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JKだけど異世界で真の漢に俺はなる  作者: 相川ミサヲ
第5章
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◇オハラショウスケさん◇



 良い奴がいいやつだとは限らない。

 言葉遊びをしているわけじゃない。

 シュタイン家の人々を現すとそういう表現になる。


 「そう思いませんか?ダルトンさん」

 俺はリュリュを看病していたあのガレージみたいな小屋にいた。


 もはや早朝というような時間ではないのに、シュタイン家は未だ寝静まっている。

 使用人達ですらそうそうなのだ。


 「おかげで貴女とこうしてコンタクトも取りやすいので、何とも」

 商人さん(ダルトン)は肩をすくめた。


 兎人リュリュが劇的に回復したのは、奇跡なんかじゃなく。

 ダルトンが薬を持ってきてくれたからだ。

 小屋にリュリュともども放り出された夜に、

 「お困りのようですね」

 と、ダルトンがどこからともなく現れた時にはびっくりした。

 「またあちらでお会いしましょうと言いましたでしょ?」

 ダルトンは静かに笑って言った。

 「実際に見て、体験してもらった方がわかりやすいかと思いまして」


 俺のアイテムボックスに「亜空間の扉」が知らない間に設置されていた。

 俺が利用するときは、その扉を一度アイテムボックスから出す必要があるが

 ダルトンは扉のある場所がわかれば、転移してこれるらしい。

 知らない人が見ればダルトンは俺から湧き出てきたように見えるだろう。

 ホラーだ。


 インベントリとアイテムボックス、二つの収納は、アイテムボックスは俺が利用 するもの、インベントリは保管庫みたいな分け方がされているらしい。

 おそらく商人さんほどではないが、俺も相当の収納力があると思う。

 今は商人さんから「レオを治療するための」亜空間をひとつもらっているし。


 しかもこの亜空間、俺が知っているものならば、イメージしたものが具象化されるというチート機能ありという優れものだ。

 亜空間製作者のダルトンには、それができないというのだから俺とダルトンの出会いは「出会いの妙」というか。

 ダルトンだけじゃできないことが、俺の能力との複合技なら出来るとか、いちいちギミックっぽい。

 これも何かのフラグなんだろうか。


 そういう訳で、扉を使って、レオの様子はちょくちょく見に行っている。

 再生は順調のようだ。

 俺の流し込むマナを使って身体を細胞レベルで再生させるという作業は時間がか かるらしく、その間レオは仮死状態にある。


 眠っているかのようなレオは悪態もつかないし、ヤンデレっぷりを発揮したりしない。そのことがちょっと物足りないような寂しさを感じさせる。

 早く目を開けて、俺を罵れ・・・って俺はヘンタイか!


 バートン、カミル、エドのことはダルトンに聞けない。

 それはダルトンが主人から命じられた命令に抵触するからだ。

 彼らの姿をダルトンは見ていない。だからあの場にはいなかったことにされている。彼らの存在を知れば、ダルトンはレオの友人達を殺さなければならなかっただろう。

 主からの命令には「証拠を残さないこと」があったのだから。

 ダルトンはそれを「証拠を(ここに)残さないこと」と曲げて俺を助けてくれた。そのペナルティは苛烈なものだったらしい。

 命令違反に抵触したダルトンの身体には「隷属の誓い」で刻まれた魔法陣による痣が浮かびあがっていた。

 何故知ってるかというと、亜空間に設置した「日本式風呂」に彼が入った時

事故で見てしまったからだ。


 覗いたわけじゃないからな?

 でも、俺のヒールの力が影響しているのか、風呂に「治癒力促進」の効果がついているのがわかったから事故も無駄じゃなかった。

 と言っておこう。


 商人の服の下が意外と俺好みのマッチョだったとかはどうでもいい話なんだからっ!


 さて、冒頭の話に戻ろう。

 シュタイン家の人々は「人はいい」のだが、いい人じゃないんだよな。

 まず、道楽者で見栄っ張りである、そして怠惰。


 貴族で、夜遅くまで社交的な活動があるのはわかる。

 そのために、朝が苦手というのも。

 でも、息子も娘も、使用人全体すら夜型というのはいかがな物か。


 ご近所さんが朝食その他をすませ、外を歩いている時間帯になっているのに

誰も起きてこない。

 ありえねぇ。


 それが貴族のライフスタイルだと言われれば、納得せざるを得ないが、ウィルもレオも基本早起きだったし。


 こっちの世界にはこの歌ないからなー


 「小原庄助さん 何で身上潰した

 朝寝朝酒朝湯が大好きで

 それで身上潰した

 ハーモットモダーモットモダ」


 言わずとしれた会津磐梯山である。

 俺の世界は24時間眠らない世界だから夜型シフトの人間もいる。だからこの歌の戒めはナンセンスなのだが、ここは中世程度の文化。

 夜は誰でも起きていない。灯りをつけるのもお金がかかるからだ。


 「貴族というのは、そんなものですよ。ここの子爵はまだ子煩悩だけましですよ」


 政略結婚の多い貴族は生まれた子どもに愛情を注げず、養育係に療育を放りっぱなしとかいうのも多いんだそうだ。


 なのに、肝心の愛息、愛娘にあそこまで嫌われてるって・・・かわいそすぎる。


 「じゃぁ、問題もないようなのでわたしはこれで」

 ダルトンはたまに様子を見にきてくれる。

 俺が設置してある日本式風呂が目当てなのには違いないのだろうが、元の同郷人を奴隷として売ると言った行為について、後ろ暗い思いがあるのは事実のようだ。

 亜空間に寄ったついでに俺のところに来るようだが。


 俺は中断していた自己鍛錬法を続ける。今日はお嬢様について町へ買い物に行く予定なのだ。早めに仕度をしなくてはならない。


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