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エデンの園  作者: 北東
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第十話【黒ひげ3】

最近文字数が増えている様な気がしてなりません。皆さんはどう思いますか?少し長過ぎますか?それとも丁度いいくらいですか?まさか短過ぎるなんて事はないですよね?………たぶん。


まぁ大体今くらいの文字数でこれからも頑張っていくので、よろしくお願いします。

風が唸りを上げ波が渦巻き船が軋む程の嵐の中、1隻の船の周りだけが切り取られたかの様に静まり返っていた。風も吹かず波も立たず降っている筈の雨すら無い、無の空間。その中にあるのは、常人ならば向けられただけで心臓が凍り付く程の殺気と、2人の男のみ。


そんなどんな生物も近寄りがたい空間の中で、2人の男がぶつかっていた。






「いい加減に死ねよ引き籠り!」


「フンッ!死ねと言われて死ぬバカが何処に居る?それより貴様こそさっさと天に召されろ小僧!」


「ハッ!生憎俺は大昔に神に喧嘩を売って滅んだ種族なんでね!天に行っても追い返されるだろうから、意味ないぞ?」


「ならば冥界へ堕ちろ!」


「残念!冥界なら単独(ソロ)で何度も攻略してるから、堕ちても帰って来れるんだよ!」


アホみたいな言い合いを続けて早5時間、お互いに拳と剣をぶつけながら騒ぐが状況は変わらない。相手の攻撃を防いだり避けたり相殺したりで全くダメージがない。アン女王の復讐号に乗ってから、かれこれ8時間近くになるが決着が全然着かない。


最早肉体的にダメージを与えるのは無理と判断して悪口を言って精神的にダメージを与えようとしているのだが、悪口を言っても言われてもお互いに怒りのパラメーターが上がるだけで一向にダメージがない。


「引き籠り!このままじゃあ決着が着かねぇ!だからお前自害しろ!」


「そうだな、ここはわしが自害して丸く収めーーーってなるかっ!!」


「チッ!そのまま自害すれば丸く収まったのに!」


「小僧、貴様わしを嘗めとるのか!」


「逆に訊こう、引き籠りを嘗めない奴が何処に居るんだ?」


他の人の意見は分からないが、少なくとも俺は嘗めている。


「引き籠りを嘗めるんじゃねぇ!ーーーってわしは引き籠りじゃない!」


「今一瞬引き籠りだって認めただろ!?」


「み、認めてない!」


そう言いながら斬り掛かってきたのをいなして、カウンターでハイキックを食らわせる。するとそれがもろに黒ひげの顔面に決まり黒ひげが吹っ飛んで行く。


「よし!やっとダメージが与えられた。」


顔面にハイキックを食らった黒ひげは、吹っ飛んだ先にマストがあるのに気付き空中で体勢を変えて、マストに足から着地するようにして衝撃を殺しそこからマストを思いっきり蹴って、弾丸のごとき勢いでこちらに帰ってきた。


しかしそれをわざわざ食らってやるのも嫌なので、マトリ〇クスの様に上体を仰け反らして黒ひげを避ける。しかし黒ひげは避けられるのが分かっていたのか、俺の上を通り過ぎてすぐに剣をしまい腰から2丁の銃を取り出し撃ってきた。


しかし弾は俺に当たる前に見えない何かに当たって止められた。見えない何かは俺と黒ひげの間に壁の様に展開されており、それは例えるならば結界だろうか?透明で薄く非常に硬いこの壁は、どんな遠距離攻撃も通さない。まさに結界だ。


「銃はズルいだろ!」


「その結界の方がズルいだろ!?」


「「まぁ結局どっちもどっちだよな………。ーーーハッ!しまった、何時の間にか敵と同じ事を!?テメェ真似すんじゃねぇよ!」」


どっちがズルいかを言い争い、結局2人共どっちもどっちだと言う結論に達して全く同じ台詞を吐いてしまう。しかしそれがいやになってお互いに真似をするなと怒鳴り合い再度ぶつかり合う。ネタみたいになっているが、俺達は大真面目だ。


「………レベル差が5,000はあるのに、殆ど同格か。やっぱり戦闘経験の差が出てるな。」


さっきから幾度となくぶつかったが、決着が着かない。レベル差が5,000もあるのに勝てないのは単に戦闘経験の差が大きいからだろう。所詮俺はゲームで戦っていた程度で、現実(リアル)で戦った経験など皆無だ。対する黒ひげは、この平均レベル9,000の死海で生きているのだ、潜り抜けて来た修羅場の数が違う。


その戦闘経験の差をなんとかレベルで補っている状態なのだ、決着が着く筈がない。しかし着かなければ困る。ならばどうするか?簡単だ、戦法(スタイル)を変えればいい。一旦黒ひげから跳躍して距離をとる。


「確かここら辺に………あった。」


アイテムボックスを開き、目的の物を探し出して取り出す。出てきたのは俺より一回り大きい黒い西洋甲冑、アイテムボックスから出された瞬間盛大な音を立てて甲板に落ちる。それを拾い上げて今着けている装備と入れ換えていく。


全身真っ黒なロングコート姿から、全身真っ黒な甲冑姿に変わった俺は、鎧の動作に不都合はないか手早く点検する。そして点検が終わると同時に黒ひげに向けて走り出す。当然鎧がある分先程よりは動きが遅くなるが、それでも常人では認識出来ない速度で動き回る。


そして全身を覆う鎧は、神級(ゴッド)の力を持つ黒ひげの剣すら通さない頑丈さがあるので、防御を気にする必要が無くなった。しかも動作が遅くなる代わりに甲冑分の重量が拳の威力を強化する。この黒い甲冑はそのゴツい見た目通りとんでもなく重い、最低でもステータスの筋力値が900,000は越えていないと装備する事すら出来ない程重い。その為その重量により強化は数倍、いや数十倍にも及ぶ。


そして増した重量が強力な一撃を生み出し、黒ひげを圧倒していく。しかし黒ひげもバカではなく、すぐにむやみやたらに攻撃するのではなく甲冑の弱点である関節を狙った攻撃方法に変えてきた。しかしそれを許す程俺もバカではないので、黒ひげが反撃する隙を作らない様にどんどん攻撃していく。


しかしスピードが落ちた此方とは違い、黒ひげは先程までの俺の動きに対応出来るだけの速度がある為、ついに膝の裏側にある関節部分への攻撃を許してしまった。ザッ!!と肉が斬られたーーーかに思われたが、剣が当たった部分からなるのは肉を斬り裂いた音ではなく、キンッ!と剣が弾き返される音だった。


その事に驚いて目を見開いたーーーいや、黒ひげが目を見開いたのは剣が弾かれたからではなく、自らの身に起きた異変にだった。黒ひげが自らの身に起きた異変を感じ取ったその時、黒ひげは甲板に倒れ付した。倒れた黒ひげは死んだ訳ではなく、まだ荒いながらも息があるーーーつまり気絶している。


「………俺の勝ちだな。」


思惑通りに事が運べたので思わず顔がニヤけてしまうのをグッと我慢して、アイテムボックスから草薙の剣を出し黒ひげの首を跳ねる。留めは確りと刺さないと後で後悔する事になりかねないので迅速に行う。


さて、気になっているであろう種明かしをしよう。なんて事はない、黒ひげが倒れたのは熱中症によって失神したからだ。黒ひげと戦う前に船員に使った《高熱気体(ヒートガス)》と同じ効果を使って黒ひげの周囲の空気を熱して熱中症を引き起こさせたのだ。


その効果を起こしたのは今装備している甲冑【高熱蠍鎧(ヒートスコーピオンアーマー)】だ。これは火山地帯に生息する高熱蠍(ヒートスコーピオン)の外殻を使って作られた甲冑で、非常に頑丈な作りになっている。


そしてこの甲冑は2重構造になっている。1層目は中から外に熱を通すが外から中には熱を通さない作りになっているので、体を動かす時に発生する熱を1層目から通して2層目との間に溜め込める。そして間に溜まっている熱は体を動かす度に熱量を増していき、一定以上の温度になると2層目の甲冑の関節部分の隙間から噴き出す様になっている。


すると少しずつではあるが自分の周囲の温度が上昇していき、近くにいる者は火傷するのだ。しかも甲冑の弱点である間接から高温の空気を勢いよく噴き出すので、剣等で攻撃した際にその軌道を熱風でずらす事が出来るのだ。ゲームでは一定の感覚で近くに居る相手に火傷の状態異常を追付するだけだったが、今は現実なので火傷だけでは済まない。


つまり黒ひげはあまりの熱さで失神したのだ。普通なら周りが熱くなれば分かるだろうが、黒ひげは俺と戦うのに集中し過ぎていたので周りが熱くなっているのに気付くのが遅れたのだ。失神するほんの少し前に気付いた様だが最早手遅れ、そのまま黒ひげは気を失ってしまった。


黒ひげを倒す事が出来たので、甲冑の頭部の口に当たる部分を開ける。すると甲冑の1層目と2層目の間に溜まっていた高温の空気が一気に噴き出す。その様はブレスを吐く(ドラゴン)にも見える。大量の空気を吐き出し終えたら、急いで甲冑を脱いで元の常闇シリーズに着替える。


何故急ぐのかと言うと、あの甲冑は非常に重いのでさっさと脱ぎたかったのと、黒ひげが倒された事により船が沈み始めたからだ。このまま乗っていると一緒に沈んでしまうので、急いで天上人の靴を履いて空に脱出する。すると脱出してすぐにアン女王の復讐号は海に沈んで行った。


「ふぅ、ギリギリ脱出出来たな。」


無事に船を脱出出来て一息ついたは良いが、別の問題が残っていた。冒険者達の相手をする召喚獣(サモン・ビースト)の準備だ。黒ひげは倒してしまったので、戦わせる相手は居なくなってしまっている。だから召喚(サモン)して敵を用意してやりたいのだが、中々いいモンスターが思い付かない。


レベルが高過ぎないものを選ぶ必要があるのだが、そんなに都合よく弱いモンスターは居ないのだ。大体冒険者共が弱過ぎるのだ、平均レベル60なんて弱過ぎて話にもならない。いっその事、強い奴を召喚(サモン)してレフィに頑張ってもらおうかな?


「《召喚獣(サモン・ビースト)王鮫(キングシャーク)》、これぐらいならレフィでも追っ払えるだろう。」


王鮫(キングシャーク)、王と言う文字が似合うだけの巨体を持つ鮫型モンスターで、頭部に王冠の様な気管が付いているのが名前の由来になっている。全長約200m、体重800tの巨体を持ちながらも時速300kmという速度で遊泳が可能、頭部の王冠状の気管から強力な電撃を放つ事も出来る。


背鰭が非常に硬く、水面から背鰭のみを出して船に突撃して転覆させるので、海に出る場合は注意が必要なモンスターだ。level:11,000もあるが海中から出て来ないので、実質level:9,000のモンスターと同程度の脅威しかない。レフィでも多少手間取るが倒せない事はないだろう。


「やぁ王鮫(キングシャーク)君、早速で悪いんだがこの近くに停まっている船を軽く襲って来てくれ。ただし沈めない様に注意して襲ってくれ、ちょっとダメージを与えたらそのまま帰っていいから、OK?」


鮫に理解出来るかは分からないが一応確認すると、1度頷いて海に潜って行った。多分理解しているみたいなのだが少し心配なので、隠れて着いて行く。まぁ隠れて着いて行くと言っても、海の中に潜って《隠蔽》を使用しただけなので、レフィには気付かれる可能性があるけどな。


そんな事より王鮫(キングシャーク)だ。泳ぎが非常に速いので急いで追い掛けないと置いて行かれる、なので急いで追い掛ける。すると早速前方に雷が落ちた、どうやら戦闘が始まったらしい。


水面から目から上だけ出して周りを見渡すと、丁度レフィが王鮫(キングシャーク)の顔面に蹴りを決めている所だった。


「……………(あいつ滅茶苦茶豪快に戦ってるな。)」


頭部だけでも10m近い大きさの鮫を蹴っているのだ、豪快過ぎるだろ………。あれではレフィの活躍が目立ち過ぎて、冒険者達が役に立たなかった様に見えてしまう。それでは召喚(サモン)した意味が無いので、王鮫(キングシャーク)に少し細工をしよう。


《ガードアップ》と《スピードアップ》を使い、王鮫(キングシャーク)を強化してついでにレフィには《スピードダウン》を使い速度を落とさせる。すると先程までは一方的にレフィが攻撃していたのが、次第に王鮫(キングシャーク)が押してきだした。


しかしレフィも負けじと奮闘して、ほぼ互角に戦っている。そうなると冒険者達も加勢しレフィ側が有利になってくる。魔導式砲の発射音が数発分響き、その内の1~2発だけが王鮫(キングシャーク)に命中する。


あの魔導式砲はあまり命中精度が良くないらしい、それに射程距離もそこまで長くない。しかし威力はそれなりにあるらしく、王鮫(キングシャーク)のHPを一気に削った。それが決め手となり王鮫(キングシャーク)は撤退して行った。


それを確認してから数分待ち、一旦船から見えない様に離れて水中から出て服を乾かしてから空中を歩いて帰る。


「レフィ、帰ったぞぉ~!」


「あっ、お父様!丁度良かった、先程王鮫(キングシャーク)に襲われて船が壊れてしまったんですけど………直せますか?」


「船が?確かにちょっと壊れてるな………まぁこれくらいならすぐに直せる。それより実はアン女王の復讐号を勢い余って沈めちまったんだが?」


何にも知らない風に装って帰ってみると、何やらレフィと船員達が集まって何やら話していたので話し掛けると、船の修理を頼まれたので快諾したついでにアン女王の復讐号を沈めて来た事を言ってみた。


「えぇー!沈めちゃったんですか!?………まぁいいです、冒険者の方達は王鮫(キングシャーク)と戦ったので悪い噂が立つ事はないでしょうし。」


「悪いな。取り敢えず俺は船の修理を始めるが、少々時間が掛かるから帰る準備をしといてくれ。」


「分かりました、皆さんにそう伝えて来ます。………ハァ、今回の依頼は失敗ですね。」


レフィが溜め息を吐きながら船長と話をし始めたのを尻目に、俺はアイテムボックスから1冊の古い本を取り出す。この本は“クロムウェルの聖書”というアイテムで、所謂魔導書と呼ばれるアイテムだ。


このクロムウェルの聖書は高級(ハイ)以上のアイテムを1つ犠牲にする代わりに、聖書の中に住む小人を召喚(サモン)する事が出来る。因みに小人は戦闘能力は皆無なのでモンスターではない、よって召喚(サモン)スキルの《召喚獣(サモン・ビースト)》では召喚(サモン)出来ない。クロムウェルの聖書からのみ召喚(サモン)出来るのだ。


このクロムウェルの聖書に住む小人達は物の修理や複製、生産等が得意で、生産職をやっているプレイヤーの手伝いをしてくれる。小さい体でチョコマカ動き回る姿は非常に愛らしいが、実際はよく働き勤勉で、頑固な性格をしている。自分が納得出来ない物を作るとすぐに捨ててしまう等、非常に厳しい奴等だ。


しかし彼等程完璧な物を作ったり直したりする者は居ないのだ、頑固な性格もまた彼等の良い所でもある。


高級(ハイ)のアイテムだから………この短剣を犠牲にしようかな?」


アイテムボックスの奥底に眠っていた高級(ハイ)の短剣を1本取り出す。この短剣は簡単に作れるので、何かしらのアイテムを求められる場合はこの短剣がよく犠牲になっていた。名前も贄の短剣とまさにと言った感じの名前だ。


短剣をクロムウェルの聖書の表紙の上に乗せて一言「召喚(サモン)」と唱えると一瞬短剣が輝き消えて、代わりに小さな小人が40人程現れる。


小人達の大きさは掌に乗る程度で、頭が少し大きく大体2頭身程しかない。性別は男女共に20人ずつぐらい、歳は全員同じくらいだが中には立派な髭が生えている小人や、白髪が混じった初老の小人も居る。まぁ共通点は全員愛くるしいと言う事だ。


最初は呼び出されたのがまだ理解出来ていないのかキョロキョロと周りを見ていたが、目の前に居る俺に気付くと「フォッ!?」と言いながら目を見開いて此方を見た後で、ビシッ!と言う効果音が出そうなくらいの勢いで敬礼してきた。やっぱり非常に愛くるしい。


「さて小人諸君、呼び出してすぐで悪いんだがこの船の修理を手伝ってもらいたい。」


「フォッ!フフフォッフ!フッフォフフフォッ!!」


フムフム、要約するとーーー久しぶりに呼ばれたからビックリした!けど呼ばれたからにはちゃんと手伝う!ーーーって言っている。喋る姿も一生懸命で、身振り手振り短い手足で可愛らしく作業の説明をしてくるので、思わず撫で回したくなる衝動に苅られてしまった。


しかし今は目の前の小人が頑張って説明をしているので、邪魔をしない様に我慢する。それに小人達は今仕事モードなのだ、普段はおっとりしていて撫でたら手に擦り寄って来るのだが、仕事モードの小人を撫でたりしたら怒ってしまい本の中に帰ってしまう。なので我慢だ。


「ーーーフッフォフフフォッ!フォーフフフォッフォフフォッ!」


作業の大体の流れを説明し終えた小人は、すぐに周りの小人達に声を掛けて仕事道具の準備をする。彼等の仕事道具は(今回は木製の船の修理なので)小さなトンカチと、小人の体で持ち上げられるのか心配になる様な大きな木槌、あとは小さなノコギリやロープ等だ。


中には小さな斧を持っている小人や(カンナ)を持っている小人が居るが、基本全員が必ず持っているのは上記の4つだけだ。たったそれだけの道具だが、彼等が扱えば何千種類もの道具と変わらない働きをするのだから馬鹿に出来ない。


しかし彼等が如何に優れた技術者でも、あくまで彼等はプレイヤーをサポートするのが役目だ。なので俺も生産に使う道具をアイテムボックスから出して準備をする。一応準備をするのと同時に道具をチェックして、壊れたりしていないか確認する。


もしも道具が破損していたりすると完成品に悪い影響を及ぼすので、確りとチェックする。ノコギリの刃零れや(カンナ)の刃の位置、(ノミ)の刃や金槌の錆び等を確認する。まぁ目視出来る範囲内では正常だ、一応《分析(アナリシス)》を使って道具の詳細な情報を見る。


「………あぁ~このノコギリは駄目だな、錆びたノコギリになってる。」


錆びたノコギリは低級(ロー)ーーーつまり最低ランクのアイテムと言う事になる。元々は木材王の鋸と言うアイテムだったのだが、木材王の鋸に使われているイダナイト鉱石は使わないと錆びてしまうという不思議な性質を持つ。つまりアイテムボックスにしまったままだったせいで錆びてしまったのだ。


仕方ないので、今持っている最高のノコギリで代用する。拠点の倉庫の中ならもっと良いノコギリがあると思うのだが、今は拠点の倉庫には行けないので我慢する。まぁ何も神級(ゴッド)の船に修理しようとしている訳ではないのだ、最低限海を走れれば低級(ロー)でも構わないので、今回だけは妥協する。


「じゃあ早速始めようか?」


「「「フォッ!!」」」


元気な返事を返してくれた小人達は、それぞれが担当する修理箇所に散って行き仕事を始める。修理と言っても簡易的なものだ、修理に必要な木材が無いし金具も無い。なので最低限の応急処置をするだけだ。


船底近くに開いている穴は、船の船首部分にある無駄な装飾に使われている木材をひっぺがしてその木材で塞ぐ。そのついでに無駄な木材を回収して行く、それを小人達に渡して修理箇所に適した形に加工してもらう。


あとは修理箇所を適当に修理していく、そうすれば細かい部分を小人達が修理してくれるのでほんの数時間程で大体の修理は終わった。しかしここで問題が起きた、舵を修理する為の木材が足りないのだ。


「フォッ!フフフォッフ!(そうだ!船底の板を使おう!)」


「フォーフフフォッフォフフォッ!(船底の板かぁ、候補に入れよう!)」


「フォッ!(マスト!)」


「フフフォッフ?(マストってメインマスト?)」


「いやいや船底の板を外す訳にはいかない、それにマストは重要だ。甲板の板を2~3枚くらい剥がす訳にはいかないか?」


「フォッ?フフフォッフォーフフォッ!(甲板?それは駄目、船のバランスが悪くなる!)」


「「「フーフォフーフォッ!!(それはマズい!!)」」」


端から見れば何を話しているのか分からないが、話し合ってる俺達はかなり真剣に話している。色々と妥協案を出してみるが、小人達は頑固なので中々納得出来る案が出ない。甲板の板をあーだこうだとかマストをあーしようだとか、色々と言い合うが中々良い案は出ない。


最終的には1度船を完全に解体(バラ)して一回り小さい船を作るなんて言う、突拍子のない意見も出だした。それに対して船を解体(バラ)している間、乗組員達はどうするんだとツッコミ却下する。しかしツッコミを入れた小人も良い案がある訳ではないので、何とも言えない。


「どうしたもんかねぇ?」


「フーフフフォフォフォー?(どーしたもんかねぇ?)」


皆で悩んでいるとレフィが此方にやって来た。


「お父様達、何を悩んでいるんですか?」


「フォッ!!」


「修理に必要な板が足りないんだよ。レフィ、何か板の代わりになる物はないか?」


この際木材でなくても良いので何かないかと聞いてみると、1枚の鉄板を渡してきた。確かにこれなら板の代わりにはなるが、今の状況ではこの鉄板を加工する事が出来ない。いくら木の代わりになるとは言え、熱さないと加工出来ない鉄板では使えない。


「悪いがレフィ、鉄板を熱する為の炉がない今、これじゃあ渡されても意味がない。」


「………?お父様の怪力があれば、熱する必要なんて無いんじゃないですか?」


………あぁすっかり忘れてた、俺のチートステータスがあれば鉄板の加工なんて簡単じゃないか。そうと分かればさっさと鉄板をねじ曲げて目的の形に加工して小人に渡す。すると瞬く間に破損していた舵が元通りになる。


「これで修理完了だ、早速帰ろうか。あ、小人諸君は手伝ってくれてありがとう。」


「「「フォッ!!」」」


小人達は礼を述べると返事と敬礼をした後で、甲板に置きっぱなしだったクロムウェルの聖書に走って行って本の中に入っていった。全員が入ったのを確認してからクロムウェルの聖書をアイテムボックスにしまう。


しまったと同時に船が動き出して海を進んで行く。修理がちゃんと出来ているのを実感しながら、死海から離れて行く船から釣竿を垂らす。やっと念願の釣りが出来るので、ちょっとテンションが上がったのは仕方ないと思う。


しかし結局数時間後には船酔いで吐いたレフィの介抱に忙しくなってしまったクロウなのであった………。



さて、黒ひげ編も終わったので次回からは主人公の家族についての話になります。因みに少しネタバレになるんですが、主人公の家族はとんでもなく多いです。我ながら少し多過ぎるんじゃないかと思うのですが、まぁ書いてみます。


駄文になるかもしれませんが、よろしくお願いします。

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