれはグランフィードの息子のカルラだろう。レックスと一緒に国立鉄工所で働いているらしい。とにかくイケメンなので思わず爆破したくなる。
以上の6人が入ってきて軽くレフィ達に挨拶した後、各々の席に座っていく。6人はチラリと俺の方を見た後レフィの方を見て「あれは誰だ?」とアイコンタクトで問い掛けたが、レフィが首を横に振ったのを見てなにも言わずに椅子に座り直した。
どうやらレフィが首を振ったのを見て、後でと言うのを理解したのだろう。その後は各々で喋ったりして時間を潰して2~3時間程経った頃、まだ来ていない奴等が会議室に入ってきた。
レフィが引き取った孤児48人を皮切りにカルラの弟のベスラーやエレナの子供のエルギナとアルテナ姉弟、カルラの娘のミランダ、リッカ姉妹、息子のシューナー、ビリー&ジョエル兄弟、全66人全員が会議室に集まった。
「これで全員揃いましたね?それじゃあ、第943回家族会議を始めたいと思います。進行は不肖レフィが担当させていただきます。」
「レフィ姉さんさぁ~、毎回その挨拶やってるけどぉ~、それ要らないんじゃないのぉ~?」
全員が席についた事を確認してからレフィが立ち上がり進行を始めるが、それに対してラツィーが突っ込むと俺以外の全員が同感だとばかりに頷いた。まぁ俺も943回もやってるなら止めた方がいいんじゃないかと思わないでもない。
「それよりレフィ伯母様、そちらの黒い方はどなたなんですの?」
全員がレフィの進行は必要ないだろうと思っている中、1人だけ俺に付いて質問する奴がいた。俺の孫に当たる娘グランフィードだ。彼女にとってはレフィの進行がいるかいらないかは然したる問題ではないのだろう。
「あぁ、此方の方は私達のお父様です。」
「オッス皆!懐かしきお父様だ!」
レフィの紹介があまりにも軽く説明するものだから思わず俺も軽いノリで、フードを取りながら挨拶した。
「「「…………えぇぇえええっ!?お父様っ!!?」」」
「いいリアクションをありがとう諸君!こんなんでもお父様だ!」
もの凄くいいリアクションをしてくれたのはありがたいのだが、少々驚き過ぎじゃないだろうか?コイツ等だって平均年齢250歳くらいなんだぜ?今ここに居るのは、普通の人族の2倍以上は生きてる奴等の集まりみたいなものだ。俺だって長生きしててもいいだろう?
俺の子供達は500歳以上だし、孫は大体が400歳以上、曾孫も大体が300歳以上、曾々孫の代になってやっと10代という普通の人間的な年齢になるのだ。俺だって500歳以上でもおかしくないだろ?まぁ実際は俺68歳だけど………。
「「「お父様!なんで生きてるんですか!?」」」
驚き過ぎだと呆れていると、まだレフィとマリー以外のラツィー、デイト、カルラの3兄弟から酷い質問が飛んできた。
「なんだ?俺が生きてたらダメなのか?」
「そう言う訳じゃないけどぉ~………。」
「お父様は400年前に死んだとレフィ姉さんが言ってたぞ?」
「俺も400年前に死んだと聞いたぜ?」
それはレフィの勘違いだったと言う事にして説明する。そしたら3人共驚きのあまり黙り込んでしまった、まぁ死んだと思ってた奴が実は生きていたなんて言われたらそりゃあ驚くよな。
「レフィ伯母様のお父様と言う事は、私のお祖父様と言う事ですの?」
「そうだな、一応お前のお祖父ちゃんだ。」
グランフィードからすれば確かに俺はお祖父ちゃんだ。68歳にて曾々孫まで居るのは世界でも俺ぐらいだろうな………地味に俺って凄いんだな。
「………夢が1つ叶いましたわ。」
「夢が叶ったってのはどういう意味だ?」
「あっはい!私実は元々は錬金術師になりたかったんですの、でもある日私の目指す錬金術師になるには、現代に残る資料や教材では無理だと気付きましたわ。そんな時にお父様からお祖父様の話を聞きましたの、お祖父様は私の目指す錬金術師の更に上を行くお方だと思いましたわ。だから1度でいいので、お会いしてみたいと思っておりましたの。」
嬉しいねぇ、こんな綺麗なお嬢ちゃんに会いたかったって言われたら男なら誰でも嬉しいだろ?嬉しくない奴が居たとしたらそいつはアッーー!系の奴だろう。
「へぇ錬金術に興味があるのか?まぁ確かに錬金術は奥が深いからな。俺もつい先日海から帰ってくる途中に船の中で色々と試してたら、今まで(ゲームの時)は作れなかった新しい物が錬成出来たしな。」
レフィのゲロの処理が嫌になって帰りの船では自室に閉じ籠もって色々と試していたのだが、その最中に《錬金術》のスキルでとんでもない物を錬成してしまった。
あれを作った経緯は、ゲームの時には作れなかった物は作れるのかと言う実験で作れると判明した時に、どの程度の物まで作れるのかを調べていた最中だ。最初は海水を真水に錬成したりする程度だったのだが、次第に色々と作れる事に気付き思いきってある物を作ってみた。
それは擬似太陽だ。我々が常日頃から世話になっている光輝く天体、それを魔法と錬金術、科学の力で再現したのだ。大きさは直径2cm程小さな物だが表面温度は約1500万℃近いし、直接フラスコを覗けば目が潰れるんじゃないかと思う程の光を発している。
はっきり言って超危険物だ。こんなに小さいがこの擬似太陽が持つエネルギー量は半端ではない、扱いを間違えれば島1つくらいは跡形もなく吹き飛ばせる代物だ。使い方によっては核ミサイルよりも危険な兵器になる。
ヤバイだろ?こんな物が手軽に作れる俺も充分ヤバイのだが、やはり太陽をも作り出せる錬金術や魔法は恐ろしい代物だと思う。でもだからこそ探求心が刺激される。
危険な物だが面白い。これは火と同じだと思う、人は火は危険な物だと理解しているが同時に便利な物だとも思っている。だから危険な火を利用してきた、危険よりも利便性が高いから火を利用してきたのだ。魔法や錬金術も同じだ、危険だがその危険性を上回るだけの利便性がある。
だからこそ利用するのだ。しかし利用するにはそれを深く理解する必要がある、だから探求するのだ。それが楽しくて仕方がない。話が横道に反れてしまったな、元に戻そう。要は俺も錬金術は好きって事だ。
「まぁいいや、錬金術については後で話そうか。取り敢えず全員の自己紹介でもしてくれないか?誰が誰だかちゃんとしときたいからな。」
こうしてスルト一家の自己紹介が始まった。
これ以上書くと長くなりそうなので、強引に切りました。なんか無理矢理変な場所で切ってしまった感がありますが、大丈夫ですかね?大丈夫ですよね?
それと前々回の後書きで今回辺りにロリコンキャラを登場させると言っていましたが、あれは当分出てこないかも知れません。彼の登場は果たしてこの物語に必要なのかと思いまして………登場させる事事態を検討中です。まぁ多分出てくるとは思います、幼女キャラのマリーさんが登場しましたからね。
まだまだ幼稚な文章かも知れませんがこれからもよろしくお願いします!




